2004.02.22 日曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百一話−
マスウラのフラフープ悲話…の巻。
マスウラの話の切り出し方は唐突であり―。
とてもじゃないがその場の雰囲気にそぐう話ではなかった。
マスウラ
「時に―、追い出し屋Gさん。
アナタ、フラフープやったことあるかな?」
ワタシ
「……はっ?」
……何言ってるんだ、このチンパンジーは。
この場の話の流れで、どこをどう考えたら、
フラフープだなんて脈絡のない言葉が出てくるのだ?
しかも何で、こちらを睨みながらそんな話をするのだ?
マスウラ
「フラフープちゅうのは、丸いワッカで、
ほら、腰を動かして―」
……いやいや、フラフープだったら知ってるし。
アレだろ、アレ。昔やったことがある。
プラスティックだかセルロイドで出来た直径1メートルの輪で、
腰を振って落ちないように回す様子がフラダンスに似てるから、
フラフープって言うんだろ。
マスウラ
「グラングランと腰を回して。
こう、グラングランと―」
椅子に座っているマスウラは、
腰を動かす度にパイプ椅子がギシギシと悲鳴を上げる。
マスウラは今にも立ち上がって実演せんばかりの勢いだ。
占有者A子も流石にその光景を引き気味に見ている。
ワタシはといえば、その意味がよく分からず、
マスウラの話にじっと耳を凝らしていた。
マスウラ
「腰を回して回して、いつまでも回して―。
ワッカが落ちないようにする。
いやあ、これが俺が小学生の頃に流行ってね。
単純な遊びだけれども、これがまた楽しくてなあ」
マスウラは誰の目を気にすることなく、
止め処もない話を続けた。
マスウラ
「町内では一二を争う程、フラフープが上手くてなあ。
皆からフラフープのマッちゃんって呼ばれたもんだよ」
マスウラはガハハとダミ声で笑い声を立てた。
……というか、いつからここは、
マスウラの昔話を聞く会の会場となったのだ?
ここで行われているのは、
マスウラのオールナイトニッポン!公開生放送か…?
ワタシはリスナーか?
それともマスウラにネタを読まれたがっているハガキ職人か?
脳内ラジオからは「ビタースウィート・サンバ」が流れ始めた。
……。
段々とマスウラの話に耳を傾けていた自分が
少しバカらしくなっていた。
ワタシ
「あの、その、フラフープの話が一体どう関係が―」
マスウラ
「まあまあ、話は最後まで聞いてよ」
ワタシ
「……はあ」
マスウラ
「とにもかくにも、その頃の俺にとって、
フラフープはたった一つの生きがいであり、人生だった。
だけれども、だけれども、だ。
ある時からパッたりとフラフープをするのを止めた!
何故だ!?」
……しらねーよ!
猿男はワタシに問い掛けてきたが、何も答えなかった。
マスウラは占有者A子の方にも顔を向けたが、
彼女もまた何も答えなかった。
味方にもそれに反応するノリがなかったのだが、
我が道を行くマスウラには最早関係がなかったようだ。
猿は勝手に間を空けて、勝手に答えを言った。
マスウラ
「……フラフープのやり過ぎで、腸捻転になったんだよ」
……。
だから、何なんだよっ!
…続く。
<おまけ日記>
マスウラの話には何か深い意味があるのか、ないのか。
次回分かります。分かるっていっても、大したことじゃないけど。
本日はこの更新以外にも、メルマガ最新号を出したりと、
文章作成をば少々嗜んでいたという次第。
とりあえず、メルマガはワリと面白いと思うので、
読んでみるといいかも。
ちなみにバックナンバーは、
いつまでも公開しているとは限らないので、
メルマガ登録してた方がいいかもって感じです。
それではWEB拍手のお返事。
2/22 0時
>フラフープはないけど、一輪車ならやったことあるぞ!
>って言っておやんなさい。
って、一輪車の方がやったことないし。
どうでもいいことだけど、イマドキの小学生は、
一輪車を強制的に乗らされるのかなあ、と。
2/22 0時
>なんか、感動する話の予感。フラフープ期待期待!
>函館はイカだべさ。敷金かぁ。
フラフープの話は大したことないですよ。
というか、イカいいなあ。
イカ飯旨いですね。
2/22 1時
>Gさん弱い・・・GさんLv1って頃ですね。反撃に期待。
はい、ヨワヨワです。
今はどうなんでしょうか?
うーむ。
2/22 8時
>その日のうちに債務不存在を提訴する準備を弁護士に依頼。
>翌日午後に裁判所提出。続きは叉明日。byほい
おー、ほいさんに歯向かうとは身の程知らずですね(笑)
続きを楽しみにしてまっす。
2/22 9時
>ゴッツイ勉強になります
なんの勉強になるのかなあ。
フラフープの?
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.02.23 月曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百二話−
脳内ラジオ妄想電波発信中!…の巻。
♪パラッラ〜 パパララパッパラ〜 パパララパッパパパッパパパラ〜
ちわっす! 一週間のおマットさんでした。
早速、オープニングトークなんだけど、
いやいや、皆はフラフープって知ってるかな、フラフープ。
要はワッカをグラングランと腰で回しちゃおうっていう、
遊びっていっちゃ、遊びなんだけど。
オレが子供の頃、すげえ流行っていてね。
もう皆が皆、ダッコちゃんかフラフープかってな感じで、
そりゃあもうガツンと大ブームってワケ。
まあ、自慢じゃないけど、オレなんか町内フラフープ大会で、
努力賞を貰っちゃうくらいの実力派フラフーパーだったんだよね。
これが正味の話、街中の娘をブイブイ言わせてたね。
へーい、ネエちゃん、オレっちと一緒にフラフープやらない、って。
……誰も一緒にやってくれなかったけれどもなっ。
そんなことはどうでもいいや。
とにかく超一流フラフーパーのオレっちだったけど、
一時期からパッタリとフラフープ道から遠ざかってしまったんだな。
それは、なーんでか?
あんまりにもフラフープやり過ぎて、腸捻転になっちゃったから。
何事もやり過ぎは良くないぜっ!
今日のFAXテーマは「やり過ぎてこうなりました」だ。
皆の熱い熱い暑苦しいFAXを待ってるぜっ!
それじゃあ今日も三時まで張り切って行こう! せーのっ!
マスウラ エイキチのオールナイト・ニッポーンっ!
♪パラッラ〜 パパララパッパラ〜 パパララパッパパパッパパパラ〜
――この番組は追い出し屋Gの脳内をキーステーションに、
追い出し屋Gの脳内だけで放送されています。
……。
脳内ラジオから妄想DJマスウラの電波放送が垂れ流されていた。
それは毒電波というべき存在で、確実にワタシの神経を侵していた。
……それもこれもマスウラが交渉の話の間に、
ワケの分からんフラフープの話題なんて振るからだ。
こんなどうでもいい、意味不明な話のせいで、
これでワタシの緊張の糸はプッツリと切れ―。
後に残ったのは、残尿感にも似た妄想だけだ。
……ああ、頭が痛い。
それはもう、頭が痛くて頭痛がすると言いたい程、頭が痛い。
この煙草のヤニが舞う、地下室で話し合いを始めてから、
どのくらいの時が経過しただろうか。
脳は新鮮な空気を欲している。
汚れた空気の中にいるからこそ、
妄想の度合いが強くなっているのであろう。
ワタシは真剣にそう思った。
――対するマスウラはといえば、人の気も知らず、
先程からの話を続けるばかりである。
マスウラ
「フラフープでさ、腸捻転になっちゃって。
――そうだ、腸捻転って知ってる?」
……。
誰も彼も無言だ。
ワタシだけでなく、占有者A子も何も答えない。
そういえば、彼女も顔色が悪くなっている。
ワタシと同様、普段は煙草を吸わない人間が、
長い時間、地下の密閉された空間の中で、
ヤニにまとわれていたら、気分が悪くなるのも当然だろう。
普段、煙の多い場所で過ごしていることも多いワタシですら、
この密閉感ある場所での煙は堪える…。
マスウラ
「腸捻転ってのは、その名の通り、
腸が捻じれる病気のことなんだけど。
いやあ、これが痛いのなんのって…」
マスウラは脇腹を押さえるジェスチャーをした。
それにしても、そこは腸なのか―?
脇腹ではないのか―?
マスウラ
「おっと…、道が逸れ過ぎですな。
ワタシはフラフープのし過ぎで―、
腸捻転なんかになったのだが…。
これと同じだと思うワケだよ、今回の交渉も―」
ワタシ
「……はあ」
マスウラ
「お互いに話し合いということで、難しいことを言い争い過ぎて、
そして今、話し合いがこんがらがり―、
腸捻転みたいに捻じれに捻じれている。
これじゃあ、フラフープをやり過ぎて腸捻転になった、
過去の私と同じだっていうことだな、うん」
ワタシ
「……はあ」
……何言ってるんだ、こいつは。
こんなことを表現したいが為に、
わざわざフラフープの話なんぞ持ち出して来たのか!?
