不動産競売必勝攻略法 追い出す人と追い出される人。
不動産競売の真実の姿とは――?
絶対に競売に関わらない人生を送る。
――あなたはそう断言できますか?

 






堂々完結!


物件: ワンルームマンション(広さ:17u程度)

場所: 東京都港区六本木

占有者: 50歳前男性が所有者兼債務者として、会社事務用品を残した上で占有

占有認定: 所有者は買受人に対抗できない

 <今回の追い出し指令>

おはよう、追い出し屋Gくん。

今回の君への指令は、

六本木のワンルームに動産(事務机等会社用品)を置いて、

占有(占拠)を行う、ターゲット「占有者N」を立ち退かせることだ。

例によって君もしくはメンバーが捕らえられ、

あるいは殺されても、当局は一切関知しないから、そのつもりで。

なお、このテープは自動的に消滅する。

成功を祈る…。



 

 

2003.07.17 木曜日 


占有者との仁義なき闘い
−六本木心中/熱帯夜の死闘・前編




今月に入ってからというものの、

ウチの社有物件(すべて競売で落札した物件)が、

順調に販売されている。

めでたい、めでたい。

めでたいついでに、未だ全くもって売れてない、

ワンルームやら再建不可(通常方法では建て直しが出来ない)

の戸建も売れて貰いたいものだ。



それにしても。

売れない物件に限って、

競売の落札価格を僅差で競り勝ったり、

占有者(競売物件を占拠している人)の追い出しに、

非常に苦労した物件が多かったりするワケなんだが…。

一体どーゆーことなのだろう。

これもまた、競売の七不思議と言ったところか。



そんなこんなはさておき。



今回は、話し合いどころか、

なかなかテーブルに着くことすら、

拒否し続けた占有者との間で成された、

血と汗と涙の交渉話でも−。



モノはワンルーム。

一棟売りではなく、一部屋。

場所は六本木。徒歩5分程度。

築年数は二十年程経過しているが、管理体制は良好、

エントランスも最近改装されたばかりで、

下手な新築物件よりかは余程面構えがいい。

総戸数も100戸を越えている。

大通りと高速に面しているが、

六本木のワンルームの立地なんてこんなもんだ。



ウチの会社は、

よっしゃ、これ落としたれや!!

と言わんばかりに入札Go!

こいつは落札出来たら速攻売れるだろ、

と思いながら札を入れたその結果は、

次順位買受申出人(二番目に高い入札価格を入れた人)

と30万円差で買ったという次第。

ちなみに次順位は価格に糸目をつけない個人ではなく、

主に投資用ワンルームを手掛けている専門業者だったので、

社内での評価は、まあまあいい買い方をしたんじゃないか、

という感じであった。



−ただこの物件は落札してからが大変だった。



何が大変かと言えば、

占有者との交渉することが大変ということではなく、

占有者を交渉の場に引っ張り出すのが、である。



そのワンルームの所有者は、

経営コンサルタント会社でNという男が代表者であった。

競売に掛けられるくらいの会社である、

仮にも、経営指南を行う会社が、

物件を差し押さえられる位、

経営が成り立たなくてどーするよ!!

といった感じであるが、それは置いておいて。



ワタシの調査では、住民票は家族全員分、

このワンルームに置いてあることがわかったが、

どう考えても家族4人が暮らせる程の広さではない。

またマンションの管理人の話によると、

Nはこのワンルームを事務所として使っており、

週に1、2度午前中に30分程度しか来ないとのこと。

部屋の中には事務机等が置いてあり、

要は所有者が空家で占有している状態だ。



とりあえず、このまま放置していてもしょうがないので、

建物を引き渡して貰うべく、

占有者とコンタクトを取ることにした。



この男の連絡先である電話番号は、

簡単な調査ですぐ抑えたが、

何度も何度も掛けても通じず。

やっとのことで通じたと思ったら、



オマエんところに、所有権移転してから言ってこいや!



なんぞとドスを利かせた声で、

そういったありがたいお言葉をちょうだいする始末。

こちらが、まあお互い言い分はありますし、

一度会って話しましょうよ、と言っても、




所有権はまだ俺のもんだ、話し合う必要はない!!



というつれない対応。

これじゃあ、話し合い以前の問題だね、

所有権移転したら話し合いに応じるのか?

ということでサクっとその物件の代金納付を行い、

所有権は名実ともにウチのものした。



占有者Nよ。

これでオマエの心のよりどころである、

所有権はなくなった。

とっとと枕持ってここから出て行け、と思いつつ、

男に退去を促すべく、電話を掛ける。

電話を掛ける。

電話を掛ける。

電話を…、




出ねえじゃん!




確かに所有権がウチに移転する前も、

電話はなかなか通じなかったが、

今回はその比ではない。

全く出る気配すら見せないのだ。



所有権移転してから来い!!

オマエが所有者だったら、話したるわ!!




なんて啖呵(たんか)切ったくせに、

実際に所有権移転したら、

逃げるようにして電話にも出ないっつー根性なしか。

ワタシは基本的にウソをつかれるのと、

こういった口先だけのチキン野郎が非常に大嫌いだ。



俺は怒った!

こいつを自分の力で引きずりだしてやるわっ!!




なんて、お天道様に誓うワタシ。

いやはや若いねえ、ってな感じ。

って、そんな昔の話じゃないけど。



この段階で引渡命令(占有者に対し、裁判所が退去を命じる、

簡易な裁判手続き)を申し立てていなかったが、

ワタシは会社に、



この案件は引渡命令を出さずに解決したい



という、今考えるとワケのわからない、というか、

常識外というか、頭の悪い提案をしたところ、

オマエがそこまで言うなら早く自分で解決してみろ、

という、ある意味考え知らずな許可を会社から貰う。

まあ、早く解決できなかったらとっとと引渡命令を行う、

という条件付であったが…。



六本木ワンルーム奪還作戦発動だっ!!



そのときのワタシは、

六本木のワンルームの見事なる奪還に向けて、

メラメラと闘志を燃やしていた。



追い出し屋Gと占有者Nとの、

小さなワンルームと大きなプライドを掛けた本当の闘いが、

今、始まる…。




続く。




多分。



※タイトルと内容は地名しか関係ありません。

 

2003.07.19 土曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・中編




<前回までのあらすじ>


雑多な人種の集う、無国籍都市・六本木。

この街で、追い出し屋Gと占有者Nとの、

小さなワンルームを巡る、

血で血を洗う壮絶(そうぜつ)な闘いが始まった。

しかし、地下でくすぶっているような俺達じゃぁない。

筋さえ通れば金次第でなんでもやってのける命知らず、

不可能を可能にし巨大な悪を粉砕する、

俺たち、特攻野郎Aチーム!

♪ちゃーらららー ちゃちゃーちゃー



…。



そんなこんなはともかく。



六本木ワンルーム奪還作戦発動

なんてブチ上げてみたものの、

肝心の占有者(競売物件を占拠している人間)

と会わなければ何も始まらない。



…しゃーない。

まずは占有者とコンタクトを取るか。

あー。

コンタクトぉ〜、コンタクトぉ〜。

コンタクトを取るって言っても−。

ってここでつまらんボケはいらんね、こりゃ。



それにしても、引渡命令出さないで問題解決、

なんて思いっきりその場の勢いで放言してしまったが、

いやはやどーしよう。

後悔するなら、最初からそんなことフカすなよ、

と心の中で冷静な自分がツッコむが、

いやいやしょーがないべー、

後悔先に立たず。

発つ鳥跡を濁しまくり。

まあ人間なんてそんなもんだ。

あんまり深く考えることなく、

気楽にやっていこう!!

…無駄に前向きに生きようとするワタシであった。



ともかく、占有者Nと会うぞ!!

占有者とのコンタクト大作戦開始だ!!

あー、なんかテンション上がってきた。



ミッション1.置手紙



占有者と会う為の最もお約束な方法。



これこれ、こーゆーワケだから、

アンタ、ウチの会社と会わないとだめじゃん。

電話しないとアンタ、

トンでもない目に遭っちゃうよー。



という内容の手紙を当該物件に置いておく。

本来だったら、置手紙をするにしても、

最初は無難な文面で、郵送なりポスティングするのであるが、

こいつは確信犯的に面会を拒絶しているので、

思いっきり目立たせるべく、玄関ドアにべったりと貼る。



次の日。



玄関ドアに張られていた置手紙は−、

きれいさっぱり剥がされていた。

しかも連絡来ず。

うーむ、むかつく。



ミッション2.張り込み



置手紙大作戦と平行して、

マンション前で張り込みを行うことにする。

張り込みは、原始的な方法で、地味であり、

そして苦痛を伴うが、

「会う」という目標を達成するのには、

ワリと有効な手段だと言える。

もっとも事前のリサーチを十分に行っていないと、

時間ばかり食う結果に陥(おちい)るので注意しなければならないが。



そのマンションの管理員(平日9時から17時まで日勤管理)から、

占有者Nは以前は平日の午前中に毎日、

外車に乗って、郵便物を取りに来ていた。

占有者Nの家族は見たことがない。

との情報を得る。

前回も話したが、

このワンルームに占有者Nの家族全員分の住民票が置かれている。

住民票は現在の住所の移転されていない。

従って、重要な郵便物はこのマンションに届いているのだ。

これらを取りに、以前は毎日の様に来ていた、とのことである。


そうそう。

最近はあまり顔を見かけなくなったねえ、


と管理員は付け加えた。



−もう占有者Nはここには立ち寄らないのであろうか?



昨日ワタシが張った置手紙は、

剥がされていたのは事実だ。

もしかしたら、占有者以外の人間が剥がした可能性もない訳じゃないが、

最も剥がす可能性があるのが、当然占有者Nだ。

それに集合ポストを外側から覗くと、

不要なチラシがゴミの様に溜まっているといった形跡もなく、

綺麗さっぱりなくなっている。

まさしくこれは占有者がポストを開け、自分の郵便物を取り、

チラシをゴミ箱に捨てているということではないか。



ワタシは考えた。



以前は午前中に来ていた。

そして最近は顔を見かけないという管理員からの情報。

剥がされた置手紙。

からっぽの集合ポスト。



事実の積み重ね。

そして当然の帰結。



−ヤツは今もここに来ている!



ワタシは、打倒!占有者Nに向けて、

張り込みを開始した…。



続く…。



追記。

今回の六本木ワンルーム占有者編は、

ワリと長くなりそう。

本題だけ書いていけば短いのかもしれないけど、

いつもながら無駄な文章がダラダラ垂れ流されている感じ。

もし暇だったらもうしばしお付き合いしてちょーだいな。

 

2003.07.20 日曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・中々編




<前回までのあらすじ>



追い出し屋Gは占有者Nを追うべく、

一路、六本木へと向かった。

ヤツはここにいる!

果たして追い出し屋Gは、

占有者Nを捕まえることが出来るのか?

そしてその衝撃の結末とは一体…???



次回、「占有者との仁義なき闘い/さすらい刑事・旅情編」

でお会いしましょう!!




…。







って、もう終わるんかいっ!




そんなこんなはともかく。




−ヤツは今もここに来ている!



恐らくヤツは管理員のいなくなる夕方過ぎから夜に掛けて、

このマンションに立ち寄っているのだろう。

そう推測したワタシは、

管理員が帰った午後5時過ぎから張り込みを開始した。



張り込みポイントは、マンション前の街路樹の陰。

ここからだとエントランスの集合ポストを見渡すことが出来る。

ちなみにターゲットとは電話で少し話した程度なので、

全く顔は知らない。

逆を返せば相手もワタシの顔を知らないので、

張り込みをしていても、事前にバレて、

捕まえる前に逃亡される可能性は低いということだ。



ワタシの張り込み作戦の概要はこうだ。

とりあえずマンション前でひたすら待機。

ヤツは声から判断すると50絡みの男であったので、

それらしい男がマンション内に入っていくのと同時に、

ワタシもさりげなく、ごくごくフツーにエントランスに入り、

口笛でも吹きながら自然体で彼の行動を逐一チェック。

彼が当該号室のポストをいじってたら、ビンゴ!!

オラー!!とばかりに奇襲をかける、

といった分かり易い作戦である。



名づけて、



んちゃ!占有者Nを捕まえるぜ!ほほほーい大作戦



だ!!(今時、アラレちゃんかよ)



早速、張り込み開始。

何かこうやって樹の陰で、張り込みをやっていると、

探偵にでもなったような気分だ。



−俺は新宿・歌舞伎町のボロビルで、

私立探偵事務所をやっている。

追い出し屋Gだ。

皆は俺のことをハマーと呼んでいる。

なんでかって?

そいつは俺にもわからねーな。

だが、強いて言えば、

俺がMCハマーにでも似てるからじゃねーか。

(全然似てねーよ!)

おっと、こんな無駄話していたら、依頼人がきたみたいだぜ。

この事務所に客が来るなんて三ヶ月ぶりの話だ。

久々の依頼人は−、女か。

ジャスミンの香水をつけた、女。

こいつは何だか危険な匂いがしてくるぜ。




…うーん、ハードボイルドな世界。

なんぞと勝手な妄想を膨らましつつ、

無為(むい)な時間を過ごす。

まさに非生産的な時間の浪費の仕方だ。



妄想とともに、夜は更けて行く。

マンションに入っていく、そして出ていく人たちは、

声を掛けるまでもなく、

皆、ワタシが想定しているような50絡みの男ではなかった。



もう、今日は来ないのか?



それではと今日はもう帰ろうと思ったのが、

張り込み開始から裕に3時間は経過した、午後8時過ぎ。

と、その時だ。

一台の型式の古いベンツがマンションに横付けされた。

そして、その全面に黒いスモークが貼られているベンツから、

まずは運転手らしきガタイのいい男が出て来て、

かしずくように後部座席のドアを開ける。



一人の男が車から降りた。



傍目で見ても、年の頃、50絡みの男。

顔つきは暗くて分からないが、背はそんなに高くはない。

その男は運転手を連れず、

一人でエントランスに入っていった。



こいつが占有者Nだ!



そう直感したワタシは作戦通り、

ごくごく自然体でエントランスのガラス扉を開けて、

口笛なんぞ吹きながら男の様子を伺う。



その男は集合ポストを開け、

手紙とポスティングされていたチラシを仕分けしている最中であった。

開かれていたポストこそ、

ウチの会社が所有権を移した、

まさに当該号室のポストであった。



もう間違いない。

こいつだ!!




ワタシは、口笛を吹くのを止め、

その男に話しかけた−。



年貢の納め時は、今、来たようだな。

占有者N!!



続く…。




多分。

 

2003.07.21 月曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・中々々編




<前回までのあらすじ>


♪ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団〜。


幾多の苦労を乗り越え、

とうとう占有者Nの姿に扮装した怪人21面相を追い詰めた、

追い出し屋G少年。

だが、不適に笑う怪人21面相。

果たして追い出し屋G少年は、

怪人21面相を捕まえることが出来るのか?

それとも…?


♪ぼ、ぼ、ぼくらはテレビ探偵団!






って、いきなり番組変わってるじゃん!

朝井泉(泉麻人)じゃん!!





そんなこんなはともかく。




間違いない。

こいつが占有者Nだ!!




ワタシは少々緊張しつつ、その男に話しかけた。

男は背はあまり高くない。

スーツはヨレヨレによれていた。



ワタシ
「あなた、Nさんですよね?」



振り返るその男は驚いた顔をしていた。

その表情は皺(しわ)が深く刻まれ、

険(けわ)しい。

手紙を仕分けしていた手は止まっているが、

こちらを見たまま、何も喋らない。

ワタシはもう一度声を掛けた。



ワタシ
「あなた、Nさんでしょ?」



誰なんだ、この男は?

彼の怪訝(けげん)な表情から、

そんな疑問を持っていることがありありと分かった。

そして、警戒の色が濃くなったのであろうか。

鋭い眼光を飛ばしながら言った。



占有者N
「…あんた、誰だ?」



一呼吸おいて、私は答えた。



ワタシ
「決まってるでしょ。

あなたが勝手に不法占拠している物件の大家ですよ」



男は一瞬ひるんだ顔をしていたが、

また威厳を取り戻そうと必至になり…



占有者N
「…はぁん?な、何いってるか、わかんねーな」


ワタシ
「そんなあからさまに惚(とぼ)けないで下さいよ。

だったら、何でそのポスト開けてるんですか?

あなたがNさんだからでしょ?」


占有者N
「…違う、違う。俺は頼まれて手紙を取りにきてるんだ」



どう考えても、あからさまな逃げ言葉だ。

第一、逃げようが逃げまいが、

物件内にこの男の動産があっても、

最終的に強制執行かけたら、

名実ともにウチのものになる。

何で無駄にあがくんだ、この男は!



ワタシ
「あのねえ、あんまりおかしなこと言わないで下さいよ。

じゃあ百歩譲って、あなたがNさんじゃなかったら、

Nさんは一体どこにいるんですか?

Nさんの居場所とか連絡先教えて下さいよ」


占有者N
「…そんなん、しらねーよ」



男は明らかに動揺している。



ワタシ
「本当におかしなことを仰いますねえ。

だったらあなた、その郵便物をどこに持っていくつもりなんです?」



そして動揺の次は、怒りと恫喝(どうかつ)であった。



占有者N
「うるせい!さっきからベラベラベラベラ喋りやがって!」



がなる立てる男。

大きな声を出せば、すべて万事解決するとでも思っているのか。

非常に原始的で粗野な男である。



ワタシ
「そんなガーガー言わなくても、日本語だったら分かりますよ」


占有者N
「オマエがガーガー言ってるんじゃろうが!不愉快だ!!」



何でまあ、怒るとエセ関西弁使う輩(やから)が多いんだろうか。



ワタシ
「何ですか、ワタシを脅してるんですか?」


占有者N
「脅すも何も、オマエが訳分からん事言ってるんじゃろうが!」



その時だ。

エントランスのガラス扉が開き、運転手が入ってきた。

いつもより長い滞在時間に、異変を感じたのであろう。

夜目でもガタイの良さは感じ取れた運転手であったが、

エントランスの明るい中で見ると、

かなりの爺さんであった。

だが、幾らジジイといっても、ボディビルダーのような、

ごつい体をしていることには代わりない。



運転手
「社長!どうされました?」



占有者Nの、興奮しきった表情に異変を感じたのか、

そして自分の雇い主の前に立っている、

見慣れない男に違和感を感じたのか。

運転手はワタシを睨みつけ、言った。



運転手
「オマエ、社長になにしてるんだ!!」



ワタシ

「何してるって−。

Nさんと話し合いしようとしているだけじゃないですか。

Nさんね、今日じゃなくていいから。

また明日にでも日を改めて話し合いましょうよ。

でないと損するのは、アナタなんですよ」


占有者N
「…。わかった、わかった。

今日はここまでだ。

おい、帰るぞ!!」



運転手を促す占有者N。

ってゆーか、まだ次会う日の約束と、

連絡先教えて貰えてないじゃないか。



ワタシ
「アナタ、まだ約束と必ず繋がる連絡先教えて貰ってないよ」


占有者N
…連絡先は、090−××××−××××だ。

こちらから後で連絡する」



ワタシは素早く掌(てのひら)にメモする。



ワタシ
「後でじゃ、ダメでしょ。今です、今」


占有者N
「あー、もう、うるせえなあ。後で電話してこいっ!!」


ワタシ

「アナタねえ、そんな言い方ないでしょ?」



男はワタシの言葉を遮り、そしてエントランスから出て行った。

運転手は男を守るかの様に、

男の背後にぴったりとガードし、

ガラス扉を閉めるまで、終始ワタシを睨みつけていた。


ワタシは彼らがマンションから出ると、その後を追う。

彼らは、古いベンツに乗り込みまさに動かんとしていた。

ワタシは念の為、ベンツのナンバーを控えた。



彼らが立ち去ってから10分後、

ワタシは公衆電話から先ほど、

彼が言っていた携帯番号に電話を掛けた。


トルルルル、トルルルル。

がちゃ。



「ただ今、この電話はお客様の都合により、使われておりません」



無常なる声が機械的に流れてきた。


ワタシの、受話器を持つ手が震えてきた。






あ・の・ヤ・ロー!





続く…。




多分。

 

2003.07.22 火曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・中々々々編




<前回までのあらすじ>


追い出し屋Gはやっとの思いで、

占有者Nと出会うことが出来たものの、

追い詰めることが出来ず、みすみす逃がしてしまった。

占有を解除させるためには、

再度占有者Nを追い詰めなければならない!!

果たして、追い出し屋Gは占有者Nを叩きのめし、

追い出すことが出来るのであろうか?

それともそのままズルズルと占有を続けられるのであろうか?

すべては神のみぞ知る!!





なんてな。




そんなこんなはさておき。




占有者Nから伝えられた携帯番号は、

料金未払いの為、不通になっていた。

ってゆーか…。






オマエ、

ケータイくらい料金払っておけよっ!




