2005.06.04 土曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百一話−
それはね……アンタの妄想なのよ!…の巻。
A子
「さっきから子供を出せ、子供を出せ、
なんて云ってるけど……。
アンタの子供なんて、
そんなモノ、いないわよ!」
A子は、そうはっきりと断言した。
風船男の子供は、いない――?
彼の語った事実が彼女によって、
すべて否定され、引っ繰り返されたことに、
ワタシは、椅子から引っ繰り返りそうになった。
風船男は、彼女の衝撃的な発言に、
ただただ言葉を失っていた。
A子
「そんなん、いるわけないじゃない!
ありえない!!
アンタがどこをどう勘違いしたのか分からないけど、
キモイこと云いやがって!」
彼女は、首が飛び去っていくのではないか、
と思われる程、ブンブンと振り、ダメ押しする。
A子
「昔のことだけど、単純に、
アンタとそーゆー関係に、なっちゃったことがあって。
ああっ……!!
思い出しただけで気持ち悪い。
すげえ気持ちわりぃのっ!」
A子は――「気持ち悪い、気持ち悪い」と続け、
足をジタバタさせた。
足を踏み込む度に、床の埃が舞い上がった。
前所有者Y
「で、でも、ボクの子供は、いる……」
風船男は、苦しそうに反論したのだったが、
しかし、彼女は彼の否定の言すら、粉々に砕いた。
A子
「……何、この男。
まあ、いいわ。
ひとつ訊きたいんだけど、
アンタ、子供、子供云ってるけど、
じゃあ、子供の名前は何て云うの?
前所有者Y
「……あ、あ」
A子
「じゃあ、その子は男なの、
それとも女なの?」
前所有者Y
「……」
A子に言葉をぶつけられた風船男は、
アワアワと声にもならない言葉を呟くばかりである。
彼女は「それみたことか」と云った。
A子
「あのね、そうやって、子供の名前が分からないし。
それどころか、その子が男か女か、
それすら分からない。
それがどう云うことか、分かる?
アンタ、分かる?」
「その顔じゃ、分からないみたいようね?」とA子は、
風船男とワタシを交互に見渡した。
露骨に意地悪な顔を振り撒いている。
A子
「教えてあげるわ。
それはね……アンタの妄想なのよ!
分かる?
モーソーよ、モーソー!
子供に取り憑かれたって云う、
気持ちの悪いモーソーなのよ!!」
A子は、一際大きく足を鳴らした。
妄想癖にまとわりつかれたと断言された風船男は、
反論することすら、叶わなかった……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
スーツが雨にぬれると、臭いがついてしまうので、
ファブリーズが欠かせないですね。
6/3 0時
まともに読んでるシトももういないと思う
でも、わざわざコメントくれるんですね(笑)
6/3 0時
眠い
眠いのは夜だからですね。
寝た方がいいですね。
6/3 7時
読まなきゃいいだろ、ボケっ!!余計なこというな!!
まあまあ、まったりいきましょうや。
6/3 23時
更新チェックが毎日の日課になりました。
昨日は更新出来ませんでした。
すいません。
6/3 23時
明日も仕事〜。サッカーみるけど・・Gさんみました?
見てたんですけど、
途中で寝ちゃいました(笑)
とりあえず、勝ってよかったですねー。
2005.06.05 日曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百二話−
その子の父親は誰なのだ?…の巻。
彼の子供など、いない。
子供の存在を決定的に否定された。
それは妄想だ――。
最終的に、A子と前所有者Yとの間に、
子供がいるのかいないのか――。
風船男は、子供の名前も性別すらも、
答えることが出来なかった。
第三者の視点から客観的に判断して、
風船男の方が分が悪いと云えるだろう。
風船男には悪いが、彼と彼女の間に、
子供など、いないのだ。
ワタシは、そうはっきりと断定した。
正確に云えば、A子に子供が存在しない、
と云う訳ではない。
父親が誰かは分からないが、
A子に赤ん坊がいることは、間違いないところだ。
その子はノゾミに押し付けられていた。
では、その赤ん坊が風船男の子かと云えば、
それは違うだろう。
A子と前所有者Yはここ数年来、会っていない。
だから、劇的なまでの彼女の容貌の変化を見て、
風船男は、あそこまで驚きとどまったのだ。
それ故、その赤ん坊の親になることは、
物理的に無理である。
それでは、その子の父親は誰なのだ――?
ふと、マスウラと視線があった。
ワタシの中に、もわもわとした想像が、
次第に形を成していく。
――まさか、この男が、
その赤ん坊の父親なのでは?