回りくどいヤツだ―。
マスウラ
「……何事も捻じれに捻じれる前に、解決しないと、
痛みを伴う結果となる―。
こちらとしてもそれを伝えたいがために、
昔話をしてみたってワケ―、どうだった?」
ワタシ
「……はあ」
……どうだったって言われても。
こちとらもっと何か含蓄のあることを言うのかと思ってたぞ。
意味ありげにフラフープの話なんぞするからに―。
マスウラ
「……まあ、シンプル・イズ・ベストってヤツだな。
だから、こちらからもあまりガタガタ言わない提案をしたい」
……って。
散々ガタガタ言ってるじゃねーかっ!
…続く。
<おまけ日記>
どうでもいい話ですが…。
晒されて潰された「大夜逃げ学」の件を見ても、
あんまり実話系サイトも派手にやっちゃあいけないな、と。
ちなみにウチは実話系ではなく、ただの読み物サイトですので、
その辺り、よくよくご理解の上、ご覧遊ばせっつー感じで。
まあ、念の為(笑)
それではWEB拍手のお返事。
2/22 23時
>で、訴状が先方に特別送達で着く頃、顔出しましたよ。
>勿論相手なんて簡単に金が取れると思ってる
>脳天気だから、笑えましたね。
>そしてドアあけた瞬間に鍵業者にかぎ取りかえさせました。
>大家の権限だからねぇといって。続きは叉明日。
競売業者は何でもかんでも金を出すのが当たり前で、
金を出さない方が異常という風潮はやっぱりおかしいですね。
要はこちらから金を出すというのはあっても、
相手側から要求されるべきものではない、ということです。
2/23 0時
>祝!100話突破!\(^▽\)(/▽^)/
これから200話を目指しますっ!!
ってそれじゃあ、いつまで経っても終わらないじゃん。
2/23 1時
>うちにはフラフープは無かった、貧乏で(涙。
フラフープって今やってる人いるんですかね?
そんな風に思ってネットで検索してみたら、
アレみたいです。ダイエットで使ってる人がいるみたいですね。
腸捻転にならないのかなあ…(笑)
2/23 21時
>よし!フラフープ対決だ!マスズシさんと。
>ってあまりやりたくないです。イイ人
是非、勝負してください。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.02.24 火曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百三話−
500万を100万でどうだ!…の巻。
フラフープをやり過ぎて腸捻転になるように、
話し合いをし過ぎても状況が捻じれてしまう…。
腸捻転が痛いのと同様に、
捻じれに捻じれた状況も痛みを伴う結果となる…。
含蓄があるのだか無いのだか分からない、
フラフープの例え話を話し終えたマスウラは、
満足気に煙草をまた一本吸い始めた。
旨そうに煙草を呑むその顔には、
一仕事やり遂げた男の充足感が垣間見えた。
……って。
フラフープ話のひとつやふたつで、
輝いた顔をするなよっ!
……。
ワタシ
「……で、フラフープの話はそれで終わりですか?」
マスウラ
「話は終わりだけど」
ワタシ
「……はあ」
依然として満足気なマスウラのその顔に、
ワタシはちょっとした腹立たしさを感じた。
それにしても、マスウラの「ガタガタ言わない提案」というのは、
何なのだろうか。
また新たな提案なのだろうか―。
ワタシは気を取り直し、それを尋ねた。
ワタシ
「……それはそうと、ガタガタ言わない提案って。
それはどんな提案ですか―?」
マスウラは煙草を半分くらい吸ったところで揉み消し、
少し半笑いの表情でワタシの質問に答える。
憎憎しい顔だ―。
マスウラ
「提案って、さっきも言ったじゃない―」
チンパンジーはそういうと、またもや人差し指を一本立てた。
マスウラ
「これだよ、これ―」
ワタシ
「……はあ」
……というか、今度はまた指一本かよ。
指を立てたり折ったりと忙しい男だ。
マスウラ
「一本だよ、一本!
端的に言えば、100万だよ、100万!」
――身も蓋も無い言い方である。
それにしても、さっきはさっきで、
五本指を立てて敷金の話をしていなかったか?
ワタシ
「あのお、さっきは敷金500万がどうとか、
なんて言ってませんでした?」
ワタシの質問に対し、マスウラは顔を歪めた。
全くもって人を小馬鹿にした顔だ。
マスウラ
「ああん?
追い出し屋Gさん―、アナタも飲み込みが悪いねえ。
いいかい、こちらが100万の話をした後に、
500万の敷金をしたのは、ちゃんと意味があって。
この二つを比較して貰いたかったワケなんだよ。
言うなれば損得勘定を分かりやすくしたということ―。
この意味、分かる―?」
ワタシ
「……はあ」
……よく意味が分からん。
マスウラ
「うーん、何とも早、飲み込みが悪いみたいだなあ…。
早い話が、こちら側は本来だったらお宅さんに支払って貰うべき、
敷金500万円を放棄する代わりに、
その代わり100万を用意して貰いたいってことだよ!
これで分かった―?」
ワタシ
「……あー!」
ワタシの読解力もかなりの低さだが、
マスウラの話もくど過ぎだろう。
だが、恥ずかしながらその時、理解の叫びを漏らしてしまった。
ワタシの漏らした声を、マスウラは聞き逃すことがなかった。
そして、ヤツの猛烈なクロージングが始まったのである。
…続く。
<おまけ日記>
忙しい、忙しいと思っていても、
人間、ワリと無駄な時間を過ごしているものです。
その無駄をいかに省いて、有意義な時間を費やすか。
それが今のワタシの人生の命題となっています。
……とはいえ、自分にとっての有意義なひとときは、
他人にとってみると無駄な時間というのが世の常だったり。
なかなかもって、人生って上手くいかないものです、はい。
それではWEB拍手のお返事。
2/24 0時
>フラフープもダッコちゃんも昭和30年代と
>思いますが良く知ってるね、古いこと。
さあ、ワタシは一体幾つなんでしょうかね。
2/24 9時
>腸捻転が悪化して、帰らぬ人となってればよかったのに(笑)
いやいや、一応、ワタシにネタを提供してくれたことは、
大きいと思いますよ(笑)
2/24 10時
>マスウラは、腸捻転じゃなくて頭が捻転してるんじゃないですか?
ワタシもワリと頭が捻転してます…。
2/24 15時
>密かにプロフィール更新しましたよね?
細かいところを適当に直してたり付け加えたりしてます。
2/24 20時
>マスウラって話術の天才だったりして。
>相手のやる気をそぐのがうまい!
相手のやる気をそぐのは上手いですね。
確かにその通りです。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.02.25 水曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百四話−
瀕死の大出血と鼻血の違い…の巻。
さあさあ、お立会いっ!
寄ってらっしゃい、見てらっしゃいっ!
そこを道行くダンナ様、奥様、お坊ちゃん、お嬢ちゃんっ!
ここに取り出だしたる、マンションの敷金っ!
そんじょそこらのマンションの敷金じゃないよっ!
門外不出の出物の出物っ!
都心のマンションの敷金500万円が今ならたったの100万だっ!
さあさあ、今ならたったの100万っ!
さあさあさあさあ、どうだ、どうだ、どうだっ!!
買った、買った、買ったあああっ!!
……バナナの叩き売りか、ガマの油売りか。
そんな物売りの前口上の如き口調でマスウラは言った。
敷金500万円を100万円で勘弁してやる!
――これがマスウラの主張であった。
マスウラ
「本来500万円のものが100万になる。
これはもう、小学生の算数で―。
皆まで言わなくても分かっての通り、
こちらとしては400万もの金額を放棄しようちゅうの。
大変だよ、こりゃ。普通に考えればそれくらい分かるでしょ?
財産が減らされるワケだし、
こちらは十分に血を流してるってワケだよ。
だからこそ―」
マスウラはワタシを見据え言った。
マスウラ
「お宅さんにも血を流して貰わなきゃならんちゅうワケだよ」
ワタシ
「……」
朦朧とした意識の中、ガンガンと頭が痛む。
ワタシはマスウラの言い分が正しいように思えた。
単純に、簡単に考えよう。よーく考えよう。
500万ひく100万は幾らだ?
それは400万だ。
そうか、400万儲かるんだっ!
それはラッキーじゃないか。
単純に、簡単に考えよう―。
――頭痛は妄想を生み出したようだ。
マスウラは熱のこもった口調で言葉を叩き出す。
マスウラ
「……血ぃ流すっていっても、
こちらは400万に比べて、そちらはどうだ?
たった100万じゃないか。
たった100万円だよ、100万円!