と夜の六本木で遠吠えしたい位の、脱力感を痛感した。

結局、一回掛ければ分かるものなのに、

何度も何度も同じ番号に掛け、

そしてその度に虚しさを感じる感じるワタシであった。



次の日−。

ヤツを逃がした、昨日の詰めの甘さなど、

今更くよくよしていたとしても仕方がない。

生産性のある仕事をしよう。

人間、前向きが一番だ。



そう思ったワタシは、昨日得た情報から、

占有者Nの住所を割り出すことにした。

うーん、生産的。



住所を割り出す方法には、色々ある。

携帯番号から、その所有者の情報を割り出せないことも無いが、

如何せん情報を横流しして貰わなければならないし、

何よりも、それにはカネが掛かる。

もっとローコストで住所を知るべく、

昨日控えたベンツのナンバーから所有者情報を取得することにする。



知ってる人も多いと思うが、

車のナンバーから所有者の情報を引き出すことは簡単だ。

知らない人のためにちょっと紹介すると…。



まず運輸支局(旧陸運支局)又は自動車検査登録事務所に行き、

そこで登録事項等証明書を取得することで、

簡単に所有者の住所等、登録事項を確認することが出来る。

手数料は1000円(二枚目以降は300円)で、

必要なものは運転免許等、身分証明書だけ。

しかし、こんな程度でも業者に頼んだら、

何万円も手数料で取られてしまう。

何事も知らなければ、カネをボラれるってな訳だ。

やるときは自分の力でやるべし。

だが、ワタシはちょっとした伝手(つて)を頼り、

その人に照会して貰うことにする。

もちろんタダで。



その翌日−。

伝手(つて)からそのベンツの所有者情報の結果が分かった。

登記事項にあった住所は、

千代田区××町のマンションであった。



よーし、今から言ってみるべーっ!!!



ワタシは意気込んで千代田区のそのマンションへ向かった。



千代田区のそのマンションは、

日本テレビの近くの、閑静な住宅街にある高級マンションであった。



くっそー。

よくこんなとこに住んでる余裕があるよなあ。

まさしくバブル期の億ション、と言ったところだ。



重々しいエントランスの扉を開き中へ入るや否や、

ワタシは当該号室のインターフォンを鳴らす。


ピンポ〜ン。


しばらく後、インターフォンは答える。


「はい?」


初老の女性の声だ。


ワタシ
「あー、すいません。Nさんのお宅ですか?」


インターフォンの声は答える。


初老の女性
「いえ、違いますけど?」


え、違う?


ワタシ
「え?千代田区××町の○○マンションの△△△号室って、

ここですよね?」


初老の女性
「そうですけど。でも、Nっていう苗字じゃないんですけど」



え?

ワタシは脇にある、集合ポストの表札を見た。

確かにNという苗字ではない。

とすると…。


ワタシ
「大変失礼ですけど、

こちらに引っ越されたのは何時(いつ)ごろですか?」


インターフォンの声は、ワタシに対する、

死刑宣告かのように冷たく答えた。


初老の女性
「5年くらい前に引っ越してきたんですけど。

…それじゃ、今、忙しいので」



−切れてしまった。



…。







Nのヤロー、

車の住所変更してなかったんか!




車にある記載事項は、記載された当時のものであって、

今現在の事項を如実(にょじつ)に表しているものではない。

ここは、占有者Nが以前、住んでいたマンションだったのだ。



再度、この家の婦人に、

以前住んでいたNのことについて訊いてみたが全く分からず。

このマンションには、賃貸で住んでいるとのこと。

ついでに管理員にも訊いたが、

まだこのマンションを担当して半年で、

何を訊いてもわかんねえ、といった体たらくであった。



結局、何も得るものがなく、会社へと戻るハメに陥った。



またもや、占有者Nに翻弄されたワタシ…。



だが−。

ワタシは夏の、照りつける太陽に向かって誓った。






占有者N!!

このままじゃ、済まさねえ!




続く…。




多分。




追記。

あー、中だるみしてきた?

そう言わんと、もう少しだけ付き合ってくんさい。

 

2003.07.23 水曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・中々々々々編


<前回までのあらすじ>



逢いたいのに貴方に逢えない…。



−占有者Nに逢いたいという、

追い出し屋Gの儚(はかな)く、

切ない想いは叶えられるのであろうか…?

男と男が織り成す、人間模様。

アルマゲドンを超えた、全米興行成績ナンバー1!

今年度最高のハートウォーミング・ストーリー!



近日大公開!!



そして、貴方は涙する…。



−んなワケねーよ。

今更アルマゲドンって何だよ!




そんなこんなはさておき。




車のナンバーから割り出した住所は、

以前の住所であって、今のそれではなかった。

なかなか前に進まない状況にワタシの苛立ちは積もるばかりだった。



しかも、占有者Nからの連絡は、幾ら待っても全く来ない。

来る気配すらない。

このまま、成り行きにまかせても、

状況が良くなる様な見込みはない。

ここで一発、事態の打開を図る為、

ワタシはひとつの決断をおこなった。



もういいや、鍵開けるべ!!



前の所有者であるNが不法占有(何の根拠もなく、

勝手に人様の不動産を占拠している状態)中のワンルームマンション。

ウチの会社に所有権はすでに移っている。

そのマンションの鍵を開錠する、

それがワタシの下した状況打開の策であった…。



あんまりこの辺りのことを書くと、

色々と差し触りがあるかもしれないので、アレなのだが…。

まあ、いいや。

一応、ここからはフィクションです。

以下、ワタシが創作した夏休みの宿題の作文です。

読書感想文みたいなものです。

って、何故いきなり丁寧語??



早速、ワタシはいつも使っている鍵屋を手配して、

六本木のワンルームマンションへ向った。

ワタシが到着した頃には、

もうエントランスの前に鍵屋が立っていた。



ワタシ
「あー、お疲れっス」


鍵屋
「毎度」



その鍵屋は、職人然としたオールバックのおっさんだ。

いつもながら、言葉数の少ない鍵屋である。

もっともワタシみたいにベラベラ喋るような人間が、

鍵屋をやっていても、それはそれで嫌だろうが…。



ワタシは鍵屋をつれて、当該物件の玄関ドアへと移動した。

ドアの前に立つと、ワタシは拍手(かしわで)を打つかのように、

パン!っと両手を叩き、言った。



ワタシ
「んじゃあ、ちゃっちゃと鍵開けちゃって下さい」


鍵屋
「了解」



鍵屋は慣れた手つきで鍵の開錠を始める。

いつものことながら手際のいい作業だ。



ありがとう、鍵屋さん。

貴方のおかげで扉が開くんだね。

鍵屋・マイ・ラブ!!

…などと気持ちの悪い妄想を繰り広げる間もなく、

本当に一瞬で鍵が開いた。



その光景はまさに、

ひとりツムラ・イリュージョン(古い)と言ったところだ。



鍵屋
「完了」



鍵の魔術師の魔法によって、開かれた扉。

いざ参らん!!

ワタシは玄関扉を、勢いよく開け、臨場した。

その時の気持ちたるや、

人類史上初めて宇宙へと旅立った、ガガーリンの様だった。



ソ連の宇宙飛行士・ガガーリン。




−地球は青かった。



そして、無限の宇宙−。



ふと脳内でBGMが流れる。



♪さらばぁ〜 ちきゅうよぉ〜



…ああ、そうだ。

ワタシには地球を救うべく、

行かなければならない場所があるんだ!



…などと、どこかしらの世界へと旅立つワタシ。



目指す先は、そう。



銀河の彼方、イスカンダルだ!!



♪さらばぁ〜 ちきゅうよぉ〜

♪さらばぁ…

♪さら…。

…。



鍵屋
「…あのう、なんか目が虚ろなんですけど」



鍵屋に声を掛けられ、ふと我に戻るワタシ。

ああ、また妄想の国へと旅立っていた様だ。

ワタシは頭を振り、気を取り直して室内へ入った。



室内には、事務机、事務椅子、事務戸棚…等々。

そこは、まさしく事務所であるとしか言いようがない、

空間があった。



ちくしょー!

動産ばっかありやがる!!

何だよ、何にもなかったら、

そのままこっちが占有してやるところだったのに…。

これじゃあ、最終的には正攻法でいかんとマズイんか?

でも、それは嫌だな。

引渡命令なくして、この物件を手中に収める!!

それこそが今、

俺に課せられた(というか自分で背負い込んだ)使命だ!



早速ワタシは情報を求めるべく、家捜しをする。

一番の情報は、占有者Nの今現在の住所だ。

机を調べ、戸棚を調べ、引き出しを開け、ゴミ箱を漁る。

だが、あるものと言えば、請求書、請求書、請求書…。

請求書の山、山、山。

債務者にアリガチといえば、アリガチなパターンであるが、

これだけ多くの請求書を送り付けられれば、

そりゃあ払う気力もなくなるわな、

と変な共感を持った。



しかし、肝心の住所であるが、

請求書の全部が全部、あて先はここの住所。

これじゃ、全然役に立たない。

他に情報は無いかと色々と探したが、

役に立つようなものは何も見つからなかった。



あー、もう。

次から次へとムカつくことばっかりだなあ。

占有者Nとやっとのことで逢えたと思ったら、

スルっと逃げられちゃうし。

住所調べようと思ったら、分かった住所は旧住所だし。

今ここでガサ入れしても、なーんも分からないし。

あー、もう!!



とりあえずワタシは怒りに任せ、



「ダンマリ決め込むんだったら、

近いうちに鍵変えてやるぞ、ゴラー!!」




という内容の置手紙を書こうとしたが、

会社から白紙を持ってくるのを忘れてしまった。



ちっ。

仕方が無い。

そこら辺にある紙を拝借するか。

一枚くらいだったら、バレないだろう…。



そばの事務机にメモ用紙の束があったので、

その紙を一枚貰おうと、

ワタシはそれを手元に引き寄せた。



…と、その時だ。

今までその下敷きになっていたので分からなかったが、

机の上に敷いてあった塩ビ製クリアマットに、

小さく折り畳まれた紙片が挟まれていたのを見つけた。

普通だったら見過ごしてしまう程度の、ただの紙切れ。

だが、ワタシはそれが非常に気になって仕方なかった。



ワタシはマットから取り出し、それを読んでみる。



−今、振り返ってみても。

ワタシはその時ほど、神の存在を信じたことは無い。

そのメモには、こう書かれていたのだ。



N(占有者の苗字)○○子(奥さんの名前)・

△△男(息子の名前)

世田谷区○○ 1−××−××





それはもう唐突に、







ヤツの住所、発見!






占有者Nは、

あの男は、世田谷にいる!





そして、ワタシは思った。




何か−。








展開が

ポートピア連続殺人事件


みたいだな!



胡散臭いぞ!







続く…。




多分。




追記。

すべて自己責任が基本。

でも人生の中では、割と都合のいいこともあったりするもの。

逆に都合の悪いこともいっぱいあるけど。

 

2003.07.24 木曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−インターミッション<間奏曲、或いは休息>



日頃の地味な宣伝活動が実を結んできたのか、

徐々に(実質的)アクセス数が増えている今日この頃。

掲示板やらメールでも、応援のメッセージを頂戴し、



ああ、人間何かをやっていれば、

それを見ている人も、声を掛けてくる人もいるんだな。

人間はたった一人で生きているんじゃないんだ!

みんな、宇宙船地球号の仲間なんだ!


♪みんな、みんな、生きているだ 友達な〜ん〜だぁ〜!



…などと、まるでさみしん坊の様な感慨に耽ってみたり。



中にはこちらが頼むでもなく、自発的に、


「なかなか面白いサイトじゃん」


と紹介して下さる稀有(けう)な人もいらっしゃったり。

このサイトが面白いか、面白くないか、

それはひとえに、ワタシのネタと文章に、

フィーリングが合うか合わないかだと思う。

だけれども世の中には、面白いと思って下さる

まっこと奇特な人も結構いるということで。

そーゆー方々には、ホント、ありがたや、ありがたや〜。

こいつは足を向けて寝られねーべ、ってな感じ。

それと同時に、ちゃんとした社会生活を送ってるのかいな、

と他人事ながら不安に思ったり、思わなかったり。



何はともあれ。

これからも生ヌル〜い目で見守っててちょうだいな。

よろしくお願いしますです、はい。



そんなこんなはともかく−。



六本木ワンルーム占有者N編もそろそろ佳境−。

…とはいえ。

途中から読んで、話の流れがよくわからん!

とか、内容が意味不明だ!

なんぞという感想を持っている人もいると思うんで、

今日はそのクライマックスを語る前に、

今までの話の簡単な流れとか、登場人物の紹介をしようと思う。

基本的なところで、



競売(けいばい)って何?



と言われる御仁は、ここいらを読んでちょうだいな。



それでは、六本木純情編の登場人物を紹介。




って、タイトル変わってるじゃんっ!!



【登場人物紹介】


  追い出し屋G(ワタシ):競売業界の必殺仕事人。
  ウソ。ただの雇われ人。六本木のワンルームの
  占有を解除するべく、占有者Nを追っている。
  あんまし性能と燃費は良くない。妄想好き。
  あ、よく考えてみれば主人公ってヤツ?


  占有者N:六本木のワンルームの元所有者。
  50絡みのおっさん。背は低い。口は悪い。
  経営コンサルティング会社経営。でも失敗。
  今現在、動産を置いてワンルームを占有中。
  無駄に追い出し屋Gから逃げ回っている。
  古い型式のベンツが愛車。一応、運転手付。


  N夫人:占有者Nの奥さん。疲れた顔をしている。
  超音波を発する、ヒステリー攻撃が得意。


  △△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。


  運転手:占有者Nの運転手。かなりの高齢だけど
  無駄にマッチョ。草野仁並。熊殺しの異名を取る(予想)。


  鍵屋:いつもニヒルなあんちくしょう。言葉数が少ない。
  六本木のワンルームのドアを開けた、鍵の魔術師。
  オールバック上等!そこんとこ、夜露死苦!


  インターフォンの婦人:占有者Nの前住所に住んで
  いる婦人。というかおばあちゃん。いいとこ住んでる。


  ガガーリン:ソ連の宇宙飛行士。初めて宇宙へ行く。
  「地球は青かった」との名言を残す。



…って、




まだ登場してないヤツがいるじゃん!



まあ、未登場の人たちはもうすぐ登場。

いわゆるひとつの、カミング・スーン!

ってヤツっすよ、旦那。げへへ。



続いて、今までの話のあらすじをズズっと紹介。



【話のあらすじ】


六本木の、あるワンルームマンションの一室が競売に掛かり、

ウチの会社が一番高い値段で落札した。

この物語は、ここから始まる。


ウチの会社が落札してすぐに、ここを使っている人間が、

その部屋から荷物を全部引き払って鍵を渡してくれれば、

ここでこんな風にネタになることなく、

話は終わっていたのだったが…。

現実はそう簡単にいくものではない。


そのワンルームマンションの一室は、

元の所有者である、占有者Nが動産(家具とかそーゆーもの)

を残したまま、占有している状態だったのだ。

占有とは、言葉を変えれば占拠という意味であり、

占有者とは、その不動産を占拠している人という意味だ。


ちなみに。

占有を解除させる為には、任意の話し合いで解決するか、

もしくは引渡命令又は明渡訴訟といった裁判手続きを経た上で、

強制執行
を行うしか解決方法はない。


※この場合、その不動産から占有者を強制的に排除する執行のことで、
執行官と呼ばれる委託者が、その指揮を執る。
簡単に言えば、国家権力様が占有者を「オマエ出ていかんかい!」と、
合法的に追い出すといったところだ。


だが、このワンルームを落札した会社の、

雇われ人である追い出し屋Gは、法的救済である、

引渡命令&強制執行のコンボを即時利用することを拒否。

己(おのれ)のプライドと、じっちゃんの名にかけて、

あくまでも任意での引渡しに固執した。


−任意での物件の引渡しを求める為、

追い出し屋Gはまず、占有者Nにコンタクトを取ろうとした。

しかし、占有者Nはワタシのコンタクトを拒絶し、

逃げるばかりであった。


逃げる占有者Nと、それを追跡する追い出し屋G。


時にオマエはガルエージェンシーか!!

とツッコミを入れんばかりに張り込みを行ってみたり−。


時に車のナンバーから住所を割り出してみたり−。


時に部屋の鍵を勝手に開けて、家捜しをしていた、

という夢をみたり…(あくまでもフィクション)。


何だかんだのドタバタ劇を繰り返し、

やっとのことで見つかった、占有者Nの住所を示す手がかり。



占有者Nはそこにいる!



果たして、追い出し屋Gは、

占有者Nを追い詰めることは出来たのであろうか?

はたまたそのまま逃げられてしまったのか?


物語は、いよいよ感動のクライマックスへ!!



−なんてな。



本日は、次回予告で終わり。

また本編でお会いしましょう!



<次回予告!>


さ〜て、来週のサザエさんは!

追い出し屋Gです。

またカツオにいちゃんが花沢さんに誘われている様です。

いつかは、やる気のない町の不動産屋を経営したい、

これがワタシの夢ですが、

かつおにいちゃんはすぐ夢が叶いそうでいいなあ。


さて次回は、


追い出し屋G、世田谷のサザエさん通りへ向かう

追い出し屋G、N夫人とはじめてのご対面

波平、ラマーズ法で昇天


の三本です。


じゃん けん ぽんっ!

ぐふふ。




追記。

あー、最後のサザエさんネタ、すまん。

もう謝っておきます。すいません。もうやりません。

 

2003.07.25 金曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後編



<前回までのあらすじ>


依然としてつかめぬ、占有者Nの行方であったが、

決死の覚悟で敵の秘密基地へ乗り込んだ追い出し屋G。

そこで真の敵を知ることとなる…。





−本当の敵は…、父さん?




オヤジまで登場するのかよっ!!

って、ワケわかんねーよ!

意味不明なあらすじは置いておいて。




そんなこんなはさておき。




占有者Nが占有するワンルームマンションへ

決死の侵入を試みたワタシであるが、

そこで神の啓示を受けたが如く見つけたものは、

住所が書かれた紙切れであった。



N(占有者の苗字)○○子(奥さんの名前)・

△△男(息子の名前)

世田谷区○○ 1−××−××





占有者Nはそこにいる!





その週の日曜日、午前八時半−。



ワタシは世田谷区のとある街に来ていた。

その街はサザエさんの街として名高く、

商店街の至る所が、

サザエさんの顔やらロゴで装飾されており、

あたかもフセインが君臨していた頃のイラク、

もしくは北にある、面白パーマのままごと国家のようだ。



磯野将軍マンセー!

サザエ同志マンセー!!




街並みはサザエさんという庶民感覚には似つかわしくない、

高級な雰囲気があふれている住宅街である。



あー、サザエさんはこんなところに住んでるのかー。

いい所住んでやがるな、このヤロー!!




などと思いながら、街を歩くこと10分程度。

ワタシは占有者Nが住んでいるであろう住所に辿り着いた。

占有者Nの自宅は、白いモルタルで、

二階建のその佇まいは、こじんまりとしながらも、

清潔感に溢れている、そんな家であった。

駐車スペースには、ベンツではなく、国産車が停まっていた。



でも−。



と、家を目の前にして、若干(じゃっかん)弱気になるワタシ。

また前住んでいた住所とか、違った住所かも…。

だが、ここで弱気になっていたら男が廃(すた)る。

何事も前進あるのみ!

ええーい、とばかりに自分なりにテンションを上げ、

表札を確認すると−。





「N」





と出ていた。




間違いない!

ヤツの家はここだっ!!





ここは、今現在の占有者Nの自宅だ。

ワタシはNを追い詰めるまで、

あと一歩のところまで来ているんだ…!!

自分の中で、テンションが徐々に高まってくるのが分かる。

口の中には分泌されたアドレナリンの味が広がる。

それは、甘く、そしてほろ苦い味だった。



え、甘く、ほろ苦い味…?

それって、初恋の味と似ているな…?



インターフォンを鳴らす前の緊張感からか、

現実逃避をするかの如く、

ワタシは今やるべきこととは180度関係のない、

初恋について思いを馳せる。

それはそう、例えるなら天駆ける天馬のように、真っ白で…、

そしてシャボンのように淡く、儚(はかな)い、初恋。



は・つ・こ・い。



その瞬間、ワタシの脳内ラジオ(旧式)がBGMを流す。



♪ほぉらー チェルシイー もひとつぅ チェルシイー

アナタニモ チェルシイ アゲタイ(外人少年風)



#繰り返し【永遠に】



ワタシの頭の中では、

上のフレーズが針の飛んだレコードの様に、

何度も何度も繰り返され、頭の中がそれ一色になった。



あー、俺の初恋のイメージは、「チェルシー」なんだあ。



と自分の妄想の世界ながら、新発見。

ふしぎ発見。ひとしくん人形。

でも、余りの緊張感のない妄想に、

自分のテンションがバブル崩壊後の株価のように、急降下。



ああ、これじゃ、マズイ。

もっとテンションあげるような脳内BGMに切り替えないと…。



無理やり脳内ラジオ(旧式)をぶち壊し、

代わりに脳内テレビ(旧式)のスイッチを捻(ひね)る。

脳内テレビの脳内ブラウン管に、徐々に浮かび上がる映像。

それは…。



♪たーたったったー たったーたー

たたたたたたー たったったたたー どんどん!



俺はリーダー、追い出し屋G大佐。通称ハンニバル。

奇襲戦法と変装の名人。

俺のような天才策略家でなければ、

百戦錬磨の兵(つわもの)どものリーダーは務まらん。


俺は追い出し屋G。通称フェイスマン。

自慢のルックスに、女はみんなイチコロさ。

ハッタリかまして、ブラジャーからミサイルまで、

何でもそろえてみせるぜ。


よおお待ちどう。俺様こそ、追い出し屋G。

通称クレイジーモンキー。パイロットとしての腕は天下一品!

奇人?変人?だから何。


B・A・追い出し屋。通称コング。

メカの天才だ。大統領でもブン殴ってみせらぁ。

でも飛行機だけはかんべんな。



ああ、特攻野郎Aチームだっ!!



そうだ、今から占有者N宅にまさしく特攻するんだ!

俺は特攻野郎なんだっ!!