束の間、ワタシと視線が絡んだマスウラは、
またもや、その虚ろな目を下に向けた。
A子と隷属関係を結んでいるような、マスウラ。
実際、親子程の歳は離れているが、
それでも、愛の形と云うのは、
他人がとやかく口を出すべきものではなく――。
しかしながら、仮にそうであるととしたら、
自らの元でしっかりとした育児をすべきなのに……。
子供には罪がない。
しかし、子供を育てると云う、子宝を得た者にとって、
至極当然の義務を果たさぬA子とその父親に、
ワタシは改めて、並々ならぬ義憤を感じたのであった。
ワタシが子供について、
その父親について新たな模索をしている時――。
現実として、想いを寄せていたA子には夢破れ、
次に心の拠りどころにした自分の子供はいないと、
問答無用に一刀両断された、風船男。
彼の顔は蒼ざめていた。
口を微かに動かしていたが、
声に出すことは出来なかった。
A子
「この妄想男が……」
A子は身震いするようにして、
大根みたいに太い腕をさすった。
風船男を心底毛嫌いしているのだろう。
眼差しは、憎しみの泉から生まれ出でる、
刺々しい光を見せていた。
その光に、ノゾミもマスウラも、
呑み込まれていた。
風船男は、うわ言みたいに「子供、子供……」
と小声で云っているだった。
かくして、ワタシはと云えば……。
ワタシ
「あのお……」
ワタシは凍りついた地下室の氷を溶かすべく、
火種を点けたのであった。
A子の暴力性をまざまざ見せ付けられた後に、
彼女に話し掛けるのは、非常に臆するものがある。
だが……このまま、手を拱(こまね)いていては、
事態は悪い方へ悪い方へとしか向かっていかない。
状況を変えるには――。
変えると云うより、話の筋道を元に戻す為には、
誰あろうワタシが軌道修正を行うしかないだろう。
A子は、禍々しい光をワタシに向けた。
一瞬、立ちくらみみたいな衝動を感じたが、
それには負けられない。
負けてはならないのだ……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
最近、コカコーラにもレモン投入ですね。
んでも、最近のコーラは、
前と比べて、そんな旨く感じなくなったのは、
舌の嗜好が変わったからですかね?
6/4 20時
毎回更新楽しみにしてます!
変なあらしがいるけど気にしないで!
ありがとうございますです。
気にしてはいませんので、大丈夫です。
これからもよろしくです。
2005.06.06 月曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百三話−
無限ループに陥っている…の巻。
ワタシは、ひとつ咳払いをし、
ともすれば怖気づきそうになる自分の気持ちを抑えた。
A子に云う。
ワタシ
「あー、えーと……。
まあ、その、子供がどうだとか、
そう云ったことはまた別の話でして……」
子供の話は――。
確かにワタシ個人的にも気になるところではあるが、
でもそれは、極々プライベートなものであり、
枝葉末節な話だ。
占有者退去に関する本題とは、
あまりにも掛け離れている。
だがワタシの発言にA子は、納得行かないのだろう。
彼女は即座に反論した。
A子
「あのねえ。
子供がどうだとか、そう云った話題を振ったのは、
アタシじゃないでしょ?
このデブぅが云った訳よ?
分かる?
アンタの仲間のデブぅな、妄想男の発言よっ!!」
A子は声高々に威圧的であった。
もうすでにA子の頭の中では、
風船男はワタシの仲間として、
分類別けされているみたいだ。
どのジャンルに分類されているか――。
もちろん、彼女にとっての”敵”認定である。
ワタシ
「ええ、まあ、それはそうなんでしょうけど。
まあ、話を元に戻しますね。
それで……」
ワタシは無理矢理、会話の流れの方向転換をさせた。
この調子では、いつまで経っても終わらない。
ワタシ
「退去に関してですけれども……。
で、結局、どうするおつもりですか?」
投げ掛けられた質問に、A子は苛々しげに、
手をグーにして太鼓を叩くみたいな要領で、
テーブルをドンドンと叩いた。
モノに当たる彼女のそれは、まさに、
悪魔の響きであった。
A子
「どうするもこうするもないでしょ!?
アンタ、ホントにバカだねぇ!!
何回云わせりゃ、気が済むの!?
解決の方法としてはただ一つって、
何度も云ってるじゃないの?」
ワタシ
「その解決法って……」
ワタシは机の上に散在しているチケットの一枚を取った。
ワタシ
「……これ、ですか?」
A子
「そうよ、それよ!
アンタの求めているものが解決する上に、
芸術にも貢献することが出来て、
なおかつ、儲けられる……これ以上の策が、
誰がどう提案出来るって云うの!?」
ワタシ
「そう云われましても……。
大体、100万円ですか?
それを買い求める意味も義務もない、
と云うのがこちらとしての見解でして……」
A子
「だーかーらー!!
それ以外は、受け付けられないわよ!!
無理、絶対無理!
それこそ、このデブぅの妄想男連れて帰って、
出直してきなさいって感じ!!」
ワタシ
「出直すもなにも……。
そんな無理な条件突き付けられて、
はい、分かりました、だなんて云う人がいますか?
どこにいますか?」
A子
「どこにいるとか、いないとか。
そう云った問題じゃないでしょ?
アタシはここにいるの、住んでるの!
住んでる人には、居住権があるの!
居住権ってのは、住んでる人の権利だから、
その権利を放棄して貰う為には……」
……そちらが幾ら譲歩するかってことでしょ!?