こちらの痛みを伴う出血は、
言わば交通事故で瀕死の重傷を負って大出血といったところ。
それに比べて追い出し屋Gさんの会社なんて、どうだろう。
たかだか鼻血を出すようなものじゃないか―」
――瀕死の大出血と鼻血の違い、か。
そうか、そうかもな…。
ワタシ
「……あの、A子さんはその、100万円でいいんです?」
今思うと、ワケの分からん質問をしたものだ。
ワタシの質問にマスウラはもったいぶった口調で答えた。
マスウラ
「……そんなの、いいワケないだろ。
いいワケがあるワケがない!
損をするのはA子さんなんだし。
損をするっていっても、100円200円の話じゃあない。
桁が違う。四桁も違う。それだけ違う。そんなにも違う。
違いすぎるんだよ!」
無駄に暑い話し方をしたと思ったら、
ますます暑苦しい口調で駄目押しをした。
それはあたかも―。
寝苦しい真夏の熱帯夜のような口ぶりであった。
マスウラ
「だけれども、だーけれども!
A子さんは無駄な争いをしたくない。
その一心で今日この日を迎えたというワケちゅうのっ!
なあ、A子さん―」
マスウラは占有者A子にヤブ睨みの視線を向ける。
彼女は、当然の如く頷く。
その頷き方たるや、本日一番深いそれであった。
…続く。
<おまけ日記>
今日も今日で大変でした。
交渉は上手くいっても、個人の事情まで深く立ち入ってしまうと、
遣り切れなくなることが多々ありますね。
だからこそ、個人の事情には関わらないようにしているのですが。
それってば、病院関係者が死に行く人に対し、
個々の感情を抱かないことにちょっと似てるかな、と。
まあ、そんな感じ。
それではWEB拍手のお返事。
2/25 1時
>追い出し屋Gさんは何歳です?ついでに元アイドル?
さあ、幾つでしょうか。
ちなみにワタシはアイドルだった時期はありませんよ。
2/25 1時
>支払ってもらうべき500万ってあんた!!で100万でいいの??
そりゃあ、よくはないですね。
2/25 2時
>そういや稀崎優って全然見ないね。
誰ですか?
2/25 2時
>そういや北浦共笑ってどうしたろう。
誰ですか?
2/25 11時
>切羽つまった人間の要求は止めどないですねぇ
色々な請求があるものです。
この商売やってると、あー、こーゆーことも請求するのだな、
とある意味感心することもあります。
2/25 11時
>立退き料じゃなくて動産の買取だけだつってのに。
置いていかれる動産は、大抵はゴミばかりですね。
まあ、中にはお宝もある場合もありますが…。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.02.26 木曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百五話−
追い出し屋Gと占有者A子の妥協点…の巻。
喋る男と頷く女、そして黙って聞くもう一人の男―。
新宿の雑居ビルの地下室で繰り広げられる、
交渉という名のステージは、最早マスウラの一人舞台だ。
本来主役であるべき交渉の主体である、
ワタシこと追い出し屋Gと占有者A子の影は薄かった。
明らかにワタシはマスウラの喋りに翻弄されていた。
場の流れは、マスウラの支配下に置かれており―。
マスウラ
「こちら側としては無駄な争いをしたくない。
それはそうでしょ、考えてみてよ。
ここにいるA子さんは女だし。
いや、まだまだ経験のない女の子だよ―」
……経験がないって、何の経験がないのだ?
マスウラ
「女の子だよ、女の子。
こんな女の子がひとり、こーんな細腕一本で、
家族背負って、赤ん坊背負って生きて行こうっていうんだから。
――なあ、A子さん」
機械仕掛けのように頷く女がここにひとり―。
マスウラは占有者A子が頷くさまを傍目で見ていた。
その目は哀れむような眼差しであったのか、それとも…。
マスウラ
「大体、A子さんは半ば騙されて…。
まあ、そんな話はどうでもいいか。
――それよりも何よりも、こちら側は条件を、
最大一杯出来うる限りの条件を提示したんだ。
これがお互いが納得出来る条件ってヤツだ」
ワタシ
「……はあ」
……確かにマスウラの言い分が正しい。一理ある。
いや、正しいというよりも、この場を押さえるための、
交渉をまとめ上げるための妥協点ではないか。
ワタシはそう思った。
マスウラ
「もう、これ以上ないって程、話しましたよね。
これよりも何かいい提案あります?
お互い乗れるような、提案が―」
ワタシ
「……はあ」
……そうだ、妥協点なのだ。
しかし妥協しているのはワタシだけではない、
占有者A子側も妥協しているのだ。
本来だったら請求してもしかるべき、敷金を放棄し、
その五分の一の金額で退去を考える―。
これは今までのマスウラと占有者A子の主張であり、
その主張を自ら取り下げたのは事実ではないか。
それは何故か―。
それは相手側も話をまとめたいからだ。
話しをまとめたいからこそ、
ワタシに自ら譲歩した提案を提示したというワケだ。
そうだ、そうに違いない。
だとしたら、ワタシはどうすれば―。
どう答えればよいのだ―。
話の流れに勢いづき、今が絶好の機会だとばかりに、
チンパンジーは駄目押しをした。
それは最後の汽笛であった。
ワタシを妥協の淵へと誘(いざな)う最終列車の、だ。
マスウラ
「なあ、追い出し屋Gさん―。
これ以上の条件提示はこちらからは出来ないよ。
いいか、よく聞いて下さいよ。
これからA子さんは女でひとつで、
赤ん坊と母親を養っていかなければならないんだ。
しかも、今の家を取られようとしているのに―。
それでも、それでも、A子さんは争うことを止め、
何とか事態を正常な方向に持っていきたい。
そんな苦しい状況の中であっても、だ。
その気持ちを、A子さんの気持ちを分かってくださいよ!」
ワタシはマスウラの熱気から視線を逸らすように、
占有者A子を見た。
占有者A子は、頷くだけの女は―。
――いつの間にか、泣いていた。
脳内に酸素が足りなくなる程の毒煙の中、
また地下室の圧迫感に胸が押さえつけられ―。
ただただ苦しく辛かったワタシは―。
ワタシ
「……うん」
……そうだ、これは交渉なんだ。
本来交渉の目的は何か―。
それはただひとつ、話をまとめることだけだ。
話をまとめるということは、お互いの妥協点を見つけること―。
ワタシの答えは決まった。
答えは、ただひとつ。
そして、ワタシはマスウラと占有者A子に言った―。
……分かりました。
――と。
…続く。
<おまけ日記>
眠い。
それではWEB拍手のお返事。
2/26 0時
>やっぱ世の中もバランスが必要だから
>色んな人がいて成り立ってますね。うん。
何事もバランスが必要ですね、バランスが。
2/26 1時
>んーと、春一番が吹いて暖かくなりました。
今年の春一番は早かったですね。
だいぶ暖かくなってきましたが、また寒くなるでしょう。
2/26 9時
>元アイドルも百万でクビを縦に振るんだねぇ〜
>落ちぶれたくないねぇ
100万をどうみるか―。
ちなみに100万貰えるんだったら、
ワタシも首を縦に振ることくらいはします(笑)
2/26 9時
>マスウラって、飲みに行ってもこの調子なのかな(笑)
さあ?
一緒に飲んでみてはどうでしょうか。
意外と楽しいかも知れませんよ。
2/26 11時
>いやん、Gさんほんとに弱くてわきわきする。
ドキがムネムネしちゃいますね。
2/26 21時
>最近、更新が頻繁で、毎日楽しみです!