冒険野郎マクガイバーなんだっ!




…って微妙に間違ってるし。



そんなこんなで、テンションを上げに上げ、

気持ちはすでにもう絶頂となったワタシ。



おおっ!!

これから、いったるでぇ!!

ガツンとやったるわーっ!!(エセ関西弁)




…ワタシは勢いに任せるまま、

インターフォンのボタンを押した。






さあ、占有者N!

直接対決の始まりだ!!







続く…。



多分。



追記。

愚痴コーナー。

最近、使えない仲介業者が多すぎ。

つーか、ちゃんと話まとめろよ。

 

2003.07.27 日曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々編



本編に入る前に−。

改正民法・民事執行法に関して、

ニュース更新をしたんでそちらもどーぞ。

たまには真面目な文章も書いている、ワタシだったり。

占有屋は、まだまだ撲滅出来ないだろうなあ…。

でも今回の国会はイラク特措法を始めとして、

重要法案がスルっと通過してるよな。

…いいのか、それで?



<前回までのあらすじ>


占有者Nの本拠地を見つけ出した追い出し屋G。

とうとう、ここまで来たか…。

追い出し屋Gは、インターフォンのボタンを押す。



今、運命の扉が開かれる…。




それでは本編…。




占有者Nはここにいる!




−午前八時四十五分。

在宅率が高いであろう、日曜日の早い時間帯を、

こちらはわざわざ狙って来たんだ。

絶対家に居ろよ!



…ワタシはテンションを無理やり上げ、

僅(わず)かではあるが震えた手でインターフォンのボタンを押した。



ピンポ〜ン。



インターフォンの気の抜けた音がワタシの耳に入る。

緊張感漂う中、何とも間抜けなことだ。

…だが、しばらく経っても誰も出てこない。

ワタシは再度、インターフォンを鳴らす。



ピンポ〜ン。



何度聞いても間抜けな音だ。

これじゃあ、せっかく上げたテンションも、

お腹グルグル急降下だ。



…しばらく後、インターフォンから女の声がした。



「−はい? どなた?」



声質から言うと、中年のそれで、

恐らく占有者Nの奥さんといったところだろう。

何とも眠そうで、

せっかく寝てたのにアンタのチャイムのせいで起されたじゃない、

と言わんばかりの声であった。



ワタシ
「あー、ワタシですね。

ご主人の知り合いで追い出し屋Gと言いますが、

ご主人はご在宅ですか?」


N夫人
「…いえ、主人は出張で居ませんけど」



…あ、あの野郎居ないのかよ!!



N夫人
「…どうかしました?」



しばらく黙っていたワタシに対し、夫人は声を掛けてきた。



今、家にいないのか…。

それとも誰が来ても居留守を使う様、指示されてるのだろうか…。

いずれにせよ−、

今日のところは占有者Nとの直接対決は難しそうだ。

それならそれで、作戦を、ターゲットを変えるしかないか。

ターゲット変更。

誰から誰へ?

それはもちろん、占有者Nから、

今ワタシがインターフォン越しに話している、N夫人へ、だ。

実はこの夫人は元々六本木のワンルームを所有していた、

占有者Nの妻であるといっただけではなく、共有持分を持つ、

法律用語でいうところの利害関係人でもあったのだ。

つまりは私は関係ない、

知らぬ存ぜぬではすまない立場にいる、といったところだ。

まあ、どうせそれを追求したら、

私は知らない、関係ないといい続けるであろうが…。



ワタシ
「−そうですか。ご主人はいらっしゃらないですか。」



そして、一呼吸おいて、ワタシは言葉を続けた。



ワタシ
「それだったら、奥さん。アナタでもいいです。

話がありますので、ちょっと出て来て下さい」


N夫人
「…はい?」



突然、主人から自分へと話の主が振られたので、

面食らったことが、上ずった声からして分かる。

インターフォンの呼び鈴といい、夫人のこの声といい、

今日は間抜けな音をよく聞く日だな。



ワタシ
「−ですから、今言った通りですよ。

ワタシはね、奥さん、アナタにも用事があるのです」


N夫人
「…はあ?でも、一体何の用です?こんな朝から…」



ワタシは一気にまくし立てた。



ワタシ
「奥さんね。ワタシが今日ここに来たのは他でもありません。

奥さんとご主人が以前持っていた、

六本木のワンルーム、ありますよね?

事務所で使ってたヤツ。

そのマンションの件なんですけど。

もうとっくにウチに所有権が移転されているんですよ。

…にも関わらず、お宅が不法に占有していて、

しかも住民票の住所も置かれていて非常に迷惑なんですよ。

ですから、今日は不法に占有しているアナタ方に対し、

違法行為を止めて貰うよう、今日は伝えに来たんですよ」



N夫人はいきなりの訪問と、急な展開に戸惑ったのか、

更に間の抜けた声を出した。



N夫人
「・・私は、私はそんなこと知りません。

主人じゃないと分かりません…」



ほーら、来た。

私は知らない、私には分からない−。

そんなことの繰り返し。

ワタシからしてみれば、

関係あるのに関係がないと言い切る、その神経が分からない。



ワタシ
「奥さんね、全く関係ないから分からない、と言ってるんですか?

そんなことないでしょ。大体奥さん、共有持分で持ってたんだから、

奥さんも元々の所有者なんですよ。

それでひとんちの不動産を無法にも占拠してる状態なんですよ!

それを知らぬ、存ぜぬじゃ、人としてダメでしょう。

…大体、インターフォンじゃあ、お話すら満足に出来ないので、

とりあえず出て来てくださいよ」



それに対して、N夫人答えて曰く。

「…え、でも、私、まだ寝巻きのままですし。

それに分からないままお話しても仕方がないじゃないですか」



当然、こういったことは人によって、話し方や内容を変える。

ここまで話してきて、

今回の場合は多少強めに言った方がいいと判断したワタシは、

少し語気を荒げ言った。



ワタシ
「−奥さんねえ、先ほどから何度も言ってますけど、

分からない分からないじゃないですよ。

子供じゃないんだから。そーでしょ?

寝巻き?だったら着替えりゃいいでしょ。

アナタは今、違法なことをやっているという自覚がないんですか?

しかもそれは、アナタも共犯なんですよ。共犯。

ワタシもね、遊びで来ている訳じゃないんですから、

話をして問題が解決出来る前では、ここを一歩も動きませんよ!」



ズバンと言い切るワタシ。

相手はどうでるか…?

さあ、勝負だ!



しばらくの沈黙の後、N夫人は言った。



N夫人
「…分かりました。それでは着替えてから参りますので、

少々お待ち下さい」


ブツっと、インターフォンが切れる音がした。



とりあえず第一段階はクリア。

さて、と。

次なる作戦はどうしようか。

ワタシはあらん限りの問答を想定していた。



だが、このときはその後に待ち受けている、

思いも掛けぬ展開を知る由もなかった…。





そして次回、驚愕の展開が!!





…続く



多分。




追記。

愚痴コーナー。

最近肩が重い。

何か取り憑かれてるのか?

 

2003.07.28 月曜日 


占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。



<前回までのあらすじ>


追い出し屋Gが占有者N宅で出遭ったのは、

占有者Nではなく、その夫人であった。

追い出し屋Gは咄嗟(とっさ)の判断で、

ターゲットを占有者NからN夫人にロックオン!

やっとのことでN夫人を外に出すことに成功したのだが…。





それでは本編…。




−さあ、出て来い!




N夫人
「…分かりました。それでは着替えてから参りますので、

少々お待ち下さい」


ブツっと、インターフォンが切れる音がした。



N夫人が出てくるまで、ワタシはその後の工程を幾つも想定した。

また同時に強い自分のイメージを創り上げていった。

強い自分を念じることで、相手に気合負けしないようにするのだ。



−俺は獲物を待つ豹(ひょう)だ。



そう、自分に言い聞かせた。



俺は豹だ、俺は豹だ、俺は豹だ−。



深く、深く、心に刻み込む様に念じていく。

次第に自分と豹が一体になっていくような感覚に陥(おちい)る。

更に深く念じる。

もっと深く、誰にも負けない豹になりきる為に…。



俺は豹だ、豹だ、豹だ−。

豹は強い、豹は足が速い、豹はその牙で相手を喰らい尽くす、

そして豹は猫科の動物。

猫科?



猫?


猫、猫、猫。

三毛猫、シャム猫、ペルシャ猫、チンチラ、アメショー、ヒマラヤン…。

俺は猫だ、俺は猫だ、俺は猫だ−。



♪猫、にゃーお。猫、にゃーお。猫、にゃー、にゃー、にゃー!




って、いつの間にか猫になってるじゃん!





そんなどうでもいいことを思いつつ、

N夫人が来るのをワタシはじっと待っていた。

この時のワタシは−、

その後の思いも寄らぬ展開など知る由もなかった。



待つこと数分。

まずはチェーンが外れる音がし、続いて玄関ドアが開いた。

現れたのは化粧気のない、中年の女性であった。

カーディガンに、下はジャージというそのいでたちで、

急いで出てきたことが分かる。



N夫人
「…それで、何です?」



明らかに不機嫌そうな顔で、N夫人は言った。

どこまでも無愛想だった。



N夫人の素っ気無い言葉を受け、

ワタシは何事も最初が肝心とばかりに、言いのけた。

先制攻撃開始だ!



ワタシ
「…それで、何です?はないでしょう。

何ですって、それこそ何ですか!

ワタシが言ってることがお分かりにならないのですか?

先ほども言いましたけど、

ワタシはひとの不動産にお宅が勝手に置かれている、

事務机とか棚とか、事務用品その他諸々のモノを退かして下さい、

って言ってるんですよ!

言ってること、分かりますよね?」



ワタシの勢いに少し圧倒されたがごとく、

N夫人は小声で言い返す。



N夫人
「…そのことでしたら、主人じゃないと分かりません」


ワタシ
「主人じゃないと分からないって、それは逃げ口上だと、

ワタシはさっきも言ったでしょう!

奥さん、アナタもねえ、共有で所有権持ってたんですよ!

この意味分かりますよね?

アナタの責任でもあるんですよ!」


N夫人
「いえ、でも…」



まだ、分かってないようだな。

言葉を畳み掛けるワタシ。



ワタシ
「いえ、でも、じゃないですよ!

こちらの言ってることが分からない、分からないじゃ、

話し合いもへったくれもないでしょ!」


N夫人
「…」



何も言い返せないのか、はたまた何か考えているのか、

N夫人は下を向き、黙りこくってしまった。



ワタシ
「ちゃんと話聞いてます?」


N夫人
「…」



依然として、下を向いたきり、何も話さない。



ワタシ

「何黙ってるんですか?」


N夫人
「…」


ワタシ
「そうやって、黙っていただけじゃ意思が通じることはないですよ」


N夫人
「…」


ワタシ
「それじゃあ、ワタシが言ってることに全面的に納得してるんですね?

そりゃワタシが言ってることが正論ですけど、

自分たちがやっていることが違法なことだもんで、

アナタ何も言い返すことが出来ないんでしょ?」


N夫人
「…」


ワタシ
「ほら、やっぱり図星ですね。

だったらだったで、もう揉めることなく、

すべてのものを片付けてウチに物件を引き渡して下さいよ。

本来だったら、今すぐ引き渡して貰いたいんですが、

今日の今日じゃ出来ないってこともあるでしょう。

だから今日は、合意書を持ってきたんで…」



ワタシはカバンの中から書類とペンを取り出した。



ワタシ
「奥さん、ここに署名と捺印…」


N夫人
「…るさい」



N夫人は下を向きつつ、何か小声でぼそっと言った。



ワタシ
「はい?何か言いました?」


N夫人
「…るさいっつってんだよ」



N夫人は何やら肩をぶるぶる震わせながら、言った。



ワタシ
「はい?何か言いたいことがあるんだったら、

はっきりといえばいいんじゃないですか?」



−と、その時だ。

肩を震わせていたN夫人が、いきなり顔を上げた。

興奮で顔全体が赤く充血しており、今にも喰らいつかんとする、

そんな顔つきをしていた。


そして−。



「だから、うるせいっつってんだよ!

さっきから黙って聞いてりゃ、

いい気になりやがって!

こっちはしらねえ、っていってるんだよ!

しらねえってんだから、黙って帰れよ!

それをなんだい!

ごちゃごちゃごちゃごちゃ言っちゃってさ!

そんなにアンタ偉いのかい!

アタシよりも偉いってのかよ!」







いきなり、逆ギレかい!






別に年のことまで言いたかないが、

齢(よわい)40も半ばも過ぎてるだろうに、

逆ギレで万事上手く進むと思ってるんだろうか、この人は。



N夫人のヒステリーは続く。



「だいたい、こんな朝っぱらからなんだい!

アンタの常識を疑うよ!

常識ある人間は、こんな朝から来るもんじゃない!


きいいいいいいいいいいいいい!」



自分の常識は他人の非常識。

常識をお題目の様に唱えるのなら、

まずは常識ある人間は絶対しない、

違法な占有行為を即刻止めてもらいたいものだ。

そんなワタシの思いとは裏腹に、

N夫人のヒステリーは続く。



「きいいいいいいいいいいいいい!」




もう何いってるのか。

ワタシにはキーキー言ってるだけにしか聞こえない。




「きいいいいいいいいいいいいい!」





そして次回、驚天動地な展開が!!





…続く



多分。




追記。

次回やっと長男くんが登場。

本当は今回現れるはずだったのに、

奥さんがきーきー言い過ぎで出れなかったんでしょう。

このペースだと最後の対決まであと数回かかりそう。

わりとジェットコースター・ムービーみたいな展開が、

待っていたり、待っていなかったり。

感想くれると単純にやる気がでますです、はい。

別に批評批判でもOKです。

一言でいいんで、お願いしますです。

 

2003.07.30 水曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々々々編





<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。



<前回までのあらすじ>


N夫人との対面を果たした追い出し屋G。

追い出し屋Gの正論に太刀打ちできなくなったN夫人は、

得意技であるヒステリー・アタックを炸裂させる。

どうするどうなる、追い出し屋G!




それでは本編…。




「きいいいいいいいいいいいいい!」




爽やかな日曜日の朝のひととき。

中年女のヒステリーがこだまする、サザエさんの街in世田谷。

閑静な住宅街である。

周り近所が静かなだけに、その金切り声は四方八方に響き渡る。

ワタシは彼女の鼓膜が破れんばかりの騒音を目の当たりにし、

ぽつりと言った。



ワタシ
「あんまり騒ぐと、近所迷惑ですよ。奥さん」



ついでにもういい年なんだから、と付け加えようと思ったが、

火に油を注いで、その上に爆竹を入れる様なものだと自制した。

だが、自制するも何も、ワタシが話す言葉のひとつひとつが、

N夫人にとってみたら、火に油どころか、

火に核ウランをぶちまけ、ついでに灯油をぶっ掛けた様である。

ワタシの近所迷惑発言を受け、彼女の絶叫は頂点を迎えた。



「アンタがうるさいんだよっ!

アンタが来るからいけないだよっ!

何も知らないアタシに、アンタがいきなりきて、

アンタがアタシの悪口を言って、

嫌がらせして、脅迫して…」



ブー!ブー!ブー!(警報アラーム)

被害妄想度120パーセントを越えています!

許容範囲を越えています!

もう限界です、艦長!!




「きいいいいいいいい

いいいいいいいいいいい

いいいいいいいいいいいいい!」




最初のおどおどした表情から、一転してこの有様だ。

当初の戦闘力0から、攻撃力が各段に上がったその様は、



お前はスーパーサイヤ人か!



とツッコミたくなる程の変貌ぶりである。



もう収拾がつかない−。

そう思ったワタシであるが、だからと言って、

ここで立ち去っては事態は何ひとつ進展しない。

N夫人がヒステリーを起こそうが何しようが、

ウチの不動産を占有(占拠)している、その事実は変わり様がないのだ。

さて、次はどうしようか−。



その時である。



きーきー言っているN夫人の後ろで、玄関ドアが開き、

そこからひとりの男が出てきた。

身長は180センチを越えているだろうか。

だが、それ以上に横幅に目が行く体躯の持ち主であった。

よく言えば巨漢。

あまりよく言わなければ太ってる人。

悪く言えばデブ。

暑い事は暑いが、額から止め処(とめど)なく汗を流している。

しかも年齢不詳。

メガネの、シルバーフレームがキラリと光る彼の顔面は、

年を取ってる様にも見えるし、若そうにも見える。



ワタシは彼を見て、思った。



とりあえず、だ。




デニムのシャツをジーンズの中に入れて着るなよっ!




ペンネーム(毎日家にいるときはいつもジャージ男)からの、

ワンポイントおしゃれアドバイスだ。

これで今日から君もファッションリーダーDA・YO・NE!



などということを、一瞬の時間で夢想したワタシ。

そんな夢想を強いられる位、インパクトの強い彼であった。



N夫人
「△△男ちゃん!出てこなくていいのっ!」



今まできーきー言っていたN夫人だったが、彼を目にした途端、

急に慌てた素振りを見せ始めた。


△△男−。


六本木で見つけた紙切れに示されていた名前。

彼はどうやらN夫人の息子であるようだ。



N夫人
「いいの、いいの!ここはママがやってるんだから!」


△△男
「でもー。ママがすごい声で話しているからー。」



巨漢の△△男は、事態を把握しているのか、把握してないのか、

場にそぐわない語尾を延ばしたゆっくりとした口調で話していた。

こやつは、マザコンか?



N夫人
「ママはね、今大切な話をしているの!

でも、△△男ちゃんは心配しないで!」



ん?

今、自分で「大切な話」と言ったな。

この言葉は結構ポイント高いぞ。

あとで突っ込むときに使える言葉だ。



△△男
「でも、ママー。

この人(とワタシを指差す)、さっきからママをイジメてるんでしょ?

だからママはー」



あまりにも汗をかき過ぎて、

その指先からも、しずくが滴(したた)り落ちそうだ。



ってゆーか、人を指差すなんつーのは、大変失礼だぞ!



彼の失敬な態度に不快感を表すワタシ。

それは当たり前だ。

だが、そんなワタシの不愉快さなどものともせず、

彼らは自分たちの会話を続けていた。




N夫人

「いいの、いいのっ!ママはイジメられてないから!」



などなど、延々と繰り広げられる母と子の会話は、

往年のドリフのバカコントを彷彿(ほうふつ)させるものであった。

この親にして、この子あり。

そんなフレーズが、ワタシの頭の中をグルグルと回る。



何だか、この会話だけ聞いてると、一方的にワタシが悪者みたいだ。

母であるN夫人をイジメる悪者・追い出し屋G。

そして母を懸命にかばう健気な息子・△△男。

そんな構図、か。



それにしても、だ。



ワタシは先程から感じていたことを再確認する。

この視線は一体何だ?

今、目の前でバカコントを展開している母子の他に、

それ以上の視線を感じるのだ。

ふと、ワタシは首を上にし、ぐるりと輪を描くように周囲を見渡す。

あっ!

ワタシは隣家の二階の窓越しに、人影を見つけた。

おばさんだった。

ワタシと目と目が合うと、

そのおばさんはバツが悪そうにカーテンを閉めた。

そりゃ、こんな大声で日曜日の朝っぱらから、騒いでるんだもんな。

何事が起きたかとその震源地を探るのは、ごく自然な行為だ。

この調子だと、近所の人間の中には、

あのおばさんの他にも、興味本位でこの光景を見物している、

もしくは聞き耳を立てている人間がいるだろうな。

ワタシは後ろを振り返ってみた。

−やっぱり居たか。

正面右斜め前の家からは、

ジーさんがじっとこちらの様子を伺っている。

ワタシと視線が合っても、さっきのおばさんとは違い、

視線が合って、だから何だ、と言わんばかりに、

仁王立ちの姿勢を崩さず、こちらを見続けている。



ワタシは思った。

まあ、ゆっくり見物しててちょうだいや。

本来だったら、見物料取りたいところだけどね、と。



ワタシは近所の人間に見られていても、特に不都合な点はない。

ワタシがここに住んでいる訳でもないし。

むしろ他人に見られていた方が相手のけん制にもなるし、

こちらの作戦の幅が広がる。

逆に、ここに住んでいる占有者Nの家族はどうだろうか。

近所のヒマなおばさんや老人の、井戸端会議のネタにされ、

噂が流され、物笑いの種にされてと、何ひとついいことなどない。

はっきり言ってワタシがそんな状態に陥ったら、

その場所から即、引っ越すことを考えるであろう。

だが、近所からの視線など気にも留めないのか、

バカ親子、夢の豪華競演はギャーギャーと続いていた。



これ以上、こんなバカコントに付き合わなくてもいいだろう−。



ワタシは彼らの会話を制し、

冷静に、そしてゆっくりと物を噛み砕く如く、彼らに言った。



ワタシ
「…奥さんね、もう親子の間のことはどうでもいいですよ。

こっちはね、ウチの物件を早々に引き渡してくれ、

ただそれだけなんですよ。

ワタシもこれ以上、時間を無駄にしたくないんで。

先程、この話が重要だと奥さん、言いましたよね?

その通りですよ。

この機会を逃したら、奥さん。

あとは…」



ワタシが詰めの言葉を言おうとした、その時だった。

△△男は、ワタシの言葉を遮り、

再び、ワタシに指を突き指し、こう言い退けたのだ。





「オマエ、もう用ないだろ。

早く帰れ!」







…その瞬間、ワタシの中で何かが壊れる音がした。






次回、思いも寄らぬ展開が!