彼女のつんざく絶叫が、地下室に轟(とどろ)いた。
ワタシ
「それを条件にされるのだったら……」
条件を飲め、いや飲めないで、
話は無限ループしている……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
蒸し暑い季節になりました。
エアコンは消費電力が少ないヤツに、
買い換えたいものです。
6/5 21時
不動産業者です。多いですよね、バツ1子連れママ。
こういう人にまた管理会社の審査が冷たいんだわ
ってか、単純に面倒臭いと云うところがあるのでしょうね。
んでも、なかには親身にやってくれる業者さんもあって、
そう云う業者さんと出会えるか出会えないかは、
ホント、それは運の要素が強いですよね。
2005.06.07 火曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百四話−
アタシに野垂れ死ねって云ってるの!?…の巻。
ワタシ
「……そんなこと云ってたら、
話は、そこで終わってしまうじゃないですか」
同じ発言の繰り返し、だ。
出ろ――と云ったら、金をくれなきゃ出ない。
金は出さない――と云ったら、それじゃあ出られない。
出ろ、出ないの繰り返し。
そんなループに新たな要素が付加されたと思ったら、
ただで金をくれと云ってるのではない、
チケットを買ってくれ、だのと、これはビジネスだ、と。
まさか立ち退き交渉と云うものを行うにあたって、
何かモノ――しかも、実体としてどこをどう転んでも、
商品としては不適格な代物――を買えと迫られるとは、
予想もしなかった。
云うなれば、幼児がお母さんにあげる肩叩き券と
同等な金銭的価値のないモノで、
金をせびられているようなものだったが、
肩叩き券の方が心がこもってる分、
まだ、お金で買えない価値がある、と云ったところだ。
それに、アイドルの頃のA子だったらいざしらず、
今のバルーンな体型かつワガママで暴力的な、
A子の復活ライブのチケットなど、
誰が所望するだろうか。
――かつて彼女の一番のファンであった、
風船男ですら、ソッポを向いていると云うのに。
ワタシ
「居住権って云ったって、
そんなの、到底認められないんですよ?」
A子
「認められないって、
それはアンタが勝手にそう云い張ってるんでしょ!?」
ワタシ
「いえ、ワタシが勝手に云っている訳ではありませんよ。
それは、もうご存知のことかと思いますが、
ウチにあのマンションの所有権が移った段階で、
アナタはあちらにおいて、賃借権だの居住権だの、
そう云った権利を主張することは出来ないんですよ。
これは、ワタシがアナタに押し付けている意見ではなく、
公の、裁判所の見解です」
ワタシは”裁判所の見解”の部分を強調した。
物件明細書には「占有者の占有権原は使用借権とある」
と記述されている。
占有者がどう主張していようが、
実態としてタダで借りてるのだから、
賃借権ですら、ありえない。
故に、買受人が占有者の云う条件を飲む必要はない。
そうだ――正義はこちらにある。
それは明らかなる事実なのだ。
だが、そんな事実の存在など、お構い無しに、
バルーン女は息巻いて反論する。
A子
「……裁判所ったって、
アタシの権利を無視して、そんでもって、
邪魔することは出来ないの!!」
……コイツは、日本に居ながらにして治外法権か?
ワタシ
「権利を無視すると云うよりも、
その権利自体が認められないってことですから。
現実的に――」
彼女はワタシの話を遮る。
A子
「でもさ、アンタが所有権が移ったどうこうって、
そこまで云うんだったら、権利書見せてよ?」
ワタシ
「いえ、まだ権利書はありませんよ。
ただ前所有者のYさんからは、すでに、
当方に所有権移転を移転したと、
その旨の合意を貰っています。
……そうですよね?」
ワタシは、うな垂れる風船男に同意を求めた。
風船男は、虚ろな目で、「ああ」とだけ云った。
第三者の視点に立たずとも、
彼は存分に心身虚脱の状況であり、
所有権譲渡云々について、
果たして実体が伴うか否かは、
疑問が残るところであるが……。
まあ、細かい問題ところは、抜きにしよう。
ワタシは彼女に云い切った。
ワタシ
「ほら、この通りです。
所有権は、当方に移ったと前所有者のYさんも、
こう云っておられる。
だから、所有権はもうすでに、
ウチの会社のものであり、
アナタが居座る権利は何ひとつ――」
A子
「ああ?
何云っちゃってるの!?
そんなの無効に決まってるじゃない!!
権利書持ってないんでしょ?
だったら、そっちの権利なんて、ないじゃない!
あるのは、アタシの権利だけよっ!!」
ワタシ
「いえ、ですから……」
ワタシが彼女に論理を投げ付けようとした矢先――。
彼女は一際大きな声を出して一喝した。
脅迫以外の何者で
A子
「じゃあ、何?
アンタは、アタシにさぁ、死ねって云ってるの!?」
興奮したA子は、見境無しに足を踏み鳴らし、
テーブルをドンドン叩きまくっている。
A子
「アンタは、アタシに野垂れ死ねって云ってるの!?」
……この女得意の極論だ。
極端過ぎる。
バルーン女A子は、わあわあと、
アタシに死ねと云ってるのか、なんて口にしている。
そんな彼女を前にして、ワタシは、
論理的に、A子を詰めることは出来ないと悟った。
キリキリと差し込むような頭痛を覚えた。
もう、これで手詰まり。
次の一手はどこに打てばいいのだ?
ああ……どうすれば……。
その時だった。
今まで沈黙を続けていた彼が……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
ウチワが割と大活躍。
6/6 15時
うおお〜〜ますますぐちゃぐちゃの展開!いい感じです!
暑くなってきましたが、お仕事に更新頑張って!
かなり更新は気合入れてやってますわなー、
と自画自賛。
お仕事も割と頑張ってますです。
6/6 23時
居住権キタ━(゜∀゜)━!!