感想あっての更新です。
楽しみにして貰えると嬉しいけど、
そんなに頑張らないことを前もって宣言です(笑)
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.02.28 土曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百六話− 三人の顔…の巻。
空は―、すでに赤く染まっていた。
地下室の暗さに慣れた眼に西陽(にしび)は眩しい。
沈み行く陽差しにワタシは思わず、立ちくらみを覚えた。
足に力が入らない―。
それは夕日のせいであろうか、それとも…。
気がつくと、膝が震えていた。
このまま、新宿の片隅で崩れ落ちてしまいたかった。
どこまでも落ちてしまいたかった―。
――崩れ行く意識の中でワタシは先程までいた、
あの暗く澱(よど)んだ地下室での情景を思い出す。
マスウラの薄笑い顔、占有者A子の泣き顔…。
彼と彼女の顔が鮮明に思い起こされ、フラッシュの瞬きをみせる。
それにしてもと、思う。
あの時、ワタシはどんな顔をしていたのだろうか。
どんな顔をしていたのだろうか―。
……分かりました。
ワタシの同意の意を受け、してやったりとでも思ったのか、
マスウラはニヤリと笑った。
マスウラ
「そうか、そうですか。
やっと追い出し屋Gさんも分かってくれたようだね」
マスウラは、半ば当然だろと言いたげにうんうんと頷(うなづ)く。
占有者A子の頷きは幾度となく見て来たが、
彼のそれは始めての姿であった。
マスウラ
「もっとも、これは彼女が金額を泣いたからで―。
金額的にもっと違う結果があるべきなのだけれども、
本来だったら、彼女はもっと強く交渉に臨んでもいいのに―」
――占有者A子は泣いていた。
マスウラ
「まあ、俺はただただ知り合いとして、
こういった場に立ち会ったというだけだから。
俺からじゃあ、金額がどうこう言う、
そんなことはしないけれども―」
恩着せがましくマスウラは言うと、
余ったパイプ椅子の上に置いてあったカバンから、
二枚の書類を取り出し、ワタシの目の前に置いた。
プリンターで印刷されたそれは二枚とも同じ文面のようだ。
ワタシ
「これは―」
マスウラ
「これは、合意書だよ。前にも渡したでしょう」
ワタシ
「……」
ワタシは以前、ウチの社長が合意書をビリビリに破き、
紙吹雪にしたことを思い浮かべた。
マスウラ
「それじゃあ、ここに署名捺印を―。
内容は今さっき言ってたことだから。
もちろん、よく読んでもらって構わないから」
マスウラは合意書の下部空欄を指差し、言った。
ここに社判とハンコを押せといってるのだろう。
合意書の内容としては、マスウラの最終提案を煮詰めたもので、
そこに書かれている要点を簡単に述べれば、
ウチの会社が100万円を事前に支払う代わりに、
占有者A子は三ヵ月後に退去する、といった趣旨だった。
普通に考えてウチの会社が納得出来るものではない。
だが、その時のワタシはどういう形であれ、
ある程度のところで話をまとめることが先決だと思っていた。
それがお互いの妥協だ、と。
そう思い立った最大の理由は、
占有者A子には、赤ん坊がいる―。
そこから至る心理状況の作用のせいだろう。
合意書を一通り読んだワタシはマスウラに言った。
ワタシ
「内容は大体分かりました―。
だけれども、今、これに署名捺印することは出来ませんよ」
――当たり前である。
大体、ハンコなんぞ持って来てないのだから。
マスウラ
「……え、何で?」
ワタシ
「何で、って言われても…」
仮に持っていたとしても、それにハンコを押すなんてことを、
自分の独断専行で出来る訳がなかろう。
だが、そこまで相手方に言うことはしなかった。
ワタシ
「今日、ハンコを持ってきてませんし。
最終的に、会社の許可も取らないといけませんし―」
マスウラ
「――ははん?
何だ、追い出し屋Gさん。
電話でもエラソウなこと言ってたんで、
てっきりすべての全権を持ってると思ってたよ。
全権持ってたら、ハンコ持ってるのは当たり前だし。
なーんだ、なーんだ、なーんだ」
ダミ声を枯らし、他人を馬鹿にした表情をするマスウラ。
憎憎しげな顔。
この顔がマスウラの顔だ。
ワタシ
「……」
マスウラ
「まあ、持ってないものは仕方がない。
それじゃあ、これを持って行って貰って、
会社に上げてみてちょうだいよ。
――A子さん、今日はこれくらいで大丈夫かな?」
占有者A子はマスウラの言葉に微かな反応を見せる。
占有者A子
「……はい、結構です」
彼女は泣き顔のまま、小声で頷いた。
この顔が占有者A子の顔だ。
そして、ワタシは合意書を受け取り、
彼らの元から逃げるようにして外へ出た。
空は―、すでに赤く染まっていた。
夕日はただひたすらに眩しかった。
ワタシは新宿の喧騒の中、歩く。
地下室での交渉は、最終的にお互いの妥協で終わったものだ、
これが最終的にあるべき決着なのだと思っていたのだが―。
眩しい西陽に身を任せると、それは幻想であり、
ただただワタシ一人が敗北したのだと実感させられた。
そう、ワタシの負けなのだ。
崩れ行く意識の中で思う―。
マスウラの薄笑い顔、占有者A子の泣き顔…。
それでは、ワタシの―。
追い出し屋Gの顔はどんな顔だろうか―。
――ワタシは崩れ落ちてしまいたかった。
…続く。
<おまけ日記>
最近、漫画読み始めたのですが、面白いですね、うん。
二十歳前後のときは漫画に関するホームページを
立ち上げていたくらいの漫画好きだったワケなんですが、
次第に熱が冷め、全く読まなくなってしまった―、
なんて経緯を経て、今、また漫画熱復活みたいな。
そんな感じです、はい。
それではWEB拍手のお返事。
最近、メッセージが減ってきたので、
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
2/27 0時
>言った。言わない。になると嫌ですよねー。
世の中、そーゆーことが多すぎですね。
水掛け論多すぎ、みたいな。
2/27 9時
>えらいこっちゃ、えらいこっちゃ。
よいよいよいよい。
2/27 13時
>毎日これだけを楽しみに出社しているんですから、
>間違っても更新しないような事はないようにお願いします。
更新する気になるようにさせて下さい。
2/28 0時
>Gさんだめだーって、志村うしろうしろみたい
「8時だよ、全員集合!」観てたなー。
公開録画行きたかった…。
2/28 15時
>GさんTV出ました?声だけ出演。昨日見ちゃいました。
出ました。
観ちゃいましたか。
ワタシはビデオ貰ったのですが、まだ観てないです。
2/28 18時
>札幌でGさん出演のノブナガ放映されました
名古屋だけじゃなかったんですねえ。
って、出演って程のものじゃないですよ。
2/28 18時
>ビデオにとったので保存しときます
そんな保存する程のものじゃないですよ。
速攻で、上書きしましょう。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.02.29 日曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百七話−
社長報告、そしてお約束の…の巻。
社長
「――で、そんな紙貰ってきてノコノコ戻ってきた訳だ」
占有者A子とマスウラとの交渉の終わったその足で、
ワタシは重い枷(かせ)を引き摺るようにして、会社へと戻った。
その交渉結果を報告するべく、社長室へと向かう。
言うまでもなく、最悪の気分であった―。
社長
「――確か、キミは言ってたよな。
相手側は誰だったか―、マスズシか」
今日の社長は幾分、機嫌が良いようだった。
社長
「――そのマスズシは、占有者に金で雇われたが故に、
大したことがない人間だと、そう言ってたよな」
当初は黙って報告を聞いていた社長ではあるが―。
社長
「――それがどうだ、マスズシの言い分にハイハイ言って」
ワタシが今日の結果報告を進めていくうちに、
段々と表情が険しくなっていき―。
社長
「――結局、マスズシの立退き料100万の提案を」
今までの経緯をたどたどしく報告するワタシを制し、
社長は怒りを押し殺す様に口火を切った。
社長
「――分かりました、って言ったんだよな。
敷金500万を請求しない代わりに100万の立退き料を呑む。
そんなことを分かりました、って言ったんだよな?」
腹立ちを抑えながら喋っていた社長ではあるが、
それを抑えれば抑える程、内なる世界で怒気は圧縮され―。
社長
「――そんな提案を呑んでどうするんだ?
敷金が500万?
大体、敷金だの、賃貸契約だの、何だのって―。
それは部屋を貸してるヤツと借りたヤツの問題で、
ウチとは全く関係ないことだろ。
それがウチの会社とどう関係があるんだ!?」
圧縮されたそれは、抑えに抑えた分、
爆発した時の勢いたるや、相当なものになるのであった。
社長
「――いいか、俺は結果を怒ってるんじゃないっ!!
交渉の過程に怒っているんだっ!!」
マホガニーの机を拳(こぶし)で叩き、怒りが大爆発した。
止まらぬ言葉の飛礫(つぶて)を容赦なく、ワタシにぶつけた。
その様はお約束のようだ、とワタシは他人事の如く、思った。
社長
「――オマエ、今回の交渉で一番ダメだった部分、
それはどこだか分かるか!?」
唐突なる怒りの社長の質問に、
ワタシは躊躇(ちゅうちょ)しながらも答えた。
そして―。
…続く。
<おまけ日記>
とりあえず、色々と考えながら文章を書くと、
時間が掛かって仕方がないですね。
それではWEB拍手のお返事。
最近、メッセージが減ってきたので、
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
2/28 22時
>知らずにTV見たのでGさんかなとドキドキしました。
>Gさんのマシンガントークに司会者が被弾してました。
ワタシは何喋ったのかよく覚えてないんですよね。
まあ、ワタシの喋りはクドイです。しかも早口です。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.01 月曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百八話−
交渉でワタシが一番ダメだった点は…の巻。
マスウラとの地下室での攻防の顛末(てんまつ)を社長へ報告。
だが、しかし―。
半ばお約束のように社長より怒声を浴びせ掛けられるワタシ。
社長の言う、今回の交渉でワタシが一番ダメだった点とは…。
社長
「――オマエ、今回の交渉で一番ダメだった部分、
それはどこだか分かるか!?」
怒りの形相の社長は、突如ワタシに質問した。
この場合、ワタシの選択肢としては、三つある。
ひとつは何でもいいから思いついたことを答える。
もうひとつは、「分かりません」と社長に教えを乞う。
そして最後が無言のままでいる、である。
その三つの選択肢からワタシはひとつを選ばなければならない。
しかもすぐに、である。
ワタシは脳みそが飛び散るくらいにフル回転で考えた。
まず選択肢から消えたのは、最後にある「無言のままでいる」だ。
相手の―しかもその相手が自分の会社の社長だ―質問に対して、
無言のままで許されるのは、責任の無い未成年だけだ。
一応、社会人であるワタシに答えないという選択肢はありえない。
それと同様に「分かりません」と教えを乞うのも、ダメだろう。
教えて貰えるのは学校だけだ。会社は学校ではない。
そう蹴られるのが落ちであろう。
考えるに上記の二つは怒られる可能性が非常に高い。
リスキーなこと、この上ない。
故にこれらの選択肢を採用することは出来ない。
残る選択肢はただひとつである。
ワタシは堂々とではなく、躊躇(ちゅうちょ)しながら答えた。
ワタシ
「……あ、あのう。
そ、それは毅然とした態度ではなく―。
あちらの言い分を、そのまま聞いたことでしょうか。
でも、ワタシもマスウラたちと話をまとめるのに、
彼らに対し、ある程度の妥協は必要だと思ったので…」
ワタシはそびえ立つ社長という巨壁を目前とし、
震える子羊のように答えた。
ああ、何だろう、この緊張感は―。
この体の震えの震源地は一体どこか―。
たどたどしい返答のワタシを見据え、
社長は自らの首を大きく横に振った。
社長
「――違う、違うっ!