続く…。



多分。




追記。

今日は酔っ払い。

でも誤字脱字、意味不明な文章は素面でもそうなんで、

酔ってるせいにはしませんです、はい。

 

2003.07.31 木曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。



<前回までのあらすじ>



N夫人との対決中、突如現れた△△男。

△△男は、占有者Nの息子であった。

彼の登場により、事態は思わぬ展開へと発展する…。

どうなる、どうする、どうしちゃうの?

追い出し屋G!




それでは本編…。




「オマエ、もう用ないだろ。

早く帰れ!」






△△男は、ワタシを指差し、こう言い退けた。

そして、再び彼は言った。




「早く帰れよっ!」




…その瞬間、ワタシの中で何かが壊れる音がした。

そりゃあもう、ブッツリと。

一瞬の空白。

そして次の瞬間、ターボが掛かったように、

ワタシは目の前の親子に牙をむいた。



「…あのねえ、君ねえ!

さっきから黙って聞いてれば、用がないから帰れだの、

オマエ呼ばわりするだの、人に向かって指を突き刺すだの、

何でもアリだな!

こっちは用があるから来てるんだろーが!

そりゃ当たり前だろ。

じゃなかったら、なんでこんな天気のいい日曜の朝から、

気分の悪い話しに来なきゃならんのだ!

こっちは非常に重要な話をしに来てるんだ!

別にこっちの身になって考えろとは言わないが、

実際に用がないのは、△△男くん、君の方だよ!

じゃあ、お母さんに代わって君が責任取れるのか?

取れないだろ?

別にこっちも君に責任取れとはいっていない。

責任を取らなければならない、君のお父さんなり、

お母さんに、まずは穏便に事を済ませるべく、

話に来てるだけなんだよ!

それを邪魔するっていうのなら、問答無用に帰れというのなら、

こっちも帰っていい。

ただその時は、こちらにも色々考えはある。

それをただ実行するだけだ!!」




ワタシは一気に早口でまくしたてる。

その勢いに圧倒されたか、ただ呆然とワタシを見つめる母と子。

このまま一気呵成の勢いで話し続けるか?

否。

ワタシは今までのハイテンションを、

一気にクールダウンさせ、

今度はゆっくりとした口調で話しを続けた。



「…奥さんね、よーく考えてもみてくださいよ。

アナタ方が住民票を動かさず、隠していた住所なんて、

こーやってすぐ割り出せるんですよ。

何故だか、分かります?

こっちはプロだからですよ。

何でもお見通しなんです。

でもね、ワタシにはひとつだけ分からないことがあるんですよ。

それはね、何でこの期に及んでまで、

アナタ方がウチの物件を占有し続けるかってことですよ。

ここにこうやって、立派な家があるんですから、

別に住んでるわけでもなし、事務用具はあるものの、

事務所として現に使っているわけでもない。

何か理由があるんですか?

ただ中にあるものを置くような場所が、

他にないってことですか?

もしそれだったら、それでウチで処分しますから、

その旨を書いた合意書に署名捺印くださいよ。

ただそれだけで終わるんですよ。

奥さん、どうですか?

このまま意味もなく占有を続け、ウチと喧嘩しますか?

毎日毎日、喧嘩しますか?

それとも早々に荷物を出してもらって、穏便に事を済ませますか?

さあ、どうですか?」




ワタシはN夫人にゆっくりと丁寧に言葉を伝える。

N夫人はさっきまでのヒステリーが治まったかのように、

シュンとなり最初の頃の様にまた下を向くばかりであった。

だが、息子の方は母親とは違ったようだ。

顔は赤く歪み、汗は滝の様に流れる。

そして黙っているN夫人の代わりは俺だと言わんばかりに、

△△男がワタシに吠えた。




「う、うるさいぞ!

ワケわかんないことばっかいうなっ!」




…。

あー、もう。

どっちがワケわかんないんだよっ!!



ワタシだって人並みには理解力のある人間だ。

何がどの様に間違っているのか、

それを順序立て、理論を正しく構築して貰えれば、

それが伝わらないことはない。

だが、彼の様に秩序ある理論により、

相手を論破するといった試みもせず、

ただただ闇雲に、やれ訳が分からないだの、

用がないから帰れだの…。

結局、彼の言葉というのは、自分の許容範囲を越えたから、

思考停止しましたと言っているのと同一だ。

恥ずかしげもなく言うその態度が、ワタシには腹立たしかった。

同時に他人事ながら情けない想いでいっぱいになる。



しゃーないなー。

ここは一発カマしとくか。



「おい!さっきからワケわからんとか言っとるけど、

分からなかったら分からないで、口出しをするな!

大体これは俺とお母さんとの間の問題なんだ!

下手をすると莫大なカネが絡んでくる問題なんだぞ!

こーやって親の脛(すね)をかじっている様なオマエが、

おいそれと払える金額じゃない!!

支払能力がないんだったら、黙ってろ!!」




△△男に、ガツンと言い放った。

それに対し、△△男は更に顔を赤く染め、

何だかドス黒くなっている。

汗も華厳の滝がナイアガラの滝にバージョンアップしたかの様に、

止め処もなく後から後から噴出している。

だが、言い返すにも言葉が出ないのであろう。

ただ金魚の様に口をパクパクさせるだけで、

声にはならない声を発していた。



さあ、ここでフィニッシュかな…。



そう思った矢先である。

ワタシの後ろで、自転車のブレーキが掛かる音がした。

潤滑油が足りないのか、その音は非常に鈍く、響き渡る。

ワタシは振り返った。

ひとりの男が自転車から降り立つところであった。

そして、自転車から軽快に降り立った男は、言った−。






この後、信じられない展開が!






続く…。



多分。





追記。

結構、端折(はしょ)ってる部分があるんですが、

いやいや長いですね。

ついでに、何で、占有者Nはこんないいところに住んでいるのでしょうか?

そのあたりの謎は後日解決します。

まあ、期待する程のものではありませんが…(笑)

 

2003.08.03 日曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々々々々々編




あー、日記ですが、二日間お休みしてしまいました。

毎日更新とか言ったんですが、いやいや忙しかったんで、

というのは当然イイワケです。

イイワケするのも人生さ。

−というワケで「毎日更新!」を掲げてきたワケですが、

それは非常におこがましいので、

これからは「毎日更新!風味」とでもしておきます。

カニ風味みたいな感じ。

でも、更新はなるべく毎日やりますんで、

ご贔屓(ひいき)にして頂き、

又のご来店を心よりお待ち申し上げております。なんてな。

それでは本編を早速どうぞ。



<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。



<前回までのあらすじ>



N夫人とその息子△△男との全面対決!

追い出し屋Gは絶叫する!

そして自転車の男は一体…。

謎が謎を呼び、物語は佳境へ!!




それでは本編…。




バカ母子との会話もこれでフィニッシュだ。



と思ったその矢先のことである。

ワタシの後ろで、自転車のブレーキが掛かる音がした。

潤滑油が足りないのか、その音は非常に鈍く、響き渡る。

ワタシは振り返った。

ひとりの男が自転車から降り立つところであった。

そして、自転車から軽快に降り立った男は、言った−。



「110番通報があって、ここに来たんですが…」



その男は、警察官であった。

まだまだ若さの残るその警官は、

無理して自転車を飛ばしてきたのか、

少し息を切らせながら話を続けた。



「喧嘩しているということでの通報があって、

近くの交番から来たんですが…、

喧嘩してるのは、アナタ方ですか?」



誰かが警察に通報したんだ。

一体誰が…。

とワタシは思ったが、考えるまでもなく一瞬で謎は自己解決した。

だいたい静かな住宅街で日曜の朝っぱらから、

こんなにワーワーギャーギャーと騒いでるのだ。

ワタシは二人のギャラリーを目視している。

ワタシには気が付かないだけで、

実際はもっと多くの人間が、この騒動劇を目撃していることだろう。

その中の誰か一人か、あるいは複数の人間が、

警察に通報したのは自然な成り行きとも言える

その通報を受け、最寄りの交番から警官が来たのだ。



警官
「−あのう、喧嘩してるんですよね?」



警官はワタシと母子に再度問いかける。



N夫人は、ただひたすら下を見続け、

肩をひくひく引きつらせている。



△△男は、何でこの場に警官が登場するんだ?

とでも思っているのだろうか、

ただただ警察官の顔をボーっと見ているだけであった。



ワタシはといえば…。



ワタシ
「別に喧嘩などしてませんよ。ワタシは話し合いに来ただけです」



ワタシは冷静に答えた。

警官が来たということでワタシにとって不都合な点はない。

これは先ほどの近所の住民と同じだ。

いや、むしろ警察が来てくれたことによって、

ワタシに追い風が来るように仕向けることも出来る。

これはワタシにとってチャンスなのだ。

警察は別に怖くない。

何故ならば、これは刑事事件ではなく、民事だからだ。



警官
「え、だけれども、こちらのご夫人は泣いているみたいだし…」



N夫人は警官が来たことにより、

今まで彼女なりに我慢して溜めていたものが、

一気に噴出したのであろうか、

子供の様にワンワン泣きじゃくっていた。

それに呼応するが如く、母の敵を討たんとばかりに、

△△男はワタシに指を突きつけながら、言い放った。

つくづく、失礼なヤツである。



「お巡りさん!!

この男が急にウチに来て、母をイジメるんです!

こっちは何もしてないのに!!

早くこの男を捕まえて下さい!!」




△△男は興奮あまって唾を飛ばしながら、

警官にワタシのことを逮捕しろと迫った。

思わず苦笑するワタシ。



余談になるが、私は「苦笑」という言葉は好きではない。

これは相手を最大限にバカにする行為であるからだ。

よくネットの世界でも(苦笑)とか(苦藁)とかいう言葉が使われるが、

この言葉ほど人を苛立たせ、腹立たせるものはないと思っている。



だが、この時のワタシはまさしく苦笑せざるを得ない状態だったのだ。

ワタシを逮捕しろって、どんな考えをどのように持ったら、

そんなことを言えるのか?

こっちは荷物を早くだせ、占有を解除しろ、と言いに来ただけだぞ。

それをどんな罪で逮捕しろっちゅーんだ?



警官
「いきなり逮捕してくれって言われても…。

現行犯ではありませんし…。

まあ、こちらの方のお話も聞かないと…」


ワタシ
「だったら最初から事情をお話しましょうか?」


警官
「あー、はいはい。お願いします」



ワタシが事情を最初から話そうとした時だ。

ひとしきり号泣して、楽になった感のN夫人が、

この事情を聞かないと逮捕も何も判断しようもない、

という至極当たり前のことを言った警官に対し、

腹立たしさを持ったのだろうか。

泣いた後には再び怒りが沸いて来たようだった。

彼女はまたもヒステリーを再発させ、警官に言った。



「お巡りさん!!

あの男が、あの男が…、

ワタシを、嫌がるワタシを外まで引きずりだしたんです!

何もしてないのに、何もしてないのに!!

警察は善良な市民を守る義務があるんじゃないですか!

早く逮捕して下さい!!」




△△男も再び、汗を大放出しながら声を荒げる。



「そうだ、そうだ!!

市民を守る義務を何で果たさないんだ!!

早く逮捕しろ!!」



逮捕しろ、逮捕しろの大合唱。

ワタシは又も苦笑した。




こいつらは刑事と民事の区別すらつかないのか?



警察には「民事不介入の原則」というものがある。



この「民事不介入の原則」を説明すると−。

近代国家では大きく分けて二つの法体系に分かれる。

刑事と民事である。

刑事とは、簡単に言えば殺人だとか強盗だとか、

国家が取り締まらなければならない犯罪のことであり、

民事とは個人間(法人を含む)の紛争のことである。

個人間の紛争とは、一番多い例でいえば、

カネを貸したが返してもらえない、というケースだ。

警察はあくまでも犯罪を取り締まる機関であり、

個人間の紛争には一切立ち入らないというのが、

「民事不介入の原則」というものである。



そういったことも分からず、

逮捕だ、逮捕だと喚(わめ)いているのだ。

警察官が来たことで最初は戸惑いを見せていた母子であったが、

恐らく警官はワタシを逮捕しに来たのだと勘違いしているのだろう。

だから、中々自分の敵をしょっ引いてくれない警官に、

苛立ち、早く逮捕しろと急かしているのだろう。

全くもってオメデタイとしか言い様がない。



困惑する警官。

「民事不介入の原則」をしっかり教育されている若い彼にとっては、

困惑するしかなかったのだろう。



「おおーい、終った?」



その若い警察官に声を掛ける初老の警官。

その後ろにはもうひとり中年の警官がいた。

いつの間にか二人の警官が自転車に乗ってやってきたのだ。



これで三人の警官がやって来たか。

段々と大げさな話になって来たもんだ。



若い警官
「いや、まだなんですけど…」


初老の警官
「あー、まだなの?」



若い警官は、少し不機嫌そうな顔をした。



N夫人と△△男は、しびれを切らしたように言った。



「まだ連れて行ってくれないのですか!?

早くしてください!!」



「早く連れて行け!!」





それに対し、初老の警官は落ち着いた声で言った。




初老の警官
「…奥さん、何か勘違いしてません?」






さあ、追い込みはこれからだ!






続く…。



多分。





追記。

何はなくとも寝過ぎ。

休みの日はだらだらしてダメですね。

でも逆に平日よりも忙しかったり。

 

2003.08.04 月曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々々々々々々編




占有者排除の方法論・第二話「占有者の性格は?」アップしました。

占有者とは一体どんな性格の人間が多いのかについて。

それでは本編をばどうぞ。



<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>



N夫人とその息子△△男との全面抗争中の追い出し屋G。

その場に警察も現れて、そりゃあもう大騒ぎさ!

さてさて、いかなる顛末(てんまつ)を迎えるのか!?

すべては神のみぞ知る!!




それでは本編…。




「まだ連れて行ってくれないのですか!?

早くしてください!!」



「早く連れて行け!!」





N夫人と△△男の大合唱。

それに対し、初老の警官は落ち着いた声で言った。



初老の警官
「…奥さん、何か勘違いしてません?」



その警官は涼しげな顔でのんびりと言った。

それに対する母と子の反論。



「勘違いも何もしていません!!

悪いのはこの男です!!」




とN夫人。



「どうでもいいから、早く連れて行け!!」



と△△男。



ワタシは何もいい様がない。

ただただ苦笑しつつ、状況を見守っていた。

初老の警官はといえば、母と子供の猛烈な抗議に対し、

痛くも痒(かゆ)くもなさそうに言い退けた。



初老の警官
「まあ、奥さん。あと息子さん?

まあ、落ち着いて、落ち着いて。

でね、どのあたりが勘違いっていうかというとね…」



警官はゆっくりとタバコの煙でも吐き出すかの様に、言葉を続けた。



初老の警官
「奥さん。この旦那さん(とワタシを示した)は、

お金を取りに来たんでしょ?

でもね、警察はこの旦那さんが奥さんを、

殴ったり蹴ったりしなければ、逮捕できないの。分かる?

これね、難しい言葉でいうと、民事不介入ちゅーの」



若い警官と、中年の警官に対し、

この手の騒動はこうやって収めるんだ、

ちゃんと見て、勉強しろと言わんばかりの話っぷりである。

二人の警官は、初老の警官の話にうんうんと深く頷(うなづ)いていた。



ワタシは思った。

そうそう、お巡りさん、その通り。



でも…、






俺が借金取りだと勘違いしてねーか!?






勘違い警官の話は続く。



初老の警官
「まー、まー、奥さん。何か言いたそうだけど、

ちょっとまあ、話を聞いてよ。ね。

それでね、奥さん。

借りたお金は返さないとダメでしょ。

この旦那さんも借りたお金さえ戻れば、

ここにこうやってくることなんてないんだから…」




だーかーら!


俺は借金取りじゃねえつーのっ!!





おいおい、それは違うぞ。

ワタシは借金取りじゃなく、

ウチの所有物件の占有を解除して貰いたいことを伝えに来たんだ、

ということを警官に言おうとした時だった。



…とここで、一台のパトカー登場。

パトカーはサイレンこそ鳴らしていなかったものの、

赤色灯が回っていた。

占有者N宅の目の前に横付けされ、そこから四人の警官が登場。



また警察かよっ!!



最初に来た近くの交番の若い警官。

次に、ワタシを借金取りだと勘違いしている初老の警官と、

まだ一言も発していない中年の警官。

そして最後がパトカーに乗ってきた四人の警官。

併せて合計7人の警官がワタシとN夫人、△△男を囲んでいる。

こんな民事不介入の、警察が立ち入ることが出来ない事件に、

かくもまあこれだけの人数が集まったもんだ。



ヒマだな、警察!!



大勢の警官に囲まれちゃっている状態。

しかも恐らくこの場合、ワタシも当事者だ。

この時、何だか自分は凶悪犯になった様な感じがした。



あーあー。

犯人に告ぐ、犯人に告ぐ!

無駄な抵抗は止めて出てきなさい!!

なんてな。



そんなよくアリがちな妄想をしていた私を尻目に、

若い警官は、パトカーで来た警官たちに対し、

今までの状況報告をしているようだ。



若い警官
「…で、借金の取立て屋が来ているんですよ」



俺は借金取りじゃねえ!!



パトカーの警官たち
「あー、なんだぁ…」



と全員が全員、つまらなそうな顔をする四人組。



がっかりするなよ、オマエラ!!



N夫人と△△男はもう7人の警察官に囲まれた、

ということでテンションが上がりに上がったのであろう、

先程の初老の警官が言ったことなどお構い無しに、

逮捕、逮捕と言っている。



もうパトカーまで来ているこの状況下で、

隣近所の住民たちも、別に人目をはばかる事などないだろ、

と言わんばかりに、この大騒動のギャラリーとして、

やんややんやの大騒ぎだ。


まさにサザエさんの町に、一足早い夏祭りがやってきたという勢い。


祭りだ、祭りだ!!


わっしょい、わっしょい!!






もう状況はめちゃくちゃ!






続く…。



多分。





追記。

展開がめちゃめちゃになってきました。

でも、実際こんなもんだったんで、

事実は小説よりも奇なりってもんですね、はい。

 

2003.08.06 水曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々々々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>



祭りだ、祭りだ!

わっしょい、わっしょい!!

占有者と追い出し屋と警官と近所の人々が繰り広げる大騒動!

狂乱の宴(うたげ)は、まだまだ続いて…。




それでは本編…。




閑静な住宅街に、何人もの警官が徒党を組んで、

ひとつの一軒家を囲んでいた。

そして更に警官隊を囲むように、

近隣の住民たちがギャラリーとして参加している。



ギャラリーは好き勝手なことを話しているようだ。

いわく、この家は借金取りに追われている、とか。

いわく、いや違う。押し込み強盗が入ったみたいだ、とか。

いわく、しかも、人質を取って犯人が立て篭っているらしいぞ、とか。



静かな朝の住宅街は、さながら夏祭りのような騒がしさを呈してきた。

祭り人たちは、遅れてやって来たパトカー隊を含め、7人の警官隊。

その騒動を見ようと外へ出てきた近隣住人たちギャラリー。

祭りの当事者である、N夫人と△△男と、そしてワタシ、

といった面々。



そして祭りを更に盛り上げるべく努力しているのだろうか、

N夫人と△△男は、声高にワタシを糾弾する言葉を吐いている。

そして二人で声を合わせての大合唱。



「逮捕しろ!逮捕しろ!」



彼らは、もうここまできたら恥も外聞もない、

近所の目など、気にしても仕方がない、といった感なのだろうか。

それとも最初から、

他人の目というものを気にしない性質なのかもしれない。



我が道に敵なし!!



といったところか、この母子は。



それに対して、警察はというと、

件の初老の警官が、母子に対して頻(しき)りに、

ワタシを借金取りだと仮定した説得をしている。



だーかーら!


俺は借金取りじゃねえつーのっ!!




ちょっとこのあたりの誤解を解かないとな。

さっきはちょっとタイミングずれちゃって、

そのことが言えなかったけど。

ワタシは初老の警官に声を掛け、言った。



ワタシ
「あのー、お巡りさん。

さっきからワタシのことを、

支払催促に来たみたいに言ってますけど、

ワタシは別に金貸しじゃないですよ」



初老の警官、ワタシの方を見返し、それに対して曰く。



初老の警官
「へ?」



ワタシは警官に今回の事情を説明した。

警察とはいえ、相手は競売の素人だ。

競売をやってる人間には当たり前の様なことや、

簡単な用語であったとしても、

門外漢にとって、それらは難しい言葉や専門用語である。

相手にこちらの真意が明確に伝わらなければ、

こちらの有利な状況に持っていくことも出来ない。

ワタシは、比較的分かり易くシンプルに言った。



ワタシ
「いえ、ワタシ、借金取りとかじゃなくて、

ワタシの会社の不動産、これ、マンションなんですけど、

この部屋に勝手にNさんの荷物が置かれてるんですよ。

だからワタシはこの荷物をどかしてもらうよう、

伝えに来たんですよ。

ワタシも来たくはなかったんですが、

電話を掛けても、手紙を出しても、何をしても、なしのつぶてで…。

仕方なく、今日、自宅に訪問して話し合いをしていたら、

こんな状況になってしまった、ということです」



ワタシはこの状況をワタシ自らが望んで起こしたものではない。

あくまでも被害者はワタシであり、ワタシの会社だ、

−ということをしっかりとアピール。

時には弱者を装うことも必要なのである。



ワタシ
「ワタシは別にやましいこともしてないですから、

お巡りさんたちに名刺を出してもいいですよ」



そしてワタシは、状況をさかんにメモしている若い警官に、

自分の名刺を差し出した。

同時に所有権を主張する際に予め持ってきていた、

権利書と直近で取得した建物謄本を提示する。

これで、警察の、ワタシに対する心象は上がっただろう。



初老の警官
「あー、なるほどねえ。

んでもね、旦那さん。

何でNさんの荷物がお宅の会社にあるの?」



想定通りの質問。

ワタシはそつなく答えた。、



ワタシ
「競売で落札したんですよ。そのマンションの部屋は。

それで所有権がウチの会社に移転して、

名実ともにウチのものになっているのにも関わらず、

部屋の中の荷物を出してくれないんですよ。

本当に困ってるんですよ」


初老の警官
「はあー、なるほどねえ」



初老の彼ばかりでなく、

警官たちは分かっているのか分かっていないのか、

それはともかくとして、頻(しき)りに頷(うなず)いている。



ワタシ
「でもね、お巡りさん。

さっきから、このことを伝えに来たワタシに対して、

帰れだの、逮捕しろだの、そんな暴言ばっかりで…」



ここまでは至ってノーマルに、平静とした口調で話してきた。

よし、ここでアクセントつける為に、調子を変えてみるか…。

ワタシは、今までの平坦な話し方を覆(くつがえ)し、

徐々に熱っぽく、興奮したかの如く話を続ける…。






攻撃開始だ!!