権利を思いっきり主張する人ってのは、
義務を履行してないケースが往々にして多いですね。
2005.06.08 水曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百五話−
これは、デジャブか――?…の巻。
彼が――。
マスウラが、口を開いた。
彼は、今まで俯(うつむ)いていて、
そのまま固まっていたせいか、
前を向くのにも、横に首を振るのも、
僅かばかり動かすのが、やっとと云った態である。
マスウラ
「……なあ、A子。
あのさぁ、もうさぁ……」
彼女の方向へと放つ、沈黙を破ったその声は、
やはり彼特有のダミ声であった。
マスウラ
「……オレ、もう、段々と、疲れて来たよ」
マスウラは、伏し目がちにA子に語り掛ける。
重低音のトーンとは似合わない、
ボソボソとした語り口である。
しかも、今までとは打って変わった、
弱気な話振りだ。
弱気過ぎる程に弱気であった。
マスウラ
「なあ、どうだろ……」
……何だ、この光景。
続くシチュエーションを間近にしながら、
ワタシは思った。
こんな状況を、前にも見たような気がする……。
それは……そうだ。
高圧的に要求をし続けて来た人間が、
突如として弱気な発言をするまでに陥る。
そんな光景を、二度三度見てきた想いがした。
これは、デジャブか――?
いや、これは……。
振り返って思うに、
今まで強気な意気込みをぶつけて来た人間――。
彼らは、確かに居た。
風船男にせよ、ノゾミにせよ、
そして今回のマスウラにせよ――だ。
では、何故、彼女は心変わりをしたのか。
……それは。
最後の最後には、無を感じたのかも知れない。
その無とは、自らが望み求める行為――
端的に云えば、金の要求だ――に対する、
意味の無さの認知だ。
まさにそれは――。
夢から覚めた現実に帰ったと云うところか。
また、ワタシは思う。
リアルに戻ったマスウラは、
憑き物が取れたようなものではないのか、と。
マスウラ
「もう、無理なんじゃないか。
これ以上やったって……」
いきなりの弱々しげなマスウラの話に、
A子はピシャリと云い放った。
A子
「……何なの、アンタ?
いきなり、訳の分からないこと云って!
アンタは……そうだ。
アタシのタバコにでも火を点けなさいよ!!」
そう断言した彼女は、タバコを一本取り出し、
口にくわえる。
そして、マスウラに向かって、
口にしたタバコを唇をすぼめたりさせて、
タバコを上下に動かした。
早いところ、これに火を点けろ、
と云った彼女ならではのジェスチャーなのだろう。
マスウラ
「……いや、もう、意味がないと。
そう、オレは思うわけだが……」
だが、マスウラは、先程のように、
彼女の命令に対し、機敏に行動することはなかった……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
早いところ、素麺の旨い季節になって貰いたいものです。
6/8 15時
「裁判所」伝家の宝刀キタ━(゜∀゜)━!!
伝家の宝刀で、すべて斬れれば、
それはそれで楽なんですけどねー。
2005.06.09 木曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百六話−
利益を相反する者の共通点…の巻。
A子は、片方の頬を引きつらせていた。
頬は傍目に気付く程、
大袈裟なまでにひくひくと引きつり、
彼女の怒りの様を、あからさまに表現していた。
そして彼女は――。
火の点いていないタバコをくわえたままだった。
どうしてか、口から離そうとはしなかった。
その顔色から察するに、A子は、
恐らく、こう思ってるのではないか――。
頭の中で、A子のイメージが、
彼女の声や仕草を真似して、
ワタシに太い人差し指を突き付ける。
妄想男デブぅに引き続き、
従者男のオッサンまでもが……。
アタシの……他の誰でもない、
このアタシの命令に背くの?
アタシの支配する範疇から、逸脱するの?
アンタらは、アタシの命令することを、
そのまま受け入れればいいのよ!
奴隷みたいに、黙って、奉仕しなさいよ!
怒りはもちろんのこと、その目には、
A子なりの落胆や驚きの色が混ざっている。
一度ならず二度までも、飼い犬に手を噛まれた、
彼女にとっては、まさしく、そのような心境なのだろう。
頬の痙攣(けいれん)は絶えることなく、続いていた。
A子
「……ううう」
A子は言葉では云い表せない、
微かになびく、ビブラートのような息を吐き出していた。
彼女の顔や背中の辺りから発散されている、
灰色のオーラからして、
怒りとか不愉快さに塗れていることは確かだろう。
もっとも、不快さ加減で云えば、
その場にいるワタシも、
かなりのレベルだと主張出来ようが、
しかし、A子は自分以外の他人のことなど、
一顧だにすることなく、
ただひたすらに自らの怒りの増殖に努めていた。
彼女は、依然としてタバコを上下に動かしていた。
A子の怒りを膨張させることとなったマスウラは、
盛んに咳払いをしつつ、タイミングを見計らって、
次に何を云おうか、口にしようかと、
考えているようだった。
ワタシ
「……まあ、マスウラさんも、
何だかお疲れみたいですし……。
特段、ワタシはワタシで、
マスウラの援護射撃をしてるつもりもないし、
またマスウラはマスウラで、
ワタシを助ける義理も義務もない。
ワタシと彼は、最初から最後まで、
お互い利益が相反する者同士であり、
互いに利益を享受する関係にはならないだろう。
しかし、ここでひとつ共通点があるとしたら、
”A子の突拍子のない言動に振り回され、
心身ともに疲れ果ててしまった”
と云う点に尽きよう。
苛立ちからだろう。
タバコの上下運動は加速度を増していた。
ワタシ
「いずれにせよ、お互いの意見と云うのは、
出尽くしたようです……」
……そうだ、ワタシとしても、もう、
何をどうしていいのか――。
彼女をどう諭していいのか――。
全くもって、分からない。
分からなかった。
だからこそ、マスウラが彼女に対し、
反旗を翻すが如く、この交渉を続けていくのは、
「もう、意味が無い」と云い伝えたのは、
結果として、A子の怒りを加速促進させることとなったが、
しかし同時に、ワタシがそろそろこの話に、
ピリオドを打つ為の起点になるのではなかろうか。
存分に話は尽くした。
あとは、結論を出すだけだ。
ワタシは、そう確信したのだ。
ワタシ
「もう、この辺りで話の決着を……」
A子が動いたのは、その時だった。
彼女は、ワタシに向かって……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
東京では、明日辺りから梅雨に入るようです。
雨の季節ですねー。
6/9 9時
マスウラとA子が愛人関係?!