オマエは何も分かっちゃいないな。
俺が言ってるのは、相手に対する言葉以前の問題だっ!
そこを俺がここまで怒っているんだっ!!
まだ分からないのか!?」
荒れ狂う嵐の前に、ワタシという船は転覆寸前だ。
いや、もうその渦に飲み込まれてしまった―。
ワタシ
「……す、すいません、分かりません」
ワタシは社会人として失格な言葉を吐いた。
本当に分からなかったから、
というのは言い訳にはならないだろうが…。
頭が真っ白になり、何も思い浮かばなかった。
社長
「――分からない!?
こんな簡単なことも分からないのかっ!?」
社長は歯止めが利かない暴走列車の如く、
ワタシに向かって言葉を突撃させる。
社長
「オマエのダメな点はな―。
いいか、まずオマエの交渉相手を考えろっ!
オマエは今回誰と交渉していたっ?
さあ、誰と交渉していたんだ?
それに答えてみろっ!?」
ワタシ
「……いえ、あの」
まごまごと答えを述べられないワタシに対し、
社長はワタシを追い込むように詰問した。
詰められているぞ―、追い出し屋G。
社長
「だから、オマエは誰と交渉してたんだ!?」
ワタシ
「……マスウラと交渉していました」
社長
「――何で、マスズシなんだっ!?
いいか、ウチが交渉するべき相手と言うのは、
実際に占有している人間であって、
その人間と話さなければ意味がないんだよっ!」
社長は下を向くワタシを一喝するように続けた。
社長
「その場には肝心要の占有者A子がいるってのに、
わざわざマスズシなんかと話を進めているんだ!?
俺はそれが問題だと言ってるんだっ!!」
止めなく言葉の雨あられを浴びせる社長と、それをもろに被り、
パンツの中までぐちょぐちょ状態の追い出し屋G。
果たして、社長の叱咤に耐えられるのか―?
…続く。
<おまけ日記>
♪シーマン シーマンシップ〜
なんじゃ、そりゃっ!
それではWEB拍手のお返事。
最近、メッセージが減ってきたので、
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
2/29 18時
>Gさんの社長さんて、どんな人?
社長は社長で、社長以外の何者でもないです。
ちなみに本当の社長はここで書かれている社長であるか、
それは神のみぞ知る、といった感じで。
3/1 0時
>年度末近いですね〜。売り上げやばいわ〜。いやあん!
とりあえず、売り上げをあげなくちゃならないのは、
万国共通の悩みですね。
3/1 20時
>がんばってぇん(はぁと)
あんまり頑張らないです。疲れるし。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.02 火曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百九話−
更に怒られるもっともな理由…の巻。
マスウラと占有者A子との退去交渉―。
それに臨んだワタシの一番ダメな点として社長が挙げたのは、
マスウラこそ交渉相手とばかりに、
占有者A子が目の前にいるのにも関わらず、
彼の方向しか見ず、彼と話を進めたことだ―。
社長は怒声を上げ、言う。
社長
「その場には肝心要の占有者A子がいるってのに、
わざわざマスズシなんかと話を進めているんだ!?
俺はそれが問題だと言ってるんだっ!!」
ワタシ
「……はい」
確かに社長の言う通り。
その通り―、返す言葉も無い。
交渉するのに、当人と話さずして外野とばかり話す。
せっかく相手がいるのに、周囲と話してどうするんだ。
それこそ愚の骨頂、極まりないとは正しくこのことだ。
社長
「それにな―。
オマエが全く何も分からないっていうのだったら、
俺もここまでは怒らない。
いや、怒ることは怒るがここまでは怒らない。
俺の言うことが分かるかっ!?」
ワタシ
「……」
更に怒られる理由―。
それは何だ、何なのだ。
それ以前にワタシはまだ怒られるのか―?
その通り―。
社長の激怒タイムはまだ続くのである。
社長
「……オマエの顔を見てると、俺の言っていることが、
いまいちよく分かっていないようだな。
いいか、オマエは今日、交渉に行く前に―、
いや、二週間前にマスズシと電話で会話した時、
その後の報告でも言ってたよな。
オマエがどう報告したか、覚えているか?」
ワタシ
「…・・・っ!」
ワタシは以前、社長に報告したことを思い出した。
それは―。
誰に言われるまでもなく、非常に簡単なことであった。
社長
「その顔を見ているとようやく思いついたようだな」
ワタシの表情を見た社長は眼光鋭く、斬り込んだ。
社長は本当に痛いところを突く。
一旦、喰らいついたら離れない、といったところか。
社長
「そうだ、オマエは俺にこう言ったよな―。
マスズシは弁護士でも何でもない。
代理人資格を持っていない、ただの金で雇われた人間だ。
だから、マスズシを相手にする必要はない。
別段、排除することもないが、だからといって、
交渉のメインとして扱うべき存在ではない。
それが交渉を続ける為の条件、だ―」
社長は一気に喋り通したので疲れたのか、
少しインターバルを置いた。
社長
「オマエはマスズシにそのように言ったと、
俺にそう報告をしたよな?」
ワタシに問い掛ける社長。
怒りはだいぶ収まったかのような口調ではあるが、
この問い掛けに無体な態度を取ったら、
また怒りが再沸騰することは容易に読み取れた。
それを回避するべく、ワタシは答えた。
ワタシ
「――は、はい、そうとも言えますね」
ワタシが答えるやいなや―。
社長
「はい、そうとも言える、だなんて他人事みたいに言うなっ!
要は、オマエは交渉の基本を分かっていたのにも関わらず、
いざ実践になったら、それが全く出来なかった。
頭から吹っ飛んでいた。
そんなのは交渉以前の問題だ。
俺はそこを怒っているんだっ!!
いいか、オマエがやっていることは交渉じゃない。
ただのメッセージボーイだっ!!」
――と大激怒。
ワタシに対し指を突きつけ、怒鳴った。
一時期は収まったかのように見えた火山活動は、
また再度活火山の様相を呈(てい)する、といったところだ。
ワタシ
「……」
結局、ワタシは怒られる運命にあるようだ。
だが、その怒られる理由というのがあまりにももっとも過ぎて、
ぐうの音も出ないワタシであった…。
…続く。
<おまけ日記>
やっぱ眠い。毎日眠い。
それではWEB拍手のお返事。
最近、メッセージが減ってきたので、
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
3/1 23時
>Gさんすてき〜!!
あんまり男子からそういう言葉を掛けられても、
嬉しくはないです、なんて。
あんまり素敵っぽい人間ではないですよ。
3/1 23時
>これは何年前の話ですか?
さあ、いつでしょうか。
さほど遠くない過去といったところでしょうか。
3/2 0時
>俺もマスズシでなくA子に直にネジ込まないのは?って感じてたな。。
彼女に直接ネジ込むことはあるのでしょうか。
ないのでしょうか。
3/2 10時
>この物語は平成何年ころのお話なんですか?