続く…。



多分。




追記。

次回、対決N夫人の項はやっと終わり、

占有者Nとの最後の対決へと続く予定。

もうダラダラいっちゃいます。


2003.08.07 木曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・後々々々々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>



守りの時期は終わった。

これからは攻撃あるのみ!!

追い出し屋Gの猛攻がはじまる。

N夫人と△△男の運命や如何(いか)に…。





それでは本編…。




ワタシ
「でもね、お巡りさん。

さっきから、このことを伝えに来たワタシに対して、

帰れだの、逮捕しろだの、そんな暴言ばっかりで…」



ここまでは至ってノーマルに、平静とした口調で話してきた。

よし、ここでアクセントつける為に、調子を変えてみるか…。

ワタシは、今までの平坦な話し方を覆(くつがえ)し、

徐々に熱っぽく、興奮したかの如く話を続ける…。




攻撃開始!




嵐の前の静けさはもう終わりだ。

怒気を荒げ、声高に!

さあ、やっちゃうよ!!




ワタシ
「でもね、ワタシがここまで怒らないで、

我慢して我慢してお話をしようと思っているのに、

Nさんは全く考え知らずなことしか言わない!

ここまで言われたら、俺だって考えがあるよっ!」



別にそんな大層な考えなどないのに、

ズバッと言い切るワタシ。

とりあえず、更にテンションをあげて−。



ワタシ
「こんな公衆の面前で、罵倒されたんだっ!!

逮捕しろとか、帰れとか、バカとか、

普通、考えられないことばかり言われている!!

これこそ、名誉毀損だよ、名誉毀損っ!!」




ワタシは先程の無礼を無礼で返すが如く、

母子に対して、人差し指を付きつけながら言った。

やられたらやり返す。

ワタシは大人げないんだ。




「名誉毀損で訴えたるぞ!」




うーむ、我ながら無理やりな展開だ。

だけれども、これくらい強引な話にしておいた方が、

警察にも分かりやすいだろう。

初老の警官は、ワタシの急変に慌てたようだ。

おろおろと、ワタシをなだめる様に、言った。



初老の警官
「うんうん、旦那さんの言うこともわかる。

まあ、落ち着いてくださいよ」



よーし、警察は食いついてきた。

もう一押しだな。

ワタシは初老の警官の言葉を無視し、畳み掛ける。



ワタシ
「だってね、お巡りさん!!

じゃあお巡りさんの家に、勝手にゴミとか置かれてたら、

そりゃあ怒るでしょ?

それと同じことをこの人たちはやってるんですよ!!

いいですか、ゴミですよ、ゴミ!

ゴミが家主の許可なく、

勝手に置かれてるんですよ!!

これをどかして下さいというのは、

当たり前のことじゃないですかっ!!

そのお願いをしに来ている人間に対して、

帰れとか、帰らなかったら逮捕だとか、

そんなお門違いの言葉を吐いているってのは、

一体どーゆーことだと思いますか?

お巡りさん、ワタシの言ってること、間違ってますか!?」




ワタシの回りを囲む警官たちは、全員が全員、

そりゃその通り、アンタの言うことはもっともだという顔をしていた。



その時、ワタシは思った。




負あったな…。




事実、初老の警官は、ワタシの言葉を重く受け止めたのであろう。

ワタシに「確かに、旦那さんの言う通り!」と言った後、

ワタシが話している間も、相も変わらず騒々しく自らの主張をしている

N夫人と△△男の母子に対して、厳しく言い放った。



初老の警官
「今の状況が旦那さんの説明でよーくわかったよ。

あのね、奥さんね。今の段階では旦那さんのおかげで

まだそうなってないけど、このままいくと、

荷物全部ほっぽり出されて、損害賠償の請求が行くよ。

あとね、そういった行為は下手をすると民事じゃなくなってくるよ。

そうなったら、困るのは奥さん、アナタたちだよ!

だから、早く荷物出しなさいよ!わかった?」




少しキレ気味で、しかも命令形で語る警察官。

その言葉を聞いた、N夫人と△△男は、一瞬呆けた顔をし、

そして二人とも落胆の表情を大いに露呈した。

それはあたかも、

自分たちの味方であるべき警察が、

何故自分たちに害する発言をするんだ?

と言いたげな顔つきであった。



恐らく、自分たちの正義は絶対であると、

N夫人と△△男は考えていたのだろう。

ワタシの存在など悪魔そのものである。

よって、悪魔の考えに同調する人間などいない。

だから、警察がそれまで何を言っても、

最終的には自分たちの正義を受け入れ、

悪魔であるワタシを追い返してくれる、

もしくは逮捕してくれると、そう思い込んでいたのであろう。

だが結局、警察は自分たちの味方をしてくれなかった。

それどころか、悪魔に手を貸して、自分たちを攻撃し始めた。

それゆえの落胆ぶり、ここに極まれり、だ。



しかしながら、ワタシの目的は彼らをどうこうすることではない。

ワタシの目的はただひとつ。

六本木のワンルームの占有を解除することのみ、である。



ワタシは落胆して弱まっている母子に追い討ちを掛ける様、

それはそれは静かに、言った。



ワタシ
「結局、お巡りさんの言ってる通りだよ。

ゴミをどかす、ただそれだけなんだから。

ワタシはアナタたちをどうしようってことは全く考えていない。

当たり前でしょ。

そんなことしてワタシに何の得があるかってことですよ。

いい?ワタシはね、しつこいんですよ。

アナタたちが何もしないっていうんだったら、

ワタシは明日もここにこうやって来て、

アナタたちと話し合いをしようとしますよ。

仮にアナタたちが出てこないっていうんだったら、

それはそれで結構だ。

アナタたちが家から出てくるまで、ずっと待っている。

それでもいいのですか?」



自分でこんなセリフを言っていながら、

俺ってばしつこい男なんだ。

しつこい男は嫌われるなあ、としみじみ思った。



ってゆーか。





ストーカーかよ、俺!





初老の警官も言う。



初老の警官
「いい?警察は民事には深入りしないけど、

そうじゃなくなってくるケースもあるからね。

旦那さんとよく話し合って、解決しなさいよ」



これに対し、△△男は何か言いたそうに、

唇をふるふると震わせていたが、

N夫人はと言えば、もう言い返す気力もなくなったのだろうか、

肩をガックリと落とし、ただ一言、口にした。




N夫人
「…わかりました」







N夫人、撃沈!






続く…。



多分。




追記。

次回、占有者Nとの最終決戦。

果たして追い出し屋Gは無事、占有を解除することができるのか?

多分、更新は土曜日とか。

明日は忙しいので、すいません。

 

2003.08.09 土曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>



追い出し屋Gの猛攻により、N夫人はついに撃沈した。

果たして、六本木ワンルームの占有は解除されるのか?

それとも…。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




N夫人
「…わかりました」





N夫人、撃沈!





気力なく、肩をガックリと落とし、ただ一言だけ、

蚊のなく様な声で呟(つぶや)いたN夫人。

今までの必至の抵抗もどこへやら、といった感じだ。



息子である△△男はどうかといえば、

彼も又、言い返すことが出来ないのであろう。

何か言いたそうではあるが、唇と顔面をヒクヒク引きつらせながら、

ただただ汗を流している。

巨漢の彼から流れ出でる汗の放出量は、ナイアガラ級。

ダムでせき止めれば、水力発電が出来るのではないか、といった勢い。




これで今年の夏の電力不足は解決だ!



流れ続ける汗を手の甲で払い、△△男は、

彼の貧困なボキャブラリーから捻(ひね)り出した、

彼の中での最高の罵倒単語を残し、家の中へと逃げ帰った。



いわく、「バカ」、と。



だが、彼が言った「バカ」という言葉は、

勢い余り、「バカ」が「ブヒ」という様に聞こえた。

恐らく警官隊やギャラリーにもワタシと同じ響きで聞こえたのであろう、

あちこちで失笑が漏れた。



まさに、彼は「ブヒ」という響きが似合う男だったのだ。





△△男、撃沈!





何はともあれ。

ここで追撃の手を緩めることなく、一気に片を付けなければ−。

ワタシは無防備な状態のN夫人にゆっくり語りかけた。



ワタシ
「奥さん。ようやく分かって頂けたようですね。

でしたら、六本木のワンルームの件、

奥さんとしてはどうするつもりですか?」



N夫人はワタシに精根尽き果てた顔を向け、言う。



N夫人
「…。

分かってます。でも−」


ワタシ
「…でも?」


N夫人
「この件は主人に伝えてからじゃないと…」


ワタシ
「ご主人に伝えないと、今は具体的なことは分からない、と?」



N夫人は、再び下を見つめ、呟いた。



N夫人
「…はい」


ワタシ
「…それで?」


N夫人
「それで…。

少し時間をくれませんでしょうか。

またこちらから電話しますので…」



こんなの、お約束の逃げのパターンだ。

だいたい、いつまで経っても連絡が来ないから、

わざわざ日曜日の朝っぱらから、こっちは訪ねてきたっつーのに。



ワタシ
「それはダメです。

奥さんが何も決められないってんだったら、

今この場でご主人に電話を掛けて、

いつ主人と会えるか、その段取りをつけて下さい。

もちろん、事態は急を要することなので、

遅くても二日後の火曜日までにして下さいね」



少し驚いた顔をするN夫人。



N夫人
「…えっ、今ですか?」



ワタシは力強く言った。



ワタシ
「今です。今すぐ。速攻!」



N夫人は、救いを求めるかのように、

初老の警官に哀願の表情を見せた。

しかし、何のリアクションも返ってはこなかった。

彼女を救う人間は、誰もいないのだ。



しばらく、間があったものの、彼女は答えた。



N夫人
「…分かりました。今、電話してみます」



そう言ったN夫人は落胆しながら、黙って家の中に入る。

その彼女に声を掛けるワタシ。



ワタシ
「あ、玄関ドアは開けっ放しにしておいて下さい」



また篭城(ろうじょう)されたりしたら面倒だからだ。

彼女は言われた通り、ドアを開放し、

玄関先の電話で、旦那である占有者Nに電話を掛け始めた。

その様子は外からも丸見えであった。

ワタシや囲んでいる警官隊はもちろんのこと、

それを遠巻きにして見ている近隣住民のギャラリーにも−。



電話を掛けながら、なかなか出ない旦那に、

苛立ちを隠せないのであろう。

頻(しき)りに、「早く出ろよ!」とか「あの野郎のせいで!」とか、

ぶつぶつと独り言(ひとりご)ちていた。

ようやく出た旦那に対しても、その怒りは留まることを知らず、

わーわーとマシンガンの様に喋っていた。



ワタシは思った。

旦那に対しては、ヒステリーが再発したか、と。



N夫人の電話を傍観しているワタシからしてみるに、

彼女の話の内容は支離滅裂で、

何の脈絡もない、意味不明な話をしているな、

と思うこと、しばしばだった。

N夫人の怒りの電話はなかなか尽きなかったが、

ようやく核心部分である話が終わったのだろう。

一旦、電話を切ったN夫人は憮然とした顔で外に戻ってきた。



N夫人
「…今度の土曜日の夕方六時に赤坂見附でお願いします」



それに対するワタシの答え。



ワタシ
「…奥さん。ワタシの話を聞いてなかったのですか?

ワタシは明後日火曜日まで、と言ってるんですよ。

それが出来ないんだったら、奥さん。

今日一緒に六本木行って、荷物出しましょうよ」



無理を承知で言う。

ワタシも実際にそこまでやらせることはしない。



N夫人
「…そんなこと、出来ません」


ワタシ
「だったら、ワタシの言う通り、

話し合いの機会を設けさせてやるって言ってるんだから、

ちゃんとこちらの言った通りの日時までにやってよ」



N夫人はワタシの言葉に、何も返答することなく、

ただ、またもや家の中に入り、再度電話を掛けた。

彼女のヒステリーは電話口に向けられていた。



そして電話を掛けること、三分。



電話を叩きつける様に切った彼女。

だがワタシにヒステリーの矛先を向けることなく、ぼそっと言った。



N夫人
「…明後日火曜日の、午後六時に赤坂見附で、お願いします」



まあ、こんなもんか。



ワタシ
「わかりました。日時はそれで結構です。

ワタシが行きますから、必ず遅刻はしないで下さいね。

それじゃあ…。

ご主人さんの電話番号と自宅の電話番号、教えて下さい」



よし、これで占有者Nを引きずりだすことに成功した。

待ってろよ、占有者N!





次回、激突の最終ステージへ!




続く…。



多分。



追記。

ようやく、次回こそ、最終決戦!

ひっぱり過ぎだよ、おい。

 

2003.08.10 日曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


占有者Nの自宅を直撃した追い出し屋G。

彼の妻N夫人と息子△△男との死闘は終わった。

そして最後の決戦が、今行われんとしている。

その行方は…?



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附−。



地下鉄営団銀座線、丸の内線が交差するこの街は、

TBSを配する赤坂、国会議事堂を中心とした官庁街・永田町と共に、

山王の丘をぐるりと巡らしている。

この一帯は江戸城の西に位置し、江戸時代は、

紀伊徳川家の中屋敷といった武家屋敷町として発展したが、

それ以上にこのあたりは周辺に坂が多いことで有名であろう。

紀伊国坂、南部坂、転坂、乃木坂、氷川坂…。

だが、面白いことに地名である、赤坂と呼ばれる坂はない。

赤坂という地名には諸説その起源がある。

例えば、この地を掘り返すと関東ローム層と呼ばれる赤土が出るため、

とか、茜山(あかねやま)を略して赤坂とした説、とか、

紀伊国坂を古くは赤坂と称した説、などなど…。

その由来に関しては様々な起源説があるが、

現在においても、どのルーツが正しいのかは不明である。



なんて−。



勉強になったか、この野郎!!



いきなり暴力的表現をカマしてみたりな。

って何故ゆえ?



…はいはい。

そんなこんなの赤坂マメ知識は置いておいて。



赤坂見附の駅から地上に出ると、すぐそこに喫茶店がある。

銀座コージーコーナー赤坂見附店。

ここが占有者Nが指定した場所であり、

ワタシと彼との決戦の場である。



まったくもう。

もっとカッコいいところ、指定しろよな。

それこそ、赤坂キャピトル東急とかさ。

こりゃあ燃える展開だな、ってな感じなのに…。

でも決して萌える展開にはならんので。

そりゃ、追い出し屋Gこと、二十後半の男こと、

得意な物まね・にゃんちゅうこと、このワタシが、

五十過ぎのおっさんとの萌える展開なんて…、

そんなモン、考えたくないし、

第一いかにディープな人間でも、そんなのを要求するヤツないだろう。

まあ、物事はすべて需要と供給のバランスだね。



って、誰かにそーゆー展開書いて♪

って言われたら、書くんかいっ!



そんなこんなはさておき。



約束の時間は午後6時。

只今の時刻、午後5時50分。

まあ、丁度いい時間だろう。

ワタシはその喫茶店に入った。



喫茶店には、夕方ではあったが満席に近い程、人がいた。

場所柄か、スーツ姿のおっさんが多かったが、

中には買い物帰り(といっても大根とか人参といったスーパーでの買い物

ではなく、もっとオシャレ関係の)の主婦の姿もチラホラと見られた。



店内に入ったワタシに、まずウェイトレスが声を掛けるが、

「待ち合わせ」とだけ言って、ずかずかと入り込む。



ワタシは、占有者Nの姿を探すべく、喫茶店の中を見渡した。

もちろん彼と実際に会ったのは一度きりで、

それも会ったという程のものではなく、すれ違った程度だ。

だが、占有者Nの、あのふてぶてしい顔は忘れ様がない。

もっとも彼の顔を覚えているのは、

ワタシが物覚えがいいからかもしれないが−。

…なんてこと書くと、これを読んでいる人は、



追い出し屋Gってば、人の顔を忘れないん?

だったら東海道新幹線の駅名を東京から博多まで言えそうだし、

出会った女のこと、全部メモってそう…。

怖っ。




とか思われそうだが、実際にその通りだから仕方がない。



って、そうなのか、俺!!



あー、奥さん、ウソですよ、ウソ。



話を元に戻す。



ワタシはあのふてぶてしい傲慢(ごうまん)な顔を思い出しつつ、

占有者Nの顔を、この場の中で探した。

席と席の間をすり抜ける様に、歩く。



この席は、サラリーマン四人組。

この席は、主婦の三人。

この席は、またサラリーマンか…。



一席一席に、ワタシは不躾(ぶしつけ)な視線を送る。



この席は、老夫婦。

この席は、…と。



四人掛けのボックス席に、一人の男がタバコをフカしながら、

東京スポーツを読んでいた。

新聞の次のページを開こうとする男とワタシは目が合う。

五十がらみのふてぶてしい男。





間違いない。

こいつが占有者Nだ!






ワタシと占有者Nは、しばらく目が合ったまま−。





次回こそ、占有者Nと激突!





続く…。



多分。



追記。

寄り道ばっかりし過ぎですが、

へろへろと物語は続いたり、続かなかったり。

って、続かないとダメじゃんっ!!

 

2003.08.12 火曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


追い出し屋Gは赤坂見附に向かった。

決戦の地は、銀座コージーコーナー。

ここで追い出し屋Gと占有者Nの、

最後の死闘が今、はじまる…。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附の喫茶店、コージーコーナーにて−。

四人掛けのボックス席に、一人の男がタバコをフカしながら、

東京スポーツを読んでいた。

新聞の次のページを開こうとする男とワタシは目が合う。

五十がらみのふてぶてしい男。





間違いない。

こいつが占有者Nだ!






彼は、この前ワタシが会った、彼の妻や息子といった

家族を連れてくるまでもなく、

ましてや六本木のマンションのエントランスで遭遇した時に居た、

草野仁並みのマッチョな運転手を立ち会わせることなく、

ただひとりでワタシの到着を待っていた。



ワタシと占有者Nは、しばし目が合ったまま、黙っていた。



この時、万感たる想いがワタシの胸に過(よ)ぎっていた。

やっとこいつと直接対決することが出来るんだ…。

ここに来るまで、大変だった。

張り込みもしたっけ、そういえばこの前は警察の前で、

ヤツの家族と全面対決したっけなあ…。



だが−。

ワタシは自分で自分を制した。



ワタシはまだ占有者Nを眼前にしているだけで、

彼を追い詰めはしていない。

目の前にいるこの男から、六本木のマンションを取り戻して初めて、

物思いに耽るべきだ。

追い出し屋の本領を思う存分発揮するんだ!

さあ、やったれ!!



ワタシはやってやるんだ!という思いを込め、口火を切った。



ワタシ
「…Nさんですね」



少し頷(うなず)く占有者N。

ワタシはそのまま黙って、テーブルを挟んで彼の前に座り、

近くにいたウエイトレスに注文した。



ワタシ
「とりあえず、ミルクティ。アイスで」



どうでもいい話であるが−。

ワタシは交渉の際は、必ずと言っていい程、アイスティを頼む。

その理由は至って単純。

ワタシは猫舌だし、この手の店のコーヒーを飲むと、

決まって気持ち悪くなるからだ。



ワタシはコーヒーが嫌いだ。

特にブラックが大が付くほど嫌いだ。

ダクダクとした黒褐色の舌を溶かさんばかりに熱い液体。

頭にツンと来る、クラクラと眩暈(めまい)がしそうな匂い。

ビールやセロリと同じで、大人になったら非常なる美味に感じる、

といった周りの話を信じていた少年時代は遠に過ぎ…。

大人になった今でもコーヒーはただ単に不味い飲み物としての、

認識しかないワタシ。

そういえば、コーヒーのみならず、ビールもセロリも嫌いだな。



頭の中で、コーヒーとビールとセロリがぐるぐると回転し…。



−ふと気が付くと、ワタシの目の前で占有者Nが、

どことなく怪訝(けげん)そうな顔をしていた。

ああ、しばし空想の世界へと旅立っていたようだ、ワタシは−。

物思いに耽るのは、追い出しに成功してからだ、

とちょっと前に思っていたのにも関わらず−。

しっかりしろ、追い出し屋G!!