彼と彼女はどんな関係なのでしょうか?
6/9 10時
デブで眼鏡の上司を、密かに風船男と呼んでます。
風船男は、ちょっとかわいそうですねー(笑)
2005.06.11 土曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百七話−
アンタらみたいなバカどもには…の巻。
彼女は、ワタシに向かい――。
吹き矢の原理で、
くわえたタバコをプッと吹き飛ばしたのだった。
ワタシ
「……!」
彼女の口から吹き出されたタバコは、
どこぞの教師が、
居眠り生徒に投げつけるチョークのように、
弧を描きながら飛ぶ。
だが、ワタシの顔面に当たる前に、
壁になっていた元所有者Yのわき腹に当たった。
風船男は、無反応であった。
ワタシ
「え……あ……」
火が点いていないから、
まだ大事に至らなかったものの、
これが点火されていたら、
そして顔に当たっていたら、どうなったことやら……。
幸いにして――風船男にとっては、
不幸にしてであるが――ワタシには命中しなかった。
ワタシは、彼女の行為に驚き、
その現実を受け入れるに従って、
心の奥底から、腹立たしさが湧き上がって来た。
今までの少なからず彼女の暴力性に感じていた、
恐怖を払拭する程の怒りだ。
後先を全く考えていない彼女の行動は、
決して、バルーン女の気の迷いだなんて、
笑って済まされるべきことではない。
彼女には、問題がある。
致命的なまでに問題があり過ぎる――。
ワタシ
「あ、あ、あ……」
問題はタバコに火が点いている、いない、
ワタシに当たった、当たらない、
と云った細かい点ではない。
もっと大きな問題がここには所在している。
その重大なる問題点とは、
A子は、ワタシ――身内ではない、
交渉相手に対してまで、
暴力的行為の矛先を向けた、
と云う大きな事象に尽きるのだ。
ワタシは第三者であり、
他人であるから、身内の間で、
どのような人間関係が構築されているか、
それについては、当人同士が納得し、
本人同士が良ければ、
他人がとやかく口出しする必要はない――と思う。
例えば、それが姉妹の関係において、
主従が逆になっていたり、
親子程、齢が離れていた愛人関係であったとしても、
本人らがそれを良しとするのならば、
問題はないであろう。
もっとも、果たして、ノゾミがA子の扱いに対して、
納得したり、それを良かれと思っているかは、
分からない。
しかし、ひとつだけ云えることは、
ワタシはそれを納得したりとか、
良かれと思ったりしたりしていないと云うことだ。
風船男に命中したタバコは、
ブーメランみたいに、A子の方向へ跳ね返り、
サンダルのように後ろを踏み潰し、
べこべこになった、
彼女のスニーカーの傍に落ちた。
A子は、それを象みたいな足で、
思い切り踏みにじる。
A子
「……アンタらみたいなバカどもには、
こうしてやりたいわよ」
かくして、彼女が飛ばしたタバコは、
本来の目的である、燃え尽き、灰になる前に、
その短い人生を終えたのだった……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
土日は、なんだかんだで、
雨は降らないで貰いたいものです。
6/10 12時
次回のお話は?「A子、泣き脅しをする」
泣き脅しするのでしょうか?
2005.06.12 日曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百八話−
これは、子供の喧嘩だ…の巻。
既に粉になっているタバコを、
それでも執拗に踏みにじっていた。
A子はしっかりとワタシの方を見ながら、
言葉を発する。
A子
「こうして、こうして、こうやって……。
ああ、こうやって……。
粉々にしてやりたい!!」
A子が「粉々にしてやりたい!」
と云った途端、傍らに居たノゾミは、
「ひぃ」と小さく呻いた。
もしかしたら、ノゾミはA子が以前、
同じ台詞を口にしながら、
大なり小なりその程度は分からないが、
暴力的行為を働いたことを思い出したのかも知れない。
ノゾミは小さく震えていた。
A子
「芸術も、常識も分からない――。
アンタを、こうやって、踏み倒してやりたい!!」
彼女の声に混在しているモノは、
憎悪以外の何モノでもない。
彼女は、彼女の理由――常人には理解出来ぬ、
常軌を逸した勘違いや逆恨みであったとしても――
によって、苛立ちを増しているのであろう。
ワタシ
「……あ、な、な、何をぉ?」
対するワタシの方も、苛々(いらいら)の度合いは、
天井知らずに上がっている。
マンションからの退去を交渉材料にした、
チケットの強引な押し売りや、
タバコを吹き矢のように飛ばして来た行為。
そして何より、未だマンションを占有している事実。
それら事実の列挙だけでも、
相当の精神的圧迫がワタシにのしかかるのに、
A子側の云い分は更なる負担を掛けるのだ。
その理由としても、こちらには正当な理由がある。
だから、悪くない。
悪いのはアンタの方だ。
悪くない人間を退去させるのだから、
金を出すのが筋だろ、
と云う論法を恥ずかしげもなく、主張している。
そのような、A子の悪気なく被害者然として、
悪意に満ち満ちた言動に、
苛立ちの波が襲い狂うのも、無理がなかろう。
A子
「はあ?