何年だろう。
上でも言ったとおり、さほど遠くない過去です。
3/2 10時
>なんかとっても疲れたんだ、パトラッシュ ちょっと眠るね。 ほい
ワタシもネロのように絵が上手くなりたいものです。
というか、ワタシも疲れたよ…。
3/2 13時
>Gさんとこの社長は、頼りがいがありますね〜
頼りがい、ですか。
どうなんでしょうか。
3/2 22時
>メルマガもありがとうね。いつもごくろうさん。
はい、どういたしまして。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.03 水曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百十話− 情けない男…の巻。
季節外れのタイフーンが本土を直撃した―。
そんな表現が的確な程、社長から叱咤を受けた。
報告を始めてから早半時。
ようやく社長から解放された時には、
ワタシはもう心身ともにボロボロであった。
自席に戻ると、ワタシは崩れ落ちるようにして椅子に座った。
そして、ひとつ溜め息をつく。
社長から言われたことは、その通りだ。
あまりにも正論過ぎて、言い返す言葉も無い。
そして社長の言葉に対し、ワタシはひたすらに―。
――そうひたすらに、情けなかった。
ワタシは自分という人間が情けなかった。
今だかつてこれ程まで情けなかったことはない。
もっとも、これまでも情けないことを色々と経験してきた。
例えば高校の入学式の日―。
ここが新しいクラスだ、これから高校生活を頑張るぞ!
と意気込んで着席したはいいものの、
それは二年生のクラスだった、とか。
しかもそれに気が付いたのは、先生が出席を取る際、
読み上げた名簿にワタシの名前が載ってなかったから、なんて理由。
例えば、アスファルトで舗装された平坦な道を歩いていた時、
特に石に躓(つまづ)いたわけでもないのに、派手にスッ転び、
自作自演的に大出血の大惨事を演出してみたり、とか―。
これらの情けなさは言うなれば「トホホ」系に属するものであって、
仕出かしたその時は恥ずかしかったり、洒落にならなかったりしても、
時が経てば他人に笑い話として話すことが出来る類(たぐい)のものだ。
然るに、これをネタにして、ほらほらオレってばワリとお茶目さん系?
なんぞとアピールできるような情けなさだ。
えっ、誰にアピールするかって。うーん、誰だろう。
キャバクラねーちゃんとかか、知らんけど。
話を元に戻す―。
だが今回の情けなさはどうだ。
今までのような「トホホ」系には分類されないだろう。
答えを知っているのにも関わらず、正解を解答用紙に書けなかった。
単に知っていることを書き写すだけでいいのに、それが出来なかった。
しかも遊びではなく、真面目な態度で臨んだ上でこのザマだ。
真剣な分だけ、余計性質が悪い。
情けないこと、この上ない。
ワタシはもうひとつ、溜め息をつく。
溜め息をつくけばつく程、ワタシは落ち込んでいき―、
真っ白な敗北感に苛まれるのであった。
…続く。
<おまけ日記>
こんな話をするのも何ですけど、
ワタシは今まで一度もキャバクラ行ったことないです。
いや、本当に本当。
というか、キャバクラ行く意味が分からない。
大体、何で金払って、ねーちゃんと話さないとならんのだ!?
しかも何でオマエが聞き手でこっちが話してなんだ!?
と思ってしまう派。
……なんぞというと「キャバクラこそ、男のロマンだ!
オマエには男の美学が分かっていない」と知り合いに言われたり。
どうでもいいけど、これを読んでる人の大多数はキャバクラ好きだ。
間違いない。
それではWEB拍手のお返事。
最近、メッセージが減ってきたので、
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
3/1 23時
>火星に水があったようですね。地球外生物いてそうですね
タコがいますよ、タコが。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.04 木曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百十一話− 追い出し屋G、復活!…の巻。
精神的泥沼に嵌(はま)っていく。
敗北感に苛(さいな)まれ、ますます深淵の泥濘(ぬかるみ)へ―。
芋虫に葉が食まれていくが如く、心裡が蝕(むしば)まれていく。
落ちていく、落ちていく。
どこまでも、どこまでも―。
――相も変わらず、落ちっぱなしでんな。
……この声は。
――毎度毎度、ご苦労なこって。
……オマエか。
そう、ワタシの頭に直接響くこの張りのないだらけた声。
オマエと称されたのは、ワタシの脳内住人である。
通称、「エセ関西弁のオッサン」。
ワタシの気分が沈んだときに現れる、ニューヒーロー、
……なんかではなく、ただのオッサンだ。
いんちき臭い関西弁を喋っており、
それだけだったらまだ無害なものの、具合が悪いことに、
その声を聞くだけで加齢臭が漂ってくる…。
――いつものことながら、あんまりな言い様でんなっ!
人間の心を持ってたら、そこまで言いまへんで、フツー。
少しムッとした声を上げるオッサンであったが、
それだけが唯一の取り得であるといわんばかりに、
またいつもの調子を取り戻したようだ。
ヤツは変にテンション高く話を続けた。
――まあ、ええがな、ええがな。
よぉもまあ落ちっぱなしで。
毎度毎度、疲れないんでっか?
ダンナはんはタフやなあ。
タフガイやね、ホンマ。
……こいつ褒めているのか?
いや、これは褒めているワケではないか。
そんなに落ちっぱなしで暗くなると、
こっちまで暗くなってしまうで。
そんだら、わても旦那はんのこと、
旦那はんやでなし、クラークって呼ばしてもらいまっさ。
くらーい旦那はんだけに、クラークやね。
どこがどう面白いのだか分からないが、
心底面白そうな笑い声が頭中に響き渡る。
オッサンの潰れた笑い声だ。
……っていうか、オマエ、何しに現れたんだ?
ワタシをからかいにでも来たのか?
――そんな、そんな。
わては旦那はんを応援しに来たんですわ。
まあ、人生山あり谷あり谷啓あり、
呑んで呑まれて涙流して、それが人生されど人生でっせっ。
……何が言いたいんだ、この男は。
――そう、それが人生されど人生。
やり直せない人生なんて、ない。
答えを知ってて、それが書けなかった?
それがどうした、だからどうした。
一度失敗して、だからどうした。
二度失敗して、だからどうした。
三度失敗して、うーん、それはその時考えよう。
……。
――怒られても蹴られても殴られても馬鹿にされても、
最後に笑えばいい。
最後に笑えなかったら、最後の最後に笑えばいい。
最後の最後に笑えなかったら―、
いいや、この場で笑ってしまえ。
……。
――旦那はん、別に頑張らなくてもええ。
だけれども、やる時はやるんやっ!
やるんやでえ!!
そう言い残すやいなや、
エセ関西弁のオッサンはワタシの脳裡から消えた。
……いつものことながら、言いっぱなしのヤツだ。
だけれども、オッサンの意味不明な言葉ではあるが、
それらは不思議とワタシの胸に残った。
そうだな、次を失敗しなけりゃいいんだ。
同じ轍(わだち)を踏むことがなければいいんだ。
そうだ、そうなんだ。
ワタシは今まで覆い被さっていた悪い気を払うべく、
椅子から立ち上がる。
さあ、こんなことくらいでグズグズしておれんぞ。
勝手に落胆していたワタシは、同じく勝手に立ち直りを見せた。
我ながら単純な単細胞人間である。
もっとも立ち直りが早いからこそ、
ワタシは今まで生きてこれたのであろう。
ワタシのような性質で立ち直るのに時間が掛かる、
もしくは立ち直れないなんていったら、
それこそ、今頃、あの世でランデブーだ。
兎にも角にも、復活したワタシは次なる行動を考えた。
そして―。
…続く。
<おまけ日記>
昨日、ちょっとキャバクラの話をしたら、
皆さんの食いつきがよかったみたいで。
んでも、どうでもいいですけど。
不動産屋と聞いて何をイメージするかっていったら、
「キャバクラ」っていう答えが多いみたいです。
でもワタシも不動産業界に片足突っ込んでる人間なんですけど、
一度も行ったことがない。あの、楽しいです?
全然関係ないけど、「キャバクラ」って、
キャバレークラブの略なんですかね?
それではWEB拍手のお返事。
最近、メッセージが減ってきたので、
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
3/4 9時
>キャバクラが「つぼ八」と同じ値段なら行ってもいいかな、
>って感じです。
それはそれで安っぽそうですね。
学生とかが一杯来て、うるさそうですね。
3/4 12時
>では、今度キャバクラ行きますか?>ぶっちゃ
キャバクラよりも、どうだろ。
他のところがいいですね(笑)
って、他ってどこだ?
3/4 14時
>G
GO!ってところでしょうか。
3/4 14時
>競売は売却価格好評するけど、
>国有財産の払い下げは同意が無いと好評しないのは何故ですか?
それは知らないですけど、
とりあえず底地権者が財務省だったりする戸建とかは、
おいしかったりしますね。
3/4 14時
>好評って・・公表ですた。
日本語って難しいですね。
3/4 18時
>いったことないけど行きたい場所ナンバーワンがビルカバンバで、
>ナンバー2がキャバクラ
ビルカバンバ?
ぐぐってみましたが、ペルーですか?