気を取り直して、ワタシは言った。



ワタシ
「…で、結局どうするんです?」



前置きすることなく、彼を問いただす。

ワタシの目的は、占有者Nが占有(占拠)している、

六本木のワンルームマンションを取り戻すこと。

ただそれだけだ。

そんなことは占有者Nにとっても、百も承知のことである。

細かい説明など、いらない。



だが、占有者Nの言葉は、ワタシの思惑とは異なっていた。

彼は静かに、だがドスを利かせた声で言う。



占有者N
「その前に…。

この前はウチの家族が、非常にお世話になったみたいだな」



占有者Nは今まで燻(くゆ)らせていたタバコを、

灰皿に思い切り擦(こす)り付けて火を消した。



彼の家族と会ったあの時−。

ワタシは占有者Nとのアポが取れた後のことを思い出した。

あの後も、大変だった。



占有者Nとの話し合いのアポを取った、その後。

N夫人は極度のヒステリー状態のせいで、

感情のコントロールが出来なくなったのか、

いきなり子供の様に、わんわん大声で泣き始めた。

人の目を憚(はばか)ることなく、それはそれは大きな声で−、

まさしくそれは号泣といった類(たぐい)のものであった。

それは誰も手がつけられない。

それはワタシと彼の家族を囲んでいた警官隊にしてもそうで、

泣き喚(わめ)く彼女の前で、どうすることも出来ず、

ただ困惑の表情を見せるばかりであった。

そして家の中では、獣みたいな怒声が轟(とどろ)いる。

息子の△△男の声であろう。



日曜日の午前中、閑静な住宅街は、

あたかも阿鼻叫喚、地獄の様相を呈してきた。



警官隊はもうどうすることも出来ない(実際に何も出来ないのだが)、

と思ったのだろうか。

自分たちの仕事はもうここまでだと言わんばかりに、

「それでは、話し合いで解決してくださいよ」

と初老の警官は泣いている彼女に言い残し(聞いちゃいないが)、

警官たちはそれぞれの持ち場へと帰っていた。

面倒なことはもう御免だ、と逃げるようにして。



それにしても−。

ワタシはその時、思った。



一体何でパトカーまで来たんだ?



誰だか分からないが、110番通報した人間が余程大げさに話したのか、

それとも、ただ単に警察がヒマだったのか−。

まあ、どうでもいいか。



ワタシは、泣きはらす彼女と、家の中の奇声を背にして、

仕事は終わったとばかりに駅へと向かった−。



そして今、ワタシの眼前にいる占有者Nはその話を持ち出してきた。



占有者N
「…アンタさ、やり方がキタネエんじゃねえか?

何の罪もない、家族に向かって何をやってるんだ…?

それがアンタんところのやり方なのか?

アンタはいつもそんなことやってるのか?」



あくまでも口調は、ゆっくりと静かであったが、

ワタシを糾弾するかの如く、詰問(きつもん)した。





占有者Nの攻撃が今始まる。





続く…。



多分。



追記。

追い出し屋Gは追い詰める立場から、

逆に追い詰められるのか?

次回、乞うご期待!!

 

2003.08.14 木曜日 



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


決戦の地は、銀座コージーコーナー。

占有者Nの猛攻がはじまる。

それに対して、追い出し屋Gは…。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、静かに始まっていた−。



先手、占有者Nの攻撃。



占有者N
「…アンタさ、やり方がキタネエんじゃねえか?

何の罪もない、家族に向かって何をやってるんだ…?

それがアンタんところのやり方なのか?

アンタはいつもそんなことやってるのか?」



あくまでも口調は、ゆっくりと静かであったが、

ワタシを糾弾するかの如く、詰問(きつもん)した。



それに対して、ワタシの反撃。



ワタシ
「それがどうしたんです?」



涼しげな顔をして、占有者Nの口撃をあっさりとうっちゃる。



大体−。

ワタシと占有者Nが今日話し合うというか、

決着をつけないければならない話は、

先日ワタシが自宅を訪問したことで起こった、

ワタシとN婦人、△△男、そして警官隊が巻き起こした、

ドタバタ劇の顛末(てんまつ)についてではない。

あくまでも占有者Nがウチの会社の社有物件、

六本木にあるワンルームの占有(占拠)をいつ解除するのか、

ただそれだけに尽きる。

それ以外の話はワタシにとってみたら、

雑誌のいらない付録みたいなもんだ。

そんなもんは速攻ゴミ箱にポイってな感じ。



だが、ワタシが少しも重要視していない、

そんな些細(ささい)なことであっても、彼の捉え方は違ったようだ。

ワタシの素っ気のかけらもない返事に、

先程の静かな口調とは打って変わって、

苛立ちを隠すことなく、占有者Nは言った。



占有者N
「なにい? それがどうしただとっ!?

アンタは日曜日、自分がしでかしたことを、分かってないのか!?

胸に手を当てて考えてみろ!」



…ワタシが一体、何をしでかしたのか?

言われた通り、ワタシは胸に手を当てて考えてみることにする。

先日の日曜日、やったことと言えば−。



1.爽やかに起床。

2.爽やかに家を出る。

3.占有者N宅を爽やかに訪問。

4.爽やかに占有者N宅の呼び鈴を押し、自己紹介。

5.占有者Nの奥さんであるN婦人に、

六本木のワンルームマンションから私物を全部持っていってよ、

と爽やかにお願い。

6.何故か警官七人に囲まれたんで、爽やかに状況説明。

7.爽やかに占有者N宅を離れる。

8.帰宅途中、渋谷を爽やかにぶらぶら歩く。

9.爽やかに渋谷で買い物。

10.昼、爽やかに吉野家で牛丼。

11.爽やかに家に帰る。

12.爽やかに昼寝。

13.夜目覚めて、爽やかに夜飯はカレー。



…とまあ、まだまだ続くが、この位にしておいて。



先日の日曜日にあったことを順を追って回想していたのだが、

別に何も糾弾されるべきところはないじゃーん、

と心の中で思いつつも、ワタシは相手の出方を待った。



そんなワタシの思いとは裏腹に、

占有者Nは「こいつ、俺がガツンとカマしたら何も言えなくなったな」

などと自分本位の都合のいい展開を見出したのであろうか。

”俺様のいうことは正しいんだ!このゲス野郎!!”的オーラを

発しながらワタシに言い放った。



占有者N
「よーく、思い出してみろ!」



彼の思い描いているストーリーとは、どうやらこんなものか。



日曜日の朝っぱらに占有者N宅を無理矢理訪問して、

か弱いN婦人と△△男を脅しつけた、諸悪の権化、追い出し屋G。

その追い出し屋Gを征伐するために、俺はやってきた。

やいやい、この落とし前、どうつけてくれるんじゃい、ワレー!

ふっ。

俺がちょっと一喝しただけで、ビビってやがるな、こいつ。

よーし、もっと言ったろうか。



なんて。

うーむ、かなりの屁タレ野郎に思われてるのかもな。

実際、占有者Nは気色ばんで言い続けた。



占有者N
「…いいか、アンタのやってることってのは、

か弱い女子供にしか言えてねえんだよ!

アンタ、女子供を脅しつけて!

最低だよ、アンタ!!」



……。

さて、と。

言いたいことは全部言ったかな?




次はこちらの攻撃だ!!




続く…。



多分。

 

2003.08.15 金曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


先に言ったもの勝ち、喋ったもの勝ちと言わんばかりに、

攻撃を繰り広げる占有者N−。

追い出し屋Gが黙っていればいるほど、

占有者Nの攻撃は休む間もなく続いている。

だが追い出し屋Gはただ黙っているだけではなく、

それは次の一手を計る為の…。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。



占有者N
「…いいか、アンタのやってることってのは、

か弱い女子供にしか言えてねえんだよ!

アンタ、女子供を脅しつけて!

最低だよ、アンタ!!」



……。

さて、と。

言いたいことは全部言ったかな?



−などと思った時だ。

ウエイトレスがワタシのアイスティを運んできた。

ワタシは彼の話を聞き流しながら、

傍にあるミルクとガムシロップをアイスティの中にぶち込む。

そして一口飲んだ後−。



後手、追い出し屋Gの攻撃。



ワタシ
「…それで?」



占有者Nの猛攻に対し、短くそして穏やかに返す。



彼はと言えば、ワタシにここまで言ったのだ。

恐らくワタシからもそれ相当の反論があると思っていたのだろう。

だからこそ、来るなら来い、とばかりに身構えていたところに、

ワタシから度重なる透かし技を喰らって−。

彼の表情の変化たるや、なかなかのものであった。

ワタシの言葉を聴いたときの、拍子抜けした顔。

そして、見る見るうちに怒気をはらんだ顔に変化して。

嗚呼、人間の表情の豊かなことよ。



ちなみにワタシは激情型の人間なので、感情の起伏が激しい。

本来なら、こーゆー世間様を舐めた態度を取る人間に対しては、

相手が年上だろうが経験豊富(何の?)だろうが何だろうが、



だからどうした?オマエ、何様のつもりじゃああっ!!



とでも言いたい。

ああ、言いたいさ。

言いたいんだってばさ。



むろん、実際に言うか言わないかは相手を見て判断するのだが。

そりゃあ、ワタシも人の子。

本物のヤクザ屋さんとか本物の右翼さんとか本物の犯罪者とか、

どう考えてもこいつはヤバイだろ、なんて人間には、

「ゴラー!何様のつもりじゃ、ワーレー!」なんて言えない、言えない。



だって、怖いんだもーん。



なんて、いきなり無駄な可愛さアピール。

かーわーいーいー。



だが、占有者Nはいくらドスを利かせた声を出しても、

おっさんはおっさん。

ただのおっさん以上の何者でもない。

だから、ワタシには「おいこら」と一喝することは出来た。

でも、ワタシはそうはしなかった。

ただ穏やかに一言言っただけだ。

「…それで?」と。



その理由は何故か?



あくまでもこんな話は今ここでお互いやり合う争点ではない。

それは何度も言っている通り。

相手のペースに飲まれ、

こちらもその件に関してヒートアップする必要はないのだ。

だがその件について、相手が喋りたいのなら、喋らせればいい。

第一、相手が喋っている時に、同時にこちらも喋ると、

話しの収拾が付かなくなる。



そして、彼が熱くなればなるほど、こちらが付け入る隙が出てくる。

その瞬間を待つ。

ワタシには確信があった。

占有者Nには必ず隙が出来る、と。





その時こそ、ワタシの腕の見せ所だ。




続く…。



多分。



追記。

こういった感じの占有者ネタは好評なのでしょうか?

 

2003.08.16 土曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


ただただ占有者Nの隙を待つ追い出し屋G。

占有者Nに隙は出来るのか…?

そして追い出し屋Gの作戦とは…?



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。



彼が熱くなればなるほど、こちらが付け入る隙が出てくる。

その瞬間を待つ。

ワタシには確信があった。

占有者Nには必ず隙が出来る、と。




その時こそ、ワタシの腕の見せ所だ。




ワタシの再三に渡る澄ました態度に対しても、

占有者Nは怒りが生まれた様だ。



占有者N
「…何でさっきから黙ったままなんだ?」



顔を赤くしながら、言う。



占有者N
「この件に関しては、何の謝罪もないのか?」


ワタシ
「…謝罪?」


占有者N
「そうだ、謝罪だ、謝罪!」



ほう。

ここでワタシに謝罪させたいのか。

だが、ワタシは謝罪する意思もなければ、つもりもない。

当たり前だ。

こちらこそ、相手に謝罪を求めたい。



ワタシ
「…今日はそんな話をしにきたんじゃないでしょう?」



ワタシは静かに言った。

しかし、この言葉に到底納得がいかない占有者N。



占有者N
「いいや、何を話すにしてもこの話が先だ!」


ワタシ
「何故?」


占有者N
「…何故って、何でアンタはそんな風に言えるんだ?

いいか。

俺の家族はオマエのせいでめちゃめちゃになったんだ!」



怒気をはらみながら続ける。

どうにもこうにもワタシに話しを聞かせたいらしい。



占有者N
「まず俺の家内は、あれ以来、ヒステリーの発作がひどくなった。

いつもいつも、キーキーキーキー!!

これはオマエのせいだ!」



いやいや、N夫人のヒステリーは元からじゃ…。



占有者N
「俺の息子は、あれ以来、ぶつぶつぶつぶつ。

部屋の中にこもって、何事か奇声を発している。

これもオマエのせいだ!!」



いやいや、△△男の奇行も前からじゃ…。



占有者N
「あの日以来、俺の家族はもうめちゃめちゃだ!

全部が全部、オマエのせいだ!!」



何でもかんでもワタシの責任なのか?



占有者N
「今まで、今までは上手く家族がまとまってたんだ!

俺の家庭を崩壊させたのは、オマエだ!!」


ワタシ
「…うーん。

そんなこと言われても、ねえ」

…で、結局何が言いたいんで?」



先程から代わらぬ言葉を吐き続けるワタシに対し、

更なる怒りを見せ付ける占有者N。

ますます声を荒げる。



占有者N
「そんなことも、こんなこともあるか!

俺が言ってるのは、オマエに、

そうオマエに−」




そして−。

その時がやってきた。




「俺はオマエに誠意を見せろ、

って言ってんだよ、誠意をさ!!」






続く…。



多分。



追記。

寒いです。

風邪ひきました

 

2003.08.17 日曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


追い出し屋Gに追い込みを掛ける占有者N。

だが占有者Nには隙が出てくる…。

そして、その時が来た!

さあ、どうする追い出し屋G!



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。



ワタシは占有者Nに隙が出来る瞬間を待っていた。

そして−。

その時がやってきた。




「俺はオマエに誠意を見せろ、

って言ってんだよ、誠意をさ!!」





ワタシに追い込みを掛けるかの如く、言い切る占有者N。

その声は怒声に満ち満ちていて、その程度と言えば、

隣の席に座っていたサラリーマン二人組が振り返る程であった。



その声にワタシはビビって−。

ということはなく、ワタシが思ったのは…。




……。






誠意を見せろキタ━(゚∀゚)━!!







あー、ようやく言ってくれたよ。





誠意を見せろ。





まあ、別にこのフレーズじゃなくても、

脅しと捉えることが出来るキーワードだったら、

他の言葉でも言いワケだが。

だが今回はかなり分かり易い脅しの文句を言ってくれた。



世間様での言葉の捉え方。


誠意を見せろ=カネを寄越せ



占有者Nは誠意を見せろとワタシに言った。

要するにカネを寄越せといったのだ。

相手はワタシを本気で脅そうという意思があってではなく、

つい勢いでポロリと口から出た言葉だと思うが、そんなことは関係ない。

実際に相手にどんな意図があったのかは関係ない。

こちらがどう捉えるか、脅されたと思ったらそれは脅迫なのだ。

ワタシはこの言葉を金銭目的の脅しの言葉だと思った。

だから脅迫されたのである。



ワタシは静かに、だが鋭く言った。



ワタシ
「ちょっと待ってください。

アナタ今、こう言いましたね。

アナタ、ワタシに対して誠意を見せろといいましたね?」



占有者Nは答えて曰く。



占有者N
「おお、言ったとも!」



よし、自分で自分の言葉を認めた。

あとは占有者Nを追い詰めるだけだ。

今まで散々言われたからなあ。

百倍にして返してやるわっ!!



ワタシ
「よく分かりました。

アナタ、ワタシを脅すんですね?

誠意を見せろ、金を寄越せと言ってワタシを脅したんだ?」



ワタシの言葉に対し、占有者Nは下の表情を見せた。





(゚Д゚)ハァ!?  

↑占有者N




だがワタシはそんな表情などものともせず、言い続けた。



ワタシ
「アナタはねえ、ここで脅したんだよ、ワタシを

これ、どーゆー意味だか分かる?

金銭目的の脅迫だよ、キョーハク。

これは今までの民事事件じゃなくて、刑事事件に発展するね」





(゚Д゚)ハァ!?  

↑占有者N



占有者Nの表情は依然として呆気に取られた様だった。

今がヤツを叩くチャンスだ!




ワタシの反撃の言葉は続く。





続く…。



多分。




追記。

新しいサイトを作ってます。

不動産業界残酷物語。

時間が空いたときにちょこちょこ作りますです。

 

2003.08.18 月曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


誠意を見せろ!

占有者Nのその言葉に対し、反撃をする追い出し屋G。

さあ、どうやって、追い詰める? 追い出し屋G!!



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。




(゚Д゚)ハァ!?  

↑占有者N



占有者Nは依然として呆気に取られた表情だ。

今がヤツを叩くチャンスだ!



ワタシの反撃の言葉は続く。



ワタシ

「ここでこうやって、話しをするよりも、

もっと他の場所で話した方がいいかもしれないな」



ワタシはあくまで静かに、冷静に言う。



引き続き占有者N。




(゚Д゚)ハァ!?  

↑占有者N



こんな顔で、表情を引きつらせている。

彼はワタシを一喝することで、自分の都合のいいストーリーを

頭の中で組み立てていたのであろう。

そして自分が有利な立場で交渉を進めようと思っていたのだ。



だが現実は違った。



まさか彼はワタシからこんな返しがあるとは、

予想だにしてなかったのであろう。

今までいい感じに攻めているぞ、と思った矢先に、

いきなり脅迫だ、脅しだ、と言われる。

彼にとっては、まさに冷や水をぶっ掛けられた様な思いだろう。

だからこそ、こんな呆気に取られた表情を見せたのだ。



ワタシは静かに続けた。



ワタシ
「場所変えて…。

これから警察いっこっか、警察。

ここだったら、近くに赤坂警察あるからさ」




(゚Д゚)ハァ!?  

↑占有者N



警察というキーワードに更なる戸惑いを見せる占有者N。



け、け、け、警察〜!?



彼の心の叫びが聞こえてくる様だ。

かなり焦った感じで、彼は動揺を隠さず、言った。



占有者N
「ちょ、ちょ、ちょ…。ちょっと待て。待ってって」



待てと言われて、待つ道理がない。

しかも、動揺しているのは手に取るように分かる。

こんなチャンスを逃してなるものか。



話は少しそれるが−。

こんなチャンスを逃してなるものか、と思っていたのは、

どうもワタシだけではなかったみたいだ。

隣の席に座っているサラリーマン二人組も、

こんな興味深い話は聞いたことないぞ、とばかりに、

自分たちの話も上の空で、こちらに聞き耳を立てている。

彼らは時たま、こちらを振り返り、ひそひそ話しを繰り返し、

ワタシと占有者Nの闘いに心を囚われている様だった。

まあ、ワタシだって友達といて、隣でこんな話をされていたら、

そりゃ興味を惹かれるわ、といった感じ。



ワタシは、続けた。



ワタシ
「いや、何を待つ?

待つ必要なんてないじゃないですか。

だって、アナタから脅されてるのはワタシなんですよ?」



そしてワタシは席から立ち上がる。

ズズズという椅子を引きずる大きな音が店内に響き渡る。



ワタシ
「さあ、行きましょうか」


占有者N
「ちょ、ちょ、ちょっと…」



占有者Nの動揺の許容範囲もそろそろ限界を見せている。

先程の強気でガンガンワタシを攻めていた時には、

怒りで赤く染まっていたその顔が、今は反転、青ざめている。



だがワタシは思った。

まだまだ、相手の動揺を引き出すことが出来る、と。

ここで反撃の手を止めてなるものか。




占有者Nを追い詰めるのは、これから本番だ!




続く…。



多分。




追記。

占有屋からの手紙、どこかにアップしてます。

こんな手紙が着たら、競売やりはじめの人は、

ほいほいカネ払っちゃうかもしれませんねえ。

 

2003.08.19 火曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々々々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


脅しだ、脅迫だ!!

そんなこんなで占有者Nを追い詰める!

さあさあ、ガシガシ行っちゃうよー!!



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。




ワタシ
「さあ、行きましょうか」


占有者N
「ちょ、ちょ、ちょっと…」



占有者Nの動揺の許容範囲もそろそろ限界を見せている。

先程の強気でガンガンワタシを攻めていた時には、

怒りで赤く染まっていたその顔が、今は反転、青ざめている。



お、なんだ?

脅迫されたー、脅されたー。

だから警察いって話しましょうや、とちょっと言っただけで、

こんなにも動揺の色を見せている。

そんなに警察恐れてるのか?

何か他に悪いことやってるのかいな、このおっさんは。

いずれにせよ、脆(もろ)いなあ。

もっともっと動揺させておこうか。

ここはとことん精神的に追い詰めるのが吉。



さあ、ここからがワタシの腕の見せ所だ。



ワタシ
「さあさ、警察いきましょうか!」



椅子から立ち上がっていたワタシは、テーブル越しに、

占有者Nの肩をむんずと掴(つか)んだ。



だが実のところ、相手の肩を掴んだ後で、


あー、やばい。

相手に逃げる口実を与えてしまった…。



と激しく後悔したのはここだけの話である。

別に殴った訳でも蹴った訳でもないが、

相手が喫茶店という公衆の面前で、




うぎゃー、痛たたたっ!!




などと、楳図かずおの恐怖漫画ばりに騒がれたら、

逆にこちらが窮地に追いやられることも容易に考えられる。

最悪の事態にはならなくても、面倒な事態になることは間違いない。

大体、ワタシが占有者Nの立場だったら、

絶対に相手を陥れるべく行動する。

楳図かずおの漫画チックに叫んで、

この人から暴行受けました! みたいな。

ついでにオプションで、吉本新喜劇並みに派手に転んだりして。



それにしても、ワタシの内心たるや、一発逆転されるか否か、

かなり冷や冷やしていたが、今更後悔しても仕方がない。

第一、やってしまったことを直すことは出来ないし。

…などと、無理矢理、前向きに考えることにした。



ワタシは相手に付け入る隙を与えない様、

更に勢いをつけて言いのけた。



ワタシ
「さあ、立って!」



だが占有者Nはワタシの呼び掛けに対し答えようとせず、

ただ彼はヒッっという空気の抜ける音を口から立て、

片手でもって、自分の肩からワタシの手を払いのけた。



ワタシ
「何するんだ!?」



ワタシは手を払いのけられた事に対して、

占有者Nに抗議の意を表した。


だが、ワタシの心の中では、


よーし!