何よ、じゃないわよ、何よ、じゃ!」
彼女にせよ、ワタシにせよ、
怒りのインフレーションは留まることなく進み、
今や、”怒りのバブル”に突入していると云えた。
そしてまた、ここにもひとり、
”怒りバブル”期に突入していた人間がいた。
……前所有者Yである。
彼は、いきなり立ち上がると、
バルーンのようなA子を見下ろし、云った。
前所有者Y
「……お、お、おい!!」
風船男の背中から、
ヒュウヒュウと白い湯気が出ていた。
水蒸気として離散する程、
怒りの熱を放散している。
前所有者Y
「あ、あ、あ、当たったぞ。
た、タバコが、当たったぞ」
A子が投げたタバコが風船男に当たってから、
大分、間が空いていたが、
当人は、ようやく気が付いたのかも知れない。
テンポ遅いっての。
A子
「うるさいわね!
タバコが当たったからって、
いちいち文句云うんじゃないわよ!
このデブゥ!!」
前所有者Y
「な、な、何だと、このヤロウ!!」
風船男に対し、A子も立ち上がった。
ふたつの風船と風船が競り合っているように見えた。
事態は一触即発の状況である。
A子
「このヤロウとは何よ!
野郎じゃないわよ、アタシは!
ちゃんと見て云いなさいよ!」
前所有者Y
「ぼ、ぼ、ボクは、ちゃんと、
そっちを見て云っている」
A子
「じゃあ、何?
アタシが男だっての?
野郎だって云うの?」
前所有者Y
「そ、そ、そうだ!
オマエなんか、野郎だ!
男以下だ!!」
彼女が云えば、彼が云い返す。
彼が云えば、彼女が云い返す。
このシチュエーションは、まさしく子供の喧嘩である。
何とも見苦しく、恥ずかしい行為なのだ。
……風船男が前面に出てこなければ、
ワタシもこのような喧嘩をA子と繰り広げていたかも。
そう熱くなっている自分を諭すと、
次第にではあるが、
体全体を支配していた、
怒りの熱は徐々に冷めていくのであった……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
自社でオープンハウスをやっております。
梅雨入りしていて、東京の空模様は、
雨と云われていたのですが、
いざフタを開けてみると、すっきりとした青空ですね。
2005.06.13 月曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百九話−
幼稚園レベルの、男と女の修羅場…の巻。
――男と女が云い争っている。
男と女の修羅場と云えば、
大方では、浮気や男女関係のもつれであったり、
金勘定が絡むことであったりする訳であり――。
A子と前所有者Yのケースも、
云い争いを始めたきっかけは、
そんなテイストを多分に含んでいたのであるが……。
A子
「うるさい、このデブぅ!」
前所有者Y
「う、う、う、うるさいっ!
うるさいぞ、このブスっ!!」
A子
「ブスとはなによ、この引きこもりデブぅ!!」
ワタシ
「……」
密閉された地下室では、
どちらも、もうそろそろいい大人なはずなのに、
子供みたいな云い争いが展開されていた。
いや、「デブ」と云われたら「ブス」と返す。
「ブス」と云われたら「デブ」と返す。
罵倒の言葉の陳腐さと、
バリエーションの無さが目立つ。
今時の小学生だって、もうちょっとは気の利いた、
口喧嘩をするだろう。
彼らの云い争いレベルは、
「おならプー」で大爆笑が取れる幼稚園児段階か。
A子
「この能無しの、短足の、デブ男!!」
前所有者Y
「う、う、う、うるさい!
能無しの、ついでに人でなしは、そっちだろ!」
A子
「人でなしで結構!
でも、アンタみたいに子供がいるだなんて、
勝手なモーソーしているキモイ男よりかは、
全然マシよ!」
前所有者Y
「あ、あ、あ、あ……。
も、も、妄想?
も、妄想って云うよりも、
そっちが、ぼ、ぼ、ボクに云ったんじゃないか。
出来ちゃった、って……」
A子
「はぁ?
そんなこと云ってないわよ!
だから、モーソー男はキモイのよ!」
かくも見苦しい口の争いは、止む事無く続いていた。
ワタシは、改めて思った。
こんな馬鹿げたことを、自分も演じようとしたのだ。
怒りの衝動に任せて言葉を発することが、
如何にバカらしく、恥ずかしいことなのか――。
反面教師にするには、十分過ぎる程の、
超低レベルな云い争いであった。
ワタシ
「……」
それにしても、だ。
A子は、当初から風船男に、
愛の一滴たりとも分け与えてはいなかっただろうが、
風船男のA子に対する変貌振りには、
目を見張るものがある。
自らの大いなる愛を捧げていた――自分の所有する、
都心一等地のマンションをタダで貸してしまう位だ――
その愛の貢ぎ先へ「うるさい」だの「ブス」だのと、
吠えている。
前所有者Y
「だ、だ、大体、大体、だ。
もう、も、もう、ぼ、ボクが好きだったA子はいない!