またマニアックなところが好きみたいですね。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.05 金曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百十二話−
運のいい合意書と運の悪い合意書…の巻。
――ワタシの目の前に、二枚の紙が置いてある。
その紙はどちらも「合意書」とタイトル付けられたもので、
言うまでもなく、薄暗い地下室でマスウラから受け取った紙面だ。
それには一部、ボールペンのペン先で突付かれた痕があった。
もちろん、その犯人はウチの社長であり、
ワタシに雷を落としている間ずっと、苛立ちを隠さず、
持っていたペンでその紙をトントンと突いていた故の痕である。
だが紙面にはその程度の傷はあるものの、
大方は受け取った時のまま、綺麗な状態であった。
前回の合意書は、社長の手に掛かり、
八つ裂きの刑に処されたことを考慮すると、
今回のそれはウチの社長を経由したにも関わらず、
まっさらな状態とは非常に運のいい紙である。
運のいい合意書―。
それをジッと見ていると、マスウラの顔が浮かんでくる。
ダミ声を放つ、憎憎しげな顔。
ワタシは二日酔いの胸のむかつきと同じ思いを抱くのであった。
マスウラ、マスウラ…。
マスウラは何と言ったか―。
「これを持って会社に上げてみてちょうだいよ」
もっとも、この合意書を会社に上げてみてくれと言っても、
ただ話題として上げてくれということではない。
要するに占有者A子の要求を通してくれ、という意味だ。
彼女の要求とは、立ち退き料100万を支払え!
しかもすぐに、今すぐに―。
それが合意の条件だ。
――立ち退き料100万、か。
あの時―、交渉の時、ワタシはそれを支払ってもいいと思っていた。
敷金500万を要求されるくらいなら、
そちらの方が面倒ではない、そう思っていた。
一方、ワタシは怒りの社長に言われた言葉を思い出す。
「オマエは払わなんで済む金まで払うのか!?」
ワタシはそう言われたのだ―。
確かに、その通りだ。
敷金500万円だの、立ち退き料100万だの、
金額の多寡はどうであれ、支払うことはない―。
それが社長の言い分であり、会社の主張だ。
心は決まった―。
ワタシは二枚の合意書を丁寧に折り畳む。
何度も何度も端と端をきっちり折り合わせて畳んでいく。
ふとワタシは思う。
紙と紙を何回も折り畳んでいくと、月まで届くんだよな。
それでもしつこく折っていくと、
月どころか宇宙の果てまでいけるんだよな。
宇宙か、宇宙の果てってどうなってるんだろう…。
そんな雑学的なことを思いながらワタシは紙を折り畳み、
――それを一気に引き千切る。
何度も何度も親の敵に対する如く引き千切り、
幾つもの断片と化したそれをゴミ箱へと投げ入れた。
こんなものなど、いらない。
結局、それは運の悪い合意書だったようだ…。
…続く。
<おまけ日記>
今日は疲れた。眠い。
それではWEB拍手のお返事。
メッセージは増えてきました。
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
3/5 0時
>人生は失う物を増やして行くゲームですね。うん。
時間を失う代わりに、無駄なものを積み上げていく。
それが人生だと思っております。
3/5 2時
>キャバクラに2回行くくらいなら
>お風呂に1回行って泡踊りをしてもらいた。
>長いこと逝ってないなー。
本格派ですね。
3/5 9時
>ニューヒーローキタ━━━━(。A。)━(゜∀゜)━
>(。A。)━(゜∀゜)━(。A。)━━━━!!!!
ただのオッサンちゃうで。
わてこそ、ニューヒーローでっせ!
3/5 14時
>LOVE OIDASHIYA G
そんなラブリーなものではないですよ。
3/5 15時
>Gさんってマメないい人ですね。ポッ
ワタシはマメでもないし、いい人でもないですよ。
3/5 16時
>キャバクラは若いおねぇチャンが一杯いるから
>キャンパスクラブの略やで。
それだと、キャパクラになりませんか?
キャパクラ、キャパクラ。
3/5 17時
>前回「おっさんもういいよ。」と書いた者ですが、
>久しぶりのご登場なんだか懐かしいです。
そうやろ、そうやろ。
やっとわてのよさを認識したっちゅうわけでんな。
わては旦那はんだけでなし、皆はんの心の中におるんやで。
3/5 21時
>実物のGさんも、Webから想像できそうな人ですか?
どーゆーイメージを持ってるのか、分かりません。
多分、違ってるんじゃないですかね。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.06 土曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百十三話−
心機一転!状況をまとめろ!…の巻。
ここで、心機一転―。
ワタシは気持ちも新たに次なるステップを模索した。
次の段階を考える前に、
今一度目的をはっきりさせなければならない。
ワタシは今までの状況と経緯を整理した。
――目的はなんだ?
ウチの会社が落札したマンション。
そこ住む占有者の立ち退きを完了させること。
――占有者とは誰だ?
占有者A子とその家族。占有者A子はまだ二十代半ば。
占有者A子の母親。
そして占有者A子の子供―、赤ん坊。
占有者A子に夫はいるのか―、不明。
――今までの経緯は?
まずは占有者A子に面談を申しこむべく、何度かアタックしたが、
それに対するリアクションは占有者A子本人からではなく、
マスウラなる人物が交渉の代理人として現れた。
数度に及ぶ電話並びに面談にての彼単独との交渉を経た後、
彼の事務所にて占有者A子との面談に漕ぎつくことが出来た。
それは、ようやくのことだった。
――相手方の要求は?
当初は賃料6万円を始めとした賃貸借契約の存続、
次に敷金500万円の返還を主張した後、
立ち退き料100万円の支払い請求。
――要求の正当性は?
占有者側は正当な賃借権に基づく正当な要求だ、
そう主張しているが、裁判官の一応の見解としては、
「占有者の占有権原は使用借権である」と認定している。
すなわち、普通に考えて何の権利もなく、
ただもしくはそれに近い形で不動産を借りているということ。
そこには正当性も減った暮れもない。
――相手方の主張に対するこちらの姿勢は?
基本的には要求拒否。
なお、占有者A子がいた直接交渉においては、
マスウラの手中に容易に嵌(はま)り、
個人的には立ち退き料100万で、
手打ちの方向性を見出してしまった。
しかしながら、金銭的要求に対し、会社はこれを断固拒否。
ついでに死ぬ程怒られた追い出し屋G。
――交渉における反省点は?
ひとえにマスウラを中心に交渉をしていたこと。
あくまでもマスウラは無権限の代理人であり、
実際に占有を行っている当事者である、
占有者A子に向けて行わなければいけなかった。
ワタシはその部分が分かっていたくせに、
いざ占有者A子を目の前にしたとき、それが出来なかった。
――次なるステップとしては?
……。
ワタシはゴミ箱に投げ捨てられた紙くずを見る。
占有者A子とマスウラはこの合意書を基にして、
立ち退き料100万を手に入れられるものと思っているのだろう。
だが、しかし―。
100万円を手中にするためのタスキとも言える合意書は、
今やビリビリに破かれ、哀れパズルの断片と化している。
それが彼らに対する答えだ―。
ワタシは強い気持ちを持った。
――熱かった。
そう、熱いぞ、このヤロウっ!
…続く。
<おまけ日記>
風邪ひきました。死にそう。
それではWEB拍手のお返事。
メッセージは増えてきました。
……と思ったらまた減った?
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
3/6 1時
>ガハハ!脳内住人・・僕も30年以上飼ってます、結構うざい!
>札幌のキャバは別格ですぞ〜byKKKKK
どこがどう別格なのですか?
3/6 15時
>追い出し屋GはLvがあがった♪♪♪HPが10増加した。
>攻撃力が1増加した。
レベルアップしたんだ。
今、レベルいくつなんだろう。
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.07 日曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百十四話−
新たなる戦いが今、始まる…の巻。
ゴミ箱へ捨てられた合意書の残骸―。
ワタシがまずやらなければならないことは、
毅然とした態度で占有者側からの提案を断ることだ。
100万の立ち退き料?
ほよよ、なに、それ? 立ち退き料ってつおい?
……って、
アラレちゃんネタかよっ!
それはもう、きっぱりとした態度で臨まなければならない。
当店暴力団関係者、入店お断り。
入れ墨の方のご入浴、お断りの如くだ!
確かにワタシは占有者A子とマスウラの前で、
立ち退き料100万について「分かりました」と同意の意を表した。
これは間違いない事実である。
断りを入れたとき、相手はここを突いてくるだろうことは、
容易に想像できる。
例えばこんな感じだ。
マスウラ
「ええっ、追い出し屋Gさん!?
あんた、分かりましたって言ったばかりじゃないかっ!
それを払えないだなんて、一体どういう了見してるんだ!?」
ダミ声を張り上げた彼の声が頭に響く…。
マスウラ
「約束は約束でしょ?
約束を守らないとして人間としてどうなんだ!?