これでヤツの楳図かずお攻撃の危険性はなくなった。

ナイス、占有者N!!

お礼に、これからもっともっとガンガンいったるでぇ。

そんでもって、道頓堀から突き落としたるでぇ。


ナニワの追い込みを見せたるわっ!!


…などと、誰がどこからどう見ても、

これ以上ないくらいのエセ関西弁で思った。



ちなみにワタシは大阪にも関西にも、

一切何も関係のない、ただの東京人である。

しかも東京人といっても、親は九州の片田舎から上京して来たので、

親子三代に渡っての、要するに−、


風呂は一番湯で、ベラボウに熱いのが一番でい!!

ビールはあさ「し」ビールが一番でい!!

生粋の江戸っ子でい、ベラボウめえい!!

バーロー、チクショイっ!!



と言える様な東京人でもなく−。


結局、エセ関西弁使いで、なおかつエセ東京人という、

例えるなら「ロッチ」の「ヒックリマン」チョコ

みたいな存在なのかもしれない、ワタシは。

ああ、無情。レ・ミゼラブル。



占有者Nはワタシのそんな想いなど、露知らず。

焦った声で言った。



占有者N
「お、俺は別にアンタなんか脅してない!!」



震える声で否定する占有者N。

声だけではなく、肩も少し震えている様だ。



それに対してワタシの反応。

ふーん、否定するかあ。

だったら、ワタシはこう答えるか…。





まだまだ追い込みは続く!





続く…。



多分。


追記。

今回、男子向けのマニアックな懐かしネタ使ったんで、

わからない人にはわからないでしょうね。

どうでもいいですが、男女比9.999:0.001くらいですかね。

読者層は。

 

2003.08.20 水曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・終々々々々々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

警官たち:市民を守る人々。民事不介入が原則。



<前回までのあらすじ>


さあさあ、お立会い!

寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。

占有者Nを追い詰める為の、追い出し屋Gの秘策とは…。

その秘策をドーンと見せちゃうよ!

さあさ、坊ちゃん、嬢ちゃん、時間が会ったら見てってちょうだい。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。



占有者N
「お、俺は別にアンタなんか脅してない!!」



震える声で否定する占有者N。

声だけではなく、肩も少し震えている様だ。



それに対してワタシの反応。

ふーん、否定するかあ。

だったら、ワタシはこう答えるか…。



ワタシ
「…脅してない?」


占有者N
「ああ、脅してない、脅してなんかいないぞ!」



あくまでも否定する占有者N。



ワタシは思った。

ふんふん、なーるほどねえ。

そんな風にしらばっくれちゃうわけね。

だったらこっちはこっちで考えあるし。

おにーさん、やっちゃうよー。

ガシガシやっちゃうよー。

無理矢理にでも、こっちの味方を作っちゃうよー。

作戦ナンバー1020! 題して−。




ほよよ!

一度話しかけたらアンタら友達大作戦だ!





ばーんっ!!

↑無意味な効果音。



ワタシは否定する彼を横目に、依然として、

チラチラとこちらを見ている、サラリーマン二人組に話し掛けた。



ワタシ
「大変、すいませんが。

アナタ方、ワタシたちの話聞いてましたよね?」



別にすいませんとも、悪いとも思っちゃいないが、

とりあえずそう言っておく。

翻って、突然、ワタシに話を振られ、驚いた顔をする二人。

それはそうだろう。

今まで聞き耳を立てていた相手から話かけられたのだから。

ただの傍観者から、いきなり話の輪の中へと引きずりこまれた、

サラリーマン二人組のその胸中、察するに余る、といった感じか。



サラリーマン二人組
「……」



喋らない、喋れない二人。

ワタシは彼らに対して、念押しするかの如く、言った。



ワタシ
「えーと、聞いてらっしゃいましたよね?」



さあさ、アンタらもタダで見物しようったって、

そうは問屋が閉店セールだよ!

見物料代わりに、ちゃっちゃっと答えちゃいな。



ここで、話の脈絡とは何の関係もない、

どうでもいい話を書いてしまうが−。

この「そうは問屋が閉店セール」というフレーズを子供の頃、

何度も何度も聞かされたのだが、

じゃあ具体的にどんな場所で誰が言っていたのか、

思い出すことが出来ない。

ワタシにとっては謎深い、まさしく記憶の穴である。

だが、一番の謎は小学生の頃のワタシが、

このフレーズを言われる度、

「ドリフの大爆笑」の笑い屋のおばちゃん並に、

ぎゃははと大爆笑していたという記憶があることだ。

不思議だ、不思議。

いやはや、ふしぎ発見。



そんなこんなはさておき。

話を元に戻す。



ワタシから再度の念押しをされ、

ますます、鳩が豆鉄砲食らった様な顔をしていた彼らだが、

そのまま黙っているのもおかしいと思ったのだろう。

そのうちの一人が、重い口を開けた。



サラリーマンA
「…あ、あの聞いてた、聞いてましたけど」



30代半ばくらいのメガネのサラリーマンが答えた。

同じく席を共にしていた同僚らしき男も頷(うなず)いている。



何で俺らに話しかけるんだ?

俺はオマエらの会話を聞いてただけだぞ。

あくまでも他人だ、他人。

オマエらとは関係ねーんだよ。



なんぞという声にならない心の叫びがリーマン達の表情から、

容易に察することが出来たが、そんなのは関係ない。

悪いが、ワタシの目的の為に利用させてもらうぞ。



そしてワタシは−。





追い出し屋Gのターゲットは、

サラリーマンに変更!?






続く…。



多分。


追記。

最近、債権回収もワタシの営業種目になりました。

一体何屋なのでしょうか、ワタシってば。。。

 

2003.08.21 木曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・最終編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


ターゲットはサラリーマン?

ただ話に聞き耳を立てていたサラリーマンも逃しはしない。

追い出し屋Gの秘策に、どうなるどうする占有者N!?



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。



サラリーマンA
「…あ、あの聞いてた、聞いてましたけど」



30代半ばくらいのメガネのサラリーマンが答えた。

同じく席を共にしていた同僚らしき男も頷(うなず)いている。



何で俺らに話しかけるんだ?

俺はオマエらの会話を聞いてただけだぞ。

あくまでも他人だ、他人。

オマエらとは関係ねーんだよ。



なんぞという声にならない心の叫びがリーマン達の表情から、

容易に察することが出来たが、そんなのは関係ない。

悪いが、ワタシの目的の為に利用させてもらうぞ。



そしてワタシは話を続けた。



ワタシ
「聞いていた?聞いていましたよね?」


サラリーマンA
「…はあ」


ワタシ
「じゃあ、ワタシがこの人から誠意を見せろと

脅迫されていたのも聞きましたよね?」



ワタシは占有者Nを指差し、尋ねた。

その時、占有者Nはエアコンの効いた店内であったのにも

関わらず、だらだらと汗を流していた。

彼の表情はひきつったまま、固まっている。



サラリーマンA
「…はあ」



ワタシは今答えたメガネのサラリーマンAのみならず、

同様の質問を彼の同僚、サラリーマンBにも投げ掛けた。



ワタシ
「アナタも脅されているの、聞きましたよね?」


サラリーマンB
「え、あ、はい…」



小太りの彼もワタシの有無を言わさぬ勢いに押されたか、

「脅迫されたよね?」という質問に素直に「はい」という。

ただただ頷くことしかしない、聴衆の面々。



まあ、こっちは話のネタを提供してやったんだ。

見世物の御代としては安いだろ。

ワタシがそう思った瞬間−。



やおら、汗まみれの占有者Nが立ち上がった。

勢い良く立ち上がった為に、

椅子が後ろにある衝立(ついたて)にぶつかり、

ゴンと、鈍い音を立てた。



占有者N
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと!

オマエはワシと話してるんだろが!?」



そう言った彼の顔は蒼ざめたまま、と思えば、

興奮した面持ちになり、顔色が青から赤へと変化していく。

まるでリトマス試験紙の様であった。



占有者N
「何で脅したとか、警察だとか、そういった話になるんだ!?

冷静になって、話し合おうや!!」



−お、食いついてきた、食いついてきた。

これから一本釣りだな。



ワタシ
「いや、でも…。

アナタはさっきからワタシを脅してるじゃないですか」


占有者N
「いやいや、脅してなんかない!!

俺はただ、アンタに誠意を見せろといっただけだ!!

別に金をどうこうとかそーゆーことは言っていない。

ただ話し合いに来ただけだ」



−よーし、どんどん食いついてきた。

もっとこーい、どんとこーい!



ワタシ
「話し合いって、アナタの言ってることは話し合いじゃないでしょ?

ただの脅しですよ、脅し。

さっきも言ったけど、キョーハク…」



ワタシの声を遮るように彼は言った。



占有者N
「え、え、え。

・・・もう、勘弁してよ」



ん?

何か弱気な発言ゲット。

大分弱ってるな、こやつ。





…さあ、どこまでやっちゃう?





続く…。



多分。


追記。

今日は短いです。

眠いです。

 

2003.08.22 金曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・最終々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


追い出し屋Gの秘策に占有者Nはもうヘロヘロ。

巻き添えを喰らったサラリーマンたちもヘロヘロ。

ついでにワタシの文章もヘロヘロ。

どうなる、どうする、ヘロヘロ。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。



占有者N
「え、え、え。

・・・もう、勘弁してよ」



ん?

何か弱気な発言ゲット。

大分弱ってるな、こやつ。



占有者Nは汗を垂れ流しながら、

いかにもしんどそうな表情をし、唇を震わせていた。

先程まで、俺には弱いところなどない、

と言うがごとく、マッチョさをアピールしていた彼が、

今では嘘のようだ。

いや、強さを誇示していた分、落ちるときは早いのか。

強気も急降下。

テンションも急降下。

今の彼は、言うなれば雨に濡れた子猫ならぬ、

雨に濡れたタヌキ、とでも言っておこうか。



でも−。

さっきまでおっさん、なんか散々言ってたじゃん!

このまま、話し合いを続行っていうのも、

何だかシャクにさわるなあ。

うーむ、ちょっとイジワルしたろうか。



なんて思うワタシは少しサドなのだろうか。

といっても、50過ぎのおっさんにサディズムを発揮する、

特異な性癖を持ち合わせているといったワケではないが、

まあそこそこ、そーいった趣味を持ってるのかもしれないな。



って、完全否定しないのか、俺!!



まあ、いい。



ワタシ
「…はい?何か言いました?」



意地悪作戦、発動。

とりあえず聞こえないふりをする。



占有者N
「いやいや、言ってるって。

脅してないって言ってるって!」



何度も何度も脅迫を否定する占有者N。

まあ、こちらも最初からこのおっさんがワタシを本格的に

脅迫しているとは思っていない。

脅迫をネタにして、逆に脅迫する、という二重構造をカマしてるだけだ。

要は怒られて、逆ギレ、みたいな。



ワタシ
「あー、そうなん?

ワタシはこちらのお二人に脅迫があったという事実について、

伺っていたんで、聞いてなかった。

それで、結局ワタシがアナタに脅迫されていたってゆー、

結果だったワケだけど。」



あいまいに頷(うなず)く、サラリーマンAとB。

ABブラザーズ。



占有者N
「いやいや、勘弁してよ…」



…まあ、内心ではもっともっと意地の悪いことをやってやりたい、

と思ったが、あんまりやり過ぎてしまっても、

それこそ、相手の逆ギレを誘ってしまうだけだろう。

人間、ほどほどが一番。

一番が一番、といった感じか。



ワタシ
「…まあ、座りましょうや」



さっきから喫茶店内で立ち上がって話していたワタシと占有者N。

このまま、立ったままというのも疲れるし、バカみたいだ。

ワタシが椅子を引き戻し座ると、それに倣(なら)うかのように、

占有者Nもがくんと座った。

うな垂れる姿勢の占有者N。



椅子に座ったワタシはふうっと一息つき、アイスティを一口飲む。

もう大分氷が溶け、薄まっていた。

仕方がないので、そばにあったシロップを全部入れてみる。

今度は甘すぎて飲めたもんじゃなくなった。



ワタシ
「マジいなあ…」



独り言をいうワタシ。



ふと、周りをぐるりと見渡す。

こちらを見てるのは、ABブラザーズだけじゃない。

他の席の客たちとも目があった。

むろん、全員が全員、ワタシと目が合うとすぐに逸らしていたが…。

それにしても−。

これに似た状況をこの前も体験したような…。

デジャブか?



中には客同士顔を見合わせ笑っているヤツラも…。



ふっ。

周りからはバカみたいではなく、もうバカだと思われているようだ。

まあ、いい。

どうせ、こいつらとはその後、会うこともないし。

まあ、ただで見せてやるんで、明日の会社での話のネタにしておけ。



それはそうと…。





話がマンネリ化してきたか?





まあ、次回はサクサクっと行っちゃうよ。



続く…。



多分。


追記。

眠いです。

そろそろ最終回まであと数回。

って何回言っただろうか、このセリフ。

 

2003.08.24 日曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・最終々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


マンネリ化してきた追い出し屋Gと占有者Nの暑苦しい闘い。

今回のお話からはサクサクいくよー。

さあ、ラストスパートだ!!



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い戦いは、続く−。



夫婦生活が倦怠期に入るかの如く、話もマンネリ化。

これからはもう、サクサク行っちゃうよ!

とっとと話を進めるべく、深く椅子に背を預けながら、占有者Nに言った。



ワタシ
「…はっきり言って、俺はアナタより年下だけど。

アナタにアンタ呼ばわりされる筋合いっつーのは、

ないワケですよ。これ分かります?」



占有者Nは脂汗を流していたが、ふと思いついたように、

自分の背広の内ポケットに手を入れ、タバコを取り出した。



占有者N
「…あのー。

タバコ吸ってもいいですか?」


ワタシ
「別に構わないけど」



占有者Nはワタシが答える前にタバコを咥(くわ)えていた。

ワタシがどう答えようが、結局タバコを吸っただろう。

だったら、聞くなよ、と思ったが、一言断りの言葉を掛けるのは、

それはそれで彼のタバコのマナーなのだろう。

とりあえず肯定的に考えておく。



彼はタバコに火をつけ、しばし一服する。

目を閉じ、そして口を開いた。



占有者N
「…あのー。すいません」



蚊の鳴くような、小声で言った。



なんだ、何でもかんでも謝る勢いか?

まあ、さっきは意地悪しないとかいったけど、

もうちょっと意地悪やってもバチはあたらんだろう。



ワタシ
「はい?」



ワタシは、


あー、なになに?聞こえないんだけど?何がどーなーのー?


と言わんばかりに、言った。



さあ、どうだ?

どう答える、占有者N!



占有者N
「いや、ですから−。

先程、追い出し屋Gさんをアンタ呼ばわりしたことを、

すいません、と」



ふっ…。

まあ、ここまでだな。

マガイなりにも謝ったし。

ここでは、ワタシの大人チックなところを見せてやろうか。

大人の余裕を、見せちゃうわなー。

見せ付けちゃうわなー。

夕方4時頃、夕焼けの中、帰宅途中の女子中学生の前に立ちはだかり、

ウラーとばかりに着ていたコートをはだけて、

うひゃうひゃ笑いながら露出しちゃうわなー。




って、変態かよ、俺!!


大人の余裕って、それかよ!!




しかも、警察呼ばれて速攻逮捕。



ワタシ
「まあ、それはそれでいいでしょ」



氷が溶けて味が薄まったアイスティをストローで一気に飲み干した。






って…。


全然話がサクサク進んでないじゃん!






まあ、次回はサクサクっと行っちゃうよ。



多分。



続く…。



多分。


追記。

とにかく忙しいんですけど。

人手が欲しい。。。

ワタシの代わりにうりゃーと働いてくれる人が欲しい。

んでも、そんな人が入社したらら、ワタシは速攻リストラか!?

 

2003.08.25 月曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・最終々々々編




占有者排除 「占有屋とは何か?」更新!

占有屋って何?ってな方には分かりやすく書いていますので、

まあヒマだったら読んでみて貰えるといい感じだったり。



<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


さあ、次回物語はサクサク進むと宣言したワケだが、

本当にサクサク進むのか?

それとも…。

追い出し屋Gと占有者Nの男の闘い。

まだまだ続くよ!


あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い、暑苦しい戦いは、続く−。



サクサク話を進める。



「不味い」と思いながらアイスティを飲み干したワタシ。

ズズズズとストローで吸い込む音が響いた。

そんなワタシを尻目に、彼は一言言った。



占有者N
「…分かった」



彼が何を分かったのかが分からないが、

まあ、分かったといってるんだから分かっているんだろう。

分かってるという人間に対して、

オマエは何も分かってない、というのも、

人の機微を分かっていない無粋なことかもしれないので、

ワタシは彼が何を分かったのか、分からないクセに、

「分かった、分かった」と分かっているというフリをしてみた。



さあ、ここで問題。

何回「分かった」と言った?



答えなさい!(命令形)



どうでもいいが「クイズ面白ゼミナール」の、

司会・鈴木健二アナは何故命令形で喋ってたのだろう。

答えなさい!とか、書きなさい!とか。

って−。

クイズネタやるのに、今更「クイズ面白ゼミナール」はないだろ。

せめて、ファイナルアンサー?とかやれよな、自分!

なんか懐かしネタばっかだな。

イマドキの時代に迎合したネタやれよ、自分!



そんなことはさておき。



ワタシ
「ふんふん。

…で、何が分かったの?」



ごめん。

分かったフリ出来なかったや。

ダメじゃん、俺!



占有者N
「ああ、もう分かったから、帰っていい?

なんかもう帰っていい?」



おいおい。

まだ何の核心を突いた話なんぞしてないじゃないか。

即時、否定する。



ワタシ
「…ってまだ、退去についての話し合いしてないじゃないですか。

帰っていいワケないですよ。

今、ここで無理矢理帰ったら、ワタシまた、

アナタの自宅に行かないといけないし。

お互い時間の無駄でしょ?

もう、ここらで本題に入りませんか?」



ワタシが言ってることはその通りだろ?

オマエは言い返すことが出来ないだろ?

とばかりに、彼に言葉で突きつける。

しばしの沈黙の後、彼は言った。



占有者N
「…本当に分った。

分かりました」



当たり前の話であるが、家にまた来られるのは嫌なのだろう。

ワタシが家を来襲したことを、先程は非常に怒っていたワケだし。

それにしても−。

こいつはさっきから何回分かったと言ってるんだろう。

だが、分かったと連呼する彼が次に続けた言葉は、

何も分かっちゃいない、非常に舐めたものであった。



占有者N
「あのー。

退去するのに、もう少し時間が欲しいんだけど…」



はあ?

もう時間は腐る程やった、というか、

勝手に時間を浪費してたのはオマエの方だろ。

こちらからの呼びかけを無視して、勝手に占有して。

ウチはもうこれ以上は待てない。

待てるワケがない。

時間なんぞ、やれるワケなかろうに。

何言ってるのこいつ、とばかりに、ワタシは即答した。



ワタシ
「ダメ。絶対にダメ。どうでもいいけどダメ。

大体もう、所有権がウチに代わってから、大分経ってるでしょ?

こんな状況で、もう少し、とか曖昧な時間で、

こちらが納得するワケないでしょ?」



何か喋ろうとする占有者N。

だが、今度はオマエがワタシの話を聞く番だと言わんばかりに、

ワタシは話を続けた−。





って…。


全然話がサクサク進んでないじゃん!






もう、サクサク話がすすむっつーのは諦めた。

って、諦めるのが早いな、おい!

まあ、いいや。

今後はマッタリ話をしていくことにする。

異論反論オブジェクション!

ってワケわからねーな、おい!



続く…。



多分。



追記。

相変わらず懐かしネタです。

この日記の読者層はある程度、年齢層が高いと思いますので、

まあ、いいか。

あと今回は言葉遊びを入れてみたり。

全然日記じゃないですね。


2003.08.26 火曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・最終々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


人は世につれ、世は人につれ−。

二人の男たちの闘いは、結末へと向かう。

そして、追い出し屋Gの一人語りが始まる…。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い、暑苦しい戦いは、続く−。



何か喋ろうとする占有者N。

だが、今度はオマエがワタシの話を聞く番だと言わんばかりに、

ワタシは話を続けた−。



ワタシ
「あのですねえ。

さっきはアナタの言い分を存分に聞いたので、

ワタシからも言わせてもらいますが。

ここに来た目的は一体何か−。

それはお分かりですよね?」



占有者Nはワタシの問いかけに答える。

その表情から渋々ながら、というのが、ありありと判る。



占有者N
「あー、だからー…」



ワタシは彼が答えようとするのを手で遮る仕草をした。



彼に問い掛けたのはワタシであるが、

彼の言い分を再度聞くことなど時間の無駄だ。

無駄を省(はぶ)け。

何でも省エネ。

とりあえず、省エネスーツ全員着用。

それでもって、この世はリストラ時代。

リ・ストラクチャアってヤツだ。

要はマニュファクチュアの仲間だよな。



って、嘘つくなよ!

産業革命万歳!!




つーか、自分では面白ギャグ言ってるつもりだろうが、

全然面白くないぞ!