どこにもいない!
あ、あそこから出て行け!
A子じゃない、オマエは、
あのマンションから出て行け!!」
A子
「はあ?
アンタ、何云っちゃってるの?
もう、アンタんちじゃないんでしょ?
あそこは、アンタ、所有権を放棄したの、
どーのとか、云ってたじゃないの!!」
前所有者Y
「あ、それは、だから……」
A子
「アンタは云ってたの!
所有権はボクのものじゃないって!!」
前所有者Y
「う、う、うるさい……」
どうやら、形勢はA子が優勢であり、
彼女に軍配が上がったようだ。
所有権がどこにあるのか――。
すでに所有権がない人間が、
あのマンションから出て行く、出て行かないに、
口出しするな、と。
彼女は、このような趣旨のことを云っている。
だとしたら……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
毎日、梅雨の話題ですが、
梅雨っぽくないですね。
いきなり初夏っぽい装いと云うか、
暑いです。
蒸し暑いっての!!
2005.06.14 火曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十話−
あくまでも冷静に、論理的に…の巻。
ここで重要な要素となるのは――。
A子は風船男に対して、
「所有者じゃない人間が、出て行けなんて、偉そうにするな」
と云う趣旨の主張をしたことである。
では、逆を返せば、マンションの所有者であるのならば、
「出て行け」と云う抗弁が成り立つと云うことか……。
所有者Y
「ああ、ええ、い……」
所有者Yは、線香花火の最後の輝きみたいに、
一度目を大きく見開くと、
一気に力が抜けたのか、
しぼんだ風船よろしく、
へなへなと椅子に座り込んでしまった。
彼女に挑んで行く気力は、
もう失せてしまったようだった。
A子
「……この程度で、黙るんだったら、
最初からガタガタ云うなよ!」
風船を見下ろす形になった、
彼女は雄たけびを上げる。
自分に敵う者は、ここにはいない、
とばかりの勝利の声だ。
風船男は、廃人のように、黙りこくっている。
A子は、フンと鼻息を出し、
重力の原理を存分に生かすようにして、ドカッと座った。
またもや重りに支配されることとなった、
パイプ椅子は苦しそうな声を上げるのだった。
ワタシは、風船男が沈黙するに至った、
一連の光景を横目にしつつ、思考を続ける。
――それで、だ。
今、マンションの所有者は誰なのか?
その答えは、ワタシ自身が一番よく知っている。
それは――ウチの会社だ。
所有者は、会社であり、ワタシがそこの社員である。
だから、ワタシは間を空けることなく、云ったのだった。
さあ、こちらからの攻撃は、怒りに任せてではない。
感情に通用するかどうかは、分からないが、
こちらまで同じ次元の低い土俵に立つ必要はないのだ。
あくまでも、冷静に。
論理的に……。
ワタシ
「まあまあ、そう云った争いと云うか、
いざこざは、どうでも云いことなので……」
A子
「はあ?
何、偉そうなこと云っちゃってるのよ、アンタ!!」
A子は、諌めの言葉に耳を傾けようとせず、
見境なく、吠えまくる。
……徹底的なまでの絨毯爆撃で、
風船男を撃沈沈黙させた。
次なるターゲットは、オマエだ!!
彼女は、剥き出しの敵意を晒すように、
ワタシを睨み付けていた。
ワタシ
「まあ、元気がいいってのは、
いいことなんでしょうがね。
まあ、そう云った口論は、
本題とは掛け離れた結果になりますから」
A子
「だから、そう云ったモノの言い方ってのが、
偉そうだし、アレなんよ。
腹立たしいんよ!!」
バンと両手が真っ赤になるくらい机を叩き、
A子は立ち上がった。
そして、ターゲット認定されたであろう、
ワタシの方へとにじり寄ってきたのだ。
ワタシ
「腹立たしい、って云われましても、ね」
彼女は近づきながらも、
わあわあと戯言を述べている。
彼女に云った。
……A子は、怒りに任せた行動を取る。
でも、だから、どうした?
と思い込むことにする。
ここでワタシも熱くなってしまっては、
結局、行き着く先に何があるか。
そんなもの――。
押し合い、へし合い、お互い唾を飛ばし合い、
幼稚園レベルの罵倒合戦を演じると云うオチしかない。
ワタシは、ワタシで、論理を組み立て、
出来上がったモノを、相手の目の前に突き付ける。
ただそれだけなのだ。
その信念の元、ワタシは云った……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
最近、ちょっと運動すると、次の日の朝、
かなりの筋肉痛になってます。
柔軟な体になりたいものですね。
6/13 21時
Gさん、ようやく出番ですね。キャインキャインゆわしたれ
キャインキャイン云わせられますかね?(笑)
6/14 0時
不動産屋AKIRAです コメント有難うございました
いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。
6/14 7時
大作になりそうですね、頑張って下さい。
かれこれ、二年近くやってますので、
時間だけは大作並みにかけてますね(笑)
内容に関しては、全く保証出来ないですが……。
2005.06.16 木曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十一話−
振り向かずともそこにA子がいる…の巻。
ワタシ
「……それで、A子さん」
A子は、もう、ワタシの真横に居た。
振り向かずともそこにA子がいる。
ワタシを見下ろす形である。
間近で見る彼女は、大きい壁みたいだった。
コンクリートのように冷たい視線が注がれ、
ワタシは全身で重苦しいそれを受けていた。
だが、彼女の圧迫に負けてはいけない。
ワタシは、云った。
ワタシ
「先程の話なんですけど……」
A子
「……何よ?