人としてやっていいことと悪いことが分からないのか?」
彼ら―、特にマスウラは猛攻に言葉を繰り出してくるだろうが、
それには耐えなければならないだろう。
恐らく、今までの傾向から見て、
人間としての資質を問うような発言をしてくるだろう。
これはワタシがこの商売をやっていけるかどうか、
そのための試金石であるとも言える。
あの時のワタシは個人としてその申し出に納得したが、
それはそれ、これはこれ。
会社がウンと言わないものを、どうすればいいんだって感じ。
無理な話はやっぱり無理だとしか答えられない。
だから、他の道を模索しましょう。
そういう話の展開を相手側に仕掛けなければ―。
むしろ、こういうのはどうだろう。
イマドキの若者にありがちな、逆ギレ作戦。
何言われても、しらねーよ、しょーがねえじゃねーかよっ!
……と怒りながら言い切る。
カルシウムが足りないことこの上ないが、
これは最後の手段として取って置こう。
ママぁ、これリザーブするから、ラベル付けておいてー。
いずれにせよ、占有者A子に相対する際には
再びマスウラも絡んでくる。
それにどのようにして対するか―。
ワタシが競売業界で生き残れるか否かを賭した、
新たなる戦いが今、始まろうとしていた―。
…続く。
<おまけ日記>
休みの度に風邪ひいてます。
誰か看病しておくれ。
……とはいえ、これ読んでるのは男ばっかりだと思われ。
看病はいいや。
そんなことを思う、日曜日のひととき。
それではWEB拍手のお返事。
メッセージは増えてきました。
……と思ったらまた減った?
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それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.08 月曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百十五話−
新たなる展開への布石…の巻。
新たなる展開への布石として、真っ先にワタシは受話器を取った。
誰であろう、マスウラに電話をするためである。
ここで懸命なる読者の皆さんは、恐らく、こう思うだろう。
おいおい、追い出し屋Gさん。
オマエさん、今さっき部外者であるマスウラではなく、
当事者の占有者A子に直接交渉を行うと言ったじゃないか。
しかもマスウラにばかり交渉を持ち掛けていたことで、
会社の社長さんから、えらく怒られたことを、もう忘れたのか。
オマエさん、忘れっぽいにも程があるぞ。
――はいはい、確かにワタシは忘れっぽいことこの上ないし、
回転寿司で隣の席に座っていたオッサンのお茶を、
飲み干してしまう程の間違い屋であることもご存知の通りだ。
だが、ここで闇雲に占有者A子に電話を掛け――。
アンタのいう条件はやっぱ飲めないし、
でもさ、マンションからとっとと出て行ってっ!!
――だなんて、心の奥底からの本心を言ってしまったら、
それこそ交渉の余地など無く、事態は最悪の結果を招くだろう。
この辺りのさじ加減というのは非常に微妙で、
乙女の純真のようにデリケートなものだ。
って、どうでもいいけど、この例えってばオッサン臭いな。
まあ、いいか。
いずれにせよ、今、ここで占有者A子を電話で詰めることは、
得策ではないとワタシは考えた。
やはりクロージングを行うのなら、実際に会って、
面と向かって行わなければ……。
男だったら、ここで一発、マンツーマンディフェンスだ!
それでは実際に彼女と再度会うにはどうしたらいいのか。
彼女に直接電話して、
アナタと二人だけで会いたいんですけど……。
そうストレートに言ってみようかとも考えた。
だけれども、ヘンに勘違いされたら困る。
ワタシは別に若い身空で一児のパパ希望ではないし、
更に勘違いされて、こいつストーカーかよ、とか思われても嫌だ。
まあ、何にせよワタシから直接電話を受けたら、彼女は警戒する。
それだったら、マスウラだろうが何だろうが、
使えるものは使っておけ。
今はエコロジーの時代だし、再利用だ、リサイクルだ。
とりあえず、マスウラを出しにして、
もう一度占有者A子と会う段取りをつけよう――。
それが足りない脳みそを振り絞り、考えに考え、
脳内コンピューター(MSX並み)がアウトプットした答えである。
ワタシは受話器を取った。
マスウラと占有者A子――、
そしてワタシの間で行われた交渉が終わってから、
まだ二時間も経っていない。
マスウラはまだ事務所にいるだろう。
……覚悟を決めてはいるが、やはり受話器を持つと、
心なしかその手が震える。
心を落ち着かせようとする。
そうだ――。
ワタシはゴミ箱を見た。
合意書の断片。
そうだ、後戻り出来ないんだ――。
ワタシは勢いよく、プッシュボタンを押すのであった。
……続く。
<おまけ日記>
風邪トーク。
風邪薬を服用した後、酒呑むとワリとヤバイです。
……というか、メルマガの感想があれー、ないー、みたいな。
つーか、メルマガでは今あるケーバイの本には書かれてない、
立ち退き交渉のザ・実務というモノを見せようかなと思ったけど。
うーむ、これは何かの機会に取っておいた方がいいのかな。
……なんて思う今日この頃。
それではWEB拍手のお返事。
メッセージは増えてきました。
更なる書き込みお願いしますですよ。
もちろんWEB拍手より、掲示板、メールの方が重要度高し。
3/7 10時
>風邪だそうで大変ですね!!私もひいてます。
風邪は大変。死にそう。会社行くのも大変。
3/7 14時
>風邪、大丈夫ですか?早く治してくださいね(*/。\*)。
二回もありがとうさんです。早く治るようお祈りして下さい。
3/7 18時
>男以外の性別な人間も見ています。面白いよ。
是非、女子高生とかにも読んでもらいたいです(笑)
3/7 23時
>風邪には、やっぱりリンゴ、ショリショリ。
>嫁で良ければリースバック方式で。。
奥さんはいいです。大事にしてあげてください。
3/8 1時
>おいらも風邪引いたよ。
>鼻水が止まりません。(´・ω・`)ショボーン
そうそう、鼻水とかがウザイです。
花粉症も合わせ技で一本なのかなー、と。
3/8 9時
>僕でよければ、看病しましょか?クピポ
ガッチャン、分裂しますよね。
3/8 12時
>正念場ですね!
正念場ですが、ここからも長いことになりそうな予感。
気の短い人は読まない方がいいかも、みたいな。
3/8 17時
>FORZA Gさん
おー、って何語ですか?
それではこれからも宜しくお願いします。
2004.03.09 火曜日
対決!追い出し屋G 対 元アイドル!
−第百十六話−
大き過ぎるインパクト、再び…の巻。
ワタシはマスウラと話すべく、彼の会社に電話を掛けた。
プッシュボタンの電子的な音が社内に響く――。
ボタンが軽快な音を立てる度に、
しかしながらワタシの心は警戒でいっぱいになる。
……こんなところで上手いことを言ってどうするんだろう。
自分で自分に座布団一枚。
いやーん、一人笑点ごっこ。
だ、ダメだ。
こんなおちゃらけたことを思っていてどうするよ、自分。
緊迫した雰囲気を作り出さなければ。
呼び出し音が10秒は流れたであろうか。
たかだか10秒、されど10秒である。
呼び出し音を聞いていた実際上は僅かの時間であったが、
体感的には永遠のそれだった。
だが、物事には終わりというものがあることを示すように、
受話器が上げられ、永遠の時は最期を迎えるのであった……。
「はぁい」
電話の先の主は一言「はぁい」という言葉を出したきりだ。
しかもその声といったら、
かったるそうな上にミジンコ程のやる気も見えない。
それは見事なまでのやる気メーターゼロな声音である。
紛いなりにも、会社は会社だろう?
どこの世界に会社の電話対応で、
そんな間の抜けた声で応対する会社があるのだ!?
それに、せっかくだ――。
ワタシが無理をして難しい文章で書いているのにも関わらず、
相手に間の抜けた声で出られるとは。
しかも自分の中の緊張感を高めに高め、
緊迫したムードを醸し出したというのに……。
「はぁい、って言ってんのよー。」
ワタシのどうでもいい憤りを無視するように、
やる気のない声を出す相手だ。
「だーれーよー」
……あ、もしや。
ワタシは電話する先を間違えたのではないか。
その可能性は大だ。
ワタシは緊張していたし、勢いよくプッシュボタンを押しすぎて、
勢い余って5を押すところを6にしてしまった、
だなんてことはアリがちだし……。
ワタシは渇いた口を開け、ようやく言葉を発することが出来た。
ワタシ
「あ、あの、すいません。
そちらは、R&Rさんですか?」
「R&R」とはマスウラが専務をしている会社である。
とはいえ、多くても四、五人程度の会社であろうが……。
「はぁい、そうよー」
返答に少し間が開いたので、やはり間違え電話だと思い、
思わず喉の寸でまで「すいません」の言葉が出掛かった。
けれども、電話の主は、ワタシが電話を掛けたここが、
マスウラの会社であることを肯定している。
と、言うことはこの声の主は――。
「アンタはだぁれー?」
彼から問い掛けられたワタシは答えた。
ワタシ
「すいません。
ワタシ先程、お会いした追い出し屋Gです。
あの、ルリカワさんですよね――?」
――男は答えた。
達磨オヤジ
「そうよー。覚えててくれたの。うれしいわぁ」
達磨オヤジのことを、ワタシは覚えていたくはなかった。