なんってなことを心の中で叫ぶ、冷静な自分がいたり。



それはともかく。

相手の言い分なんぞ聞かないのだったら、

最初から問い掛けるなよ、という声もあろうが、

まあ、細かいことは気にするなよ、相棒!



って、いつから誰と相棒になったんだよ、俺!



そんなノリツッコミを脳内で交えつつ、話を進めた。



ワタシ
「あー、もう皆まで言わなくても分かってます。

今日は結局、六本木のワンルームの占有を、

いつ解除するか、それを決めに来たんですよね?

それはワタシもおんなじですよ」



占有者Nはそれに対して、ちょっと不服気な顔をしたが、

そんなのは無視して話を続ける。

オマエの言い分なんぞ、散々聞いたのだから、

それ以上聞く耳は持っちゃいねえ、ってことよ。

大体、さっきオマエは謝ったんだし。

不服の表情をワタシに見せることが間違い。

大間違いだよ、明智君!!



とりあえず、占有者Nはワタシの言うことに全面的に、

賛成していることと仮定して、ワタシは話をした。

実際は違うだろうが、オマエの言い分なんぞ−(以下略)。



ワタシ
「まったくもって、おんなじ。

おんなじだったら、そりゃあ、退去する日にち、

タイムリミットもワタシとおんなじ考えで持ってくださいよ。

それが人の道、人の道理、人の仁義、ってもんですよ」



人としての道を語るワタシ。

徒然(つれづれ)なるままに道語り。

プチ説教オヤジであるワタシのテンションは徐々に上がる。

何か言いたそうな占有者Nを尻目に、

ワタシの道語りの旅は始まる。

嗚呼、説教道。



ワタシ
「そう、これは人としての道ですよ、道。

アナタがまず為さなければならないのは、

当然、即刻占有を解除すること!

これに尽きるんだけど。

だけれども−。」



ワタシはここで一呼吸置いて、続けた。



ワタシ
「アナタはさっき何と言いましたか?

事もあろうに、時間をくれと。

時間はあるわけがないことはお分かりですよね?

時間は今までに十分あったじゃないですか。

それを今更、時間をくれだなんて、

そりゃあ、無視が良過ぎる話だってもんじゃないですか?

少なくともウチの会社はそう言ってますよ」



ワタシは占有者Nに突きつけるように語った。

まだまだワタシの話は続く。

それこそ、

追い出し屋Gのワンマンショー開催!

ひとりのビックショー。

ふたりじゃねえのか。

相方誰もいねえ、みたいな。




追い出し屋Gの独演会はまだまだ続く…。




余談−。

ワンポイント、交渉講座。

交渉ごとを有利に行う上で、

相手をこちら側に巻き込む話し方をしなければならない。

その基本は相手への問い掛けにある。

相手が誰であってもそうであるが、

こちらの話に相手を引き込むには、

疑問や質問を投げ掛け、それに答えさせるのが一番だ。

これで貴方も交渉の達人だ!



たまには役に立つこと書いてるじゃんっ!



「ヤクザに学ぶ交渉術」の二匹目のドジョウ、

「追い出し屋に学ぶ交渉術」、誰か出版しません?(笑)



続く…。



多分。



追記。

暑い。

暑苦しい。

 

2003.08.28 木曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・最終々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


追い出し屋Gと占有者Nとの間で、

止まることを知らない言葉。

次から次へとつむぎ出される言葉。

言葉と言葉がぶつかり合う。

そしてものがたりは、最後のステージへ…。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い、暑苦しい戦いは、続く−。



ワタシの話は尽きることなく、続く。



ワタシ
「アナタはさっき何と言いましたか?

事もあろうに、時間をくれと。

時間はあるわけがないことはお分かりですよね?

時間は今までに十分あったじゃないですか。

それを今更、時間をくれだなんて、

そりゃあ、無視が良過ぎる話だってものじゃないですか?

少なくともウチの会社はそう言ってますよ」



ワタシは占有者Nに突きつけるように語った。

占有者Nは何か言いたそうな表情をした。

だが先程から何か喋ろうとすると、ワタシが遮るので、

少しワタシの様子を伺っているようだった。

喋りたいんだけど、喋ろうとすると遮られる。

そのもどかしさが彼の顔一面に広がっている。



なにー?

喋りたいの?

そんなに主張したい意見があるんだったら、

喋ればいいじゃん。

聞いてやるからさ。

追い出し屋Gの独演会は一時中止〜。



心の中で非常に尊大なことを思いつつ、

表面上でワタシは「何かいいたいことあります?」

と、占有者Nに話を振った。

まあ、今回は邪魔しないで聞いてやろう。

これも大人の余裕ってヤツだ。



占有者Nは、ワタシの見せ掛けの好意に甘えたのか、

「じゃあ」とばかりに話し始めた。



占有者N
「…俺はね、ダメな人間なんですよ」





駄目人間、キタ━(゚∀゚)━!!





って、おい!

話が唐突過ぎるぞ!!

こっちはまた「分かった、分かった」と言いつつも、

ワケの分からない因縁吹っかけてくるのかな、

とちょっと身構えていたのに、

こんな発言が来るとは全くもって想定してなかった。

オマエは、話の破壊王だな!



などと、ワタシが思っていたのを知ってか知らぬか、

そんなことお構い無しに彼は話し続けた。



占有者N
「…俺はね、今までは、ほんの10年くらい前までは、

順風満帆に生きてきたんだ。

金に困ったことなど一回もない。

女に困ったことも、ない。」



なんだ?

自慢話大会か?

過去の栄光にすがっても仕方ないじゃん。

今は今なんだし。

んでも、女に困ったことないかー。

くっそー、それはいいな。

なんぞと本気で羨ましがってみたり。



それにしても。

こいつ、演劇でもやってるのか?

その言葉は、あたかも舞台のセリフの様であった。



占有者N
「俺の人生はそのまま、上手く行くものだと思っていた。

今の俺は何だ?

俺の会社は潰れた。

残ったのは、何だ。

借金だけだよ、借金!!」



いつの間にやら、話が不幸自慢へと移行。

人間、少しでも不幸なことがあると、

誰彼ともなく、当り構わずそれを自慢するかの如く、

話をするのは一体何であろう。

それは人間のDNAに刻み込まれた本能なのだろうか。

段々と自分の不幸に酔いしれたのか、

テンションと声が高くなってくる。



そして−。



占有者N
「ああ、借金だけさ!!」



「借金」という言葉に対して、

特にアクセントをつけて発言する占有者N。



オマエは売れない舞台俳優かよ!



とツッコミたくなったのは言うまでもない。



さあ、ここで「そんなの、今話すべき話ではないだろ!」と、

話を中断させるか、はたまた、そのまま話を続けさせるか。

まあ、いいや。

毒を喰らわば皿まで、だ。

ワタシは彼に話を続ける様、促した。



占有者N
「俺の、俺の人生は−。

家も取られ、すべて取られ。

そのせいで、家族の中も悪くなった。

前はあんなんじゃなかった…」



あー、借金のせいで奥さんのヒステリー体質が

ひどくなっちゃったのね。



占有者N
「それもこれも借金のせいだ!!」



占有者Nの借金節は、喫茶店の中で炸裂した。

借金、借金連呼されて、店の人間もさぞ迷惑だろう。

だが、当の本人はそんなことお構いなしだ。




占有者Nの嘆きは尽きることなく、続く…。




続く…。



多分。



追記。

どうでもいいけど、

「菊次郎とさき」が今のドラマで一番面白いと思う。

 

2003.08.30 土曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・最終々々々々々々編




<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


占有者Nのひとり舞台がはじまる、

それにしても、強気に出たり弱気に出たり、

なんかもう必死でしょ、占有者Nって。

出ればいいやん、占有者なんだから。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い、暑苦しい戦いは、まだまだ続く−。



占有者N
「それもこれも借金のせいだ!!」



占有者Nの借金節は、喫茶店の中で炸裂した。

借金、借金連呼されて、店の人間もさぞ迷惑だろう。

だが、当の本人はそんなことお構いなしだ。



占有者Nの演説会が今、始まった。



占有者N
「借金が悪いんだ!」



彼はしきりに借金が悪い、借金が悪いと連呼する。


ワタシは思った。

だが、それは正しいことなのであろうか、と。

もちろん通常生活を行う上で借金しない方がいい。

これはその通りだと思う。

だが借金自体を悪と決め付けるのはナンセンスなことだ。

借金がいけない、ダメだと言い切ってしまったら、

それでは、資金のない者は起業する事ができないのか。

借金による投資効果も期待できない。

当然、経済活動も停滞する。

彼は根本的におかしいことを言っているのだ。

借金すること自体、別に悪いことではない。

悪いのは、借金をする人の足元を見て、

高利率の利息を踏んだくろうとする輩と、

借金したのにも関わらず、

借金を踏み倒すのは当然といった顔をして返済をしない輩だ。



だが、彼はそんなことを少しも理解しようとせず、

ただただ借金に対する自分の不満だけをブチまけていた。



占有者N
「借金のせいで、俺は家を取られ、家族もめちゃめちゃにされ−。

家だって、今じゃあ、あんな小さい家に住むしかない。

あんな家だって、親戚からやっと借りられたんだ…」



彼は悲痛な表情を語っている。

だが、それを聞いた時のワタシの反応といったら、

彼の甘い考えに対する憤りでいっぱいであった。

それはそうであろう。

彼が「あんな家」と言っている、

ワタシがこの前の日曜日に訪れた彼の自宅は、

世田谷の閑静な住宅街にあり、

こじんまりとしてはいるが見掛けも決して悪くない。

以前住んでいたのは恐らく、千代田区の日テレ近くの、

高級マンションであり、そこと比べると立地の利便性や、

専有面積の広さから落ちるため、

そのような不満を言い放っているのだろうが−。

いやはや自分の親戚に感謝こそすれ、

ここで不満を述べる立場ではないだろう、オマエ!!

と、小一時間問い詰めたい。

小一時間問い詰めたいぞ、このヤロー!!



占有者N
「今の会社だって、前のところよりも場所が悪い。

車だって買い換えられない。

アレも出来ない、ソレも出来ない、ナニも出来ない。

出来ない、出来ない、出来ない…。

出来ないんだ!!」



悲痛、悲観、悲愴…。

彼の表情は悲しげで切ない。

ただ語っている内容が聞いているこちらにとってみたら、

腹立たしい−、ただそれだけしか感じない。



車−。

あのベンツか。

確かに古い形式のベンツであったが、だが大型車を維持している、

ただそれだけでも腹立たしい話であるのに、

それ以上になんだ?

オマエんところの社員か何か分からんが、

草野仁並みの筋肉を持ったジジイの運転手がいたじゃねーか。

こちとらが六本木のワンルームを張り込みしていた時−。

探偵かよ、俺!と自問自答した、あの時のことだ。



あー、もう。

さっきから聞いてれば、言いたい放題だな、オマエ!

言いたい放題90分かよ!

バイキング形式か、オマエの喋りは!!



彼が悲しげな表情を深く募らせていくのと、比例するかの如く、

ワタシの憤りやら腹立たしさも深く深く…。



もう少し喋らせてやろうと思ったが、もういいや。

このままだとワタシのストレスメーターが振り切ってしまう。

さあさ、占有者Nの演説会もそろそろ終了してもらおうか。





次回、愛と感動の最終回!





続く…。



多分。



追記。

次回、最終回は本当なのか。

それは神のみぞ、知る、みたいな。

ついでに愛もないし、感動はしないと思うし。

 

2003.08.31 日曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・完結編




今回で六本木編も無事終了!?

はてさてどうなることやら。

どうオチをつけるんだ!

って、この手の話でもオチつけないとダメなのか…?

とにもかくにも、今、ここに完結する!



なお、占有者タイプ別攻略法「賃借人の場合」もアップ。

ってゆーか、今まで更新するの忘れてたかも。

まあ、お暇なときにでも。



<登場人物紹介>


追い出し屋G(ワタシ):主人公。競売業者に勤める。妄想好き。
占有者Nのワンルーム占有を解除させる為、彼を追っている。

占有者N:六本木のワンルームを占有している50がらみの男。
元ワンルームの所有者。追い出し屋Gが追っている相手。

N夫人:占有者Nの奥さん。神経質。ヒステリー攻撃が得意技。

△△男:占有者Nの長男。大学生。盗聴マニア(予想)。マザコン。

サラリーマン:AとB。たまたま隣の席に座っていた、不幸な二人組。



<前回までのあらすじ>


追い出し屋Gと占有者Nの闘いの結末は…。

今、ここに最後の闘いが終わる…。



あー、最近、あらすじが適当じゃねーか。

といった感じですが、まあそれは置いといて。




それでは本編…。




赤坂見附のコージーコーナーにて。

男たちの熱い、暑苦しい戦いは−。

そして…。



占有者N
「今の会社だって、前のところよりも場所が悪い。

車だって買い換えられない。

アレも出来ない、ソレも出来ない、ナニも出来ない。

出来ない、出来ない、出来ない…。

出来ないんだ!!」



彼が悲しげな表情を深く募らせていくのと、比例するかの如く、

ワタシの憤りやら腹立たしさも深く深く…。



もう少し喋らせてやろうと思ったが、もういいや。

このままだとワタシのストレスメーターが振り切ってしまう。

さあさ、占有者Nの演説会もそろそろ終了してもらおうか。

ワタシは悲愴な表情をしている占有者Nに言った。



ワタシ
「…それで?」



さっき、彼に向けて投げ掛けたのと同じ言葉だ。

ただ、先程と今では状況が全く違う。

もう一言も文句は言わせない。



占有者N
「だ、だから…」


ワタシ
「…だから、何?」


占有者N
「…ですから−」



また同じことの繰り返しだ。

もういいや、この辺りで終わらせんと、

いつまで経っても話が終わらない。

ワタシは彼の言葉に被せる様に言った。



ワタシ
「もう、いいです。

もう、アナタの境遇は分かりました。

ただ、だからといって、ワタシどもの物件を占有していいという、

そんな道理が通るわけがない!

それは分かりますよね?」



そうですよねー、お客さーん!!

ワタシが言ってる通りですよねー!!

いいですかー!!

いーち!

にー!

さーん!

ダッーあああ!!



占有者Nはただただ黙って頷(うなづ)いた。

先程、同じ言葉を投げ掛けた時は、烈火の如く、

怒ったわけなのだが。

もちろん、また再度怒ったとしても、それは逆ギレなワケで。



ワタシ
「…もう、いいでしょう。

アナタに時間がないのは、そうかもしれません。

ただワタシにも時間がないんですよ。

だから、先程アナタが言った時間をくれ、

という提案はとてもじゃないが呑めないワケなんですよ。

それも分かりますよね?」



またもや頷く占有者N。

もう、今日は怒りの感情、悲しみの感情すべて出し尽くし、

精も根も尽き果てた、といった感じか。

惰性の様に頷く彼に、

最早自分の意思というものは見受けられない。

もう何を言ってもワタシには無駄だと悟ったのだろう。

まさしくその通り。

それは正しい悟りだぞ、明智君。

当然、これはチャンスだ。

もうこの際、がんじがらめにして彼を追い込まないと。



ワタシ
「…アナタ、本当にわかっているんですよね?

だったら、それを形にして表してくださいよ。

引渡日は、多めにみても今日を抜かして五日後。

これでウチも精一杯ですよ」



ワタシは横に置いておいたカバンから、書類を取り出す。

退去に関する合意書だ。

これに署名捺印することによって、引渡日を確定させ、

留置物の所有権放棄、

そして債権債務の関係がないことを両者が合意する。

ワタシは合意書を占有者Nの目の前に置いた。



ワタシ
「今から、これを読んで、署名捺印して下さい」



占有者Nは、目の前にあるのが書類ではなく、

蛇か何か、人に害をなす動物でも触るかのように、

恐る恐る書類を手に取った。



しばしの間、彼は書類を目で追っていたが、

二度三度読むと、書類をまたテーブルに置き、

ワタシに言った。



占有者N
「…これ、この場で書かないとダメ?」



ワタシは即答した。



ワタシ
「ダメ」


占有者N
「…ダメ、かあ。

せめて一週間後、これで…」



ワタシは再度即答した。



ワタシ
「ダメ」



占有者Nの表情は依然として冴えなかったが、

もとよりこちらも嬉し楽し大好きな話をしに来たワケではない。

彼は、もうこれ以上答えを延ばしても、

無駄だということがようやく理解したのであろう。

彼は胸のポケットから自分のボールペンを取り出すと、

署名捺印をし始めた。

そして印鑑を持っていないという彼に、

だったら拇印してくれというと、素直にこちらの差し出した、

朱肉に右手の親指をつけ、それを書類に押し付けた。



ワタシ
「はい、これで合意しましたっと。

これは約束ですからね。

当たり前の話ですが、約束破らないように。

破ったときは、ワタシが何するか、分かりますよね?」



ワタシはゆっくりと占有者Nに言った。

頷く占有者N。

ワタシ自身は、じゃあ約束破ったら何するんだ、

という問いの答えは全く考えてないのだが、

まあ、相手が分かったと言ってるんだから、

それでいいだろう。

世の中って、そんなもんだ。



ワタシは合意書を受け取り、詳細な引渡日時を決めると、

もうここでの仕事は終わったとばかりに、席を発った。



……。

引渡日、彼は荷物を全部、引き取り空にした。

彼は先日と打って変わって、

恨み言を連ねることもなく、ただただ平坦な表情でワタシに対応した。

今思うと、何故彼はあれだけ引渡しを拒否し続けたのか。

今となっては本当の理由はわからない。

だが、ワタシが推測するに、多分それは彼なりのプライドなのだろう。

ワタシにとってみたら、どうでもいいプライドだ。



ワタシと占有者Nとの長い長い対決劇は、これで終わった。

その後、彼が何をやっているのか。

それはワタシには分からない。



この話は今からちょうど一年くらい前、

晩夏から初秋に掛けての話である。

ワンルームの割には、追い出しに時間が掛かってしまった。

ただ、このワンルームマンションは売れ筋物件だ。

物件が売れれば、今までの苦労も、そりゃあ吹っ飛ぶってもんよ。

そう思って早一年。





って…、





まだ売れてないじゃん、これ!




ダメじゃん。




完。




追記。

これで終わり。

わりと疲れました。

 

2003.09.01 月曜日



占有者との仁義なき闘い。
−六本木心中/熱帯夜の死闘・あとがき




いやいや、六本木ワンルーム占有者編、終わりました。

終わりましたというか、終わらせましたというべきか。

何はともあれ、終わりましたよ、そこの奥さん。

感想などあったら、掲示板やらメールやらで、

ワタシにガツンと言ってやってください。

今後の参考にしたいと思っております。



実は最初、前編・中編・後編の三部作で考えていましたが、

結局、全三十五話の長編になってしまったのは、

決してワタシのサービス精神の豊富さが

表現されたということではなく、

ひとえにワタシの計画性の無さのなせる技でしょう。

生まれたときから計画性がないので、

まあ、これは一生治ることがないです。

残念ながら。



はい、ここから反省会なんぞ開催。



最初は前編とか書いてたのですが、

最後の当たりは、最終々々々々々々々々回

といったワケの分からないものになってしまったのは、

反省、反省。

今後は連続モノの場合、「第○回」という様に表示します。

こちらの表示の方が当然分かりやすいですからね。



それにしても、六本木編の最後の辺りはもう−、



手強い敵であった・・・。

だが、本当の闘いはこれからだ!

さあ、旅立つんだ!!

完…。



といった、あたかも少年ジャンプの人気がないので、

速攻打ち切られた漫画の強引なラストみたいですね。

無理矢理まとめました、という意図が見え見えなのは、

またもや反省材料。



ちなみにワタシと占有者Nとの間の話し合いは、

もっとキワドイ部分もあったのですが…。

まあ、あんまり書きすぎてしまっても、

エンターテイメント性が失われるかもしれないので、

まあ、こんな程度で書いていくのがいいのかな、と。

そう思ったりしてます。



さて今回の六本木編のオチに関しては、いかがでしょうか。

って、このオチは最初の最初でオチをバラしてるんですけどね。

読み返してみると、もうちょっとオチを強烈にアピールすることが、

出来たんではないかな、とこれまた反省モードです。

文章力の向上が目下の課題と言えましょう。



って、あまり反省ばかりしてると、

暗い気持ちになってしまうので、

話題を変えようと思ったり。



何の話でもしましょうか。

そうそう、次の新シリーズは何にしようかな、

といった話でも。

次の話として、今ざっと思い浮かべたのは以下の通り。



1.追い出し屋G 対 不動産屋

2.追い出し屋G 対 債権回収屋

3.追い出し屋G 対 元アイドル

4.追い出し屋G 対 フリーター

5.追い出し屋G 対 民主商工会

6.追い出し屋G 対 管理組合

7.追い出し屋G 対 無職

8.追い出し屋G 対 風俗王

9.追い出し屋G 対 宗教団体



「対 風俗王」編は、

大体のネタを過去の日記で書いてるワケなんですが、

色々と肉付けして書き直そうかな、と。

他のも過去の日記のなかで、

部分部分で書いてしまったものがあるんですが、

それらも色々と新たにリライトしてみようと思っています。

なお、インチキ占有の占有屋に関しては、

ワタシの書くものよりも、今起きている状況の方が面白いので、

ここではネタにしないかなあ、と。

占有屋についてだったら、

競売フォーラムさんの掲示板の方が熱いです。



…というか、もっとヤバイネタがあるんですが、

とてもじゃないが書けなかったり…。



何はともあれ新シリーズはそのうち、やります。



乞うご期待!!



あ、ウソウソ。

期待しないで待っててください。