何なのよ?」
彼女の発する言葉にも敵意が表れていた。
基本的にこちらの云い分に対し、
聞く耳など持ってはいないが、
一応、繋がりで聞き返している――と云うよりも、
聞き返してやっている、と云った感じか。
ワタシ
「さっきなんですが、A子さんは、
前所有者Yさんにこう云いましたよね?
所有者じゃない人間が、退去に関して、
とやかく云うなって」
A子
「はあ?」
A子は不服そうな声を上げたが、
しかし、これは彼女の発言の旨なので、
別に不服を申し上げられる云われはないだろう。
彼女の声を無視して、続ける。
ワタシ
「前所有者Yさんは、所有権を移してしまったから。
実質的に、あのマンションの所有権はないから。
だから、アナタのその云い分に黙ってしまった。
云い返すことが出来なかったのです」
――もっとも、前所有者Yがウチの会社に、
所有権を譲渡したと云う話は、口約束である。
口約束での契約は、有効であったとしても、
でも、仮に「所有権はまだこっちのものだ」
だなんて風船男が主張を翻したら、
さてさて、どうなることやら。
ワタシの方には、
所有権が移ったと云う証拠がないのだから、
彼の云う、その通りにならざるを得ないのだが……。
前所有者Y
「……」
萎みきった風船は、無言であった。
――しかし、A子に対して、
所有権が自分に存在すると反論しなかったことで、
彼は現段階において、
所有権が自分にないことを認めていた。
口約束も約束は約束。
それだけは全うしている。
風船男は、律儀な男だ――。
ワタシはしみじみ思った。
だからと云って、彼がすべての約束を守る男だ、
嘘をつかない男だとまでは思わない。
実際、彼には何度も大きな嘘をつかれた。
ワタシ
「それで、所有者なんですけど。
誰だか、分かりますよね?」
A子
「……で、だから?」
彼女は、顔を震わせながら、
顎を突き出し、促す。
実際には彼女からしてみれば、
この話の先を聞きたい気など全くないのであろうが、
言葉面や話の流れ上、話の続きを促しているのだろう。
いずれにせよ、話さなければならない。
ワタシは続きを述べた。
ワタシ
「先程から、云ってたと思いますが。
所有者は誰か――。
その答えは、知っての通り、ウチです。
ウチの会社です」
A子
「……」
ワタシ
「アナタは、前所有者Yさんに云いましたよね?
所有者じゃない人間が、立ち退きどうこう云うな、って。
だったら、逆を返せば、こう云えませんかね?
――所有者であったら、立ち退きについて、
云う権利がある、って」
A子
「……」
A子の顔は先程よりも大きなブレを見せていた。
ブルブルブルブルと肉を震わせていた。
その間、ワタシに対し、
何も述べることがないA子であったが、
しかし、その無言も束の間の出来事で……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
忙しいですね。
忙しいのはいいことだ、と思っておきます。
6/16 2時
おもろい!続き(更新)はまだでっか?
四百十一話はまだですか〜
ガッツりいっちゃってください!
結末が早く知りたくてなかなか寝れません
結末はあと、もうすぐ、そこ!
……多分ですが。
2005.06.17 金曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十二話−
合言葉は「ふーん」…の巻。
A子
「だから、何なの?
所有権が……だから、どうしたのさ?」
A子は顔をワタシの方にぐいと近づける。
接近すると、彼女の体に振り撒かれているのだろう、
きつい香水の臭いが鼻を襲った。
鼻腔に絡みつくようなその臭いの中に、
果実の腐った甘さがあった。
恐らく、彼女の香水は、単体では甘い匂い――
花とフルーツが芳しき、ベビードール系か――
だったろうが、しかし、
幾ら甘く、可愛らしい匂いと云っても、
地下室のこもった空気と、
彼女自身と周り男どもの体臭、そして、
タバコの紫煙がグタグタに混ざり合うと、
化学反応してしまう。
その結果、合成されたのは、
酸っぱいような、煤(すす)けたような、不快臭だ。
元が甘い漂いなだけ、
すえた汚臭は性質(たち)が悪い、
と云ったところだ。
その腐った空気を吸い込んでしまい、
ワタシは思わず、咳き込みそうになった。
ワタシ
「だから、何、じゃないですよ。
アナタが云ってたこと、自分で主張したことを、
よーく思い出して下さいよ。
いえ、別に思い返す程のことでもないじゃないですか。
今さっき、自分で云ったことですしね」
A子
「……自分で云ったことって、何よ?」
ワタシ
「所有者以外には、云われたくないってことですよ。
立ち退きについて、ですが。
まあ、この辺りは何回も云っているので、
繰り返し繰り返しになりますが。
……まあ、ここで重要なことを、
もう一度だけ強調させて頂くと、要するに、
ワタシどもが所有者だ、と云うことです」
――自分で思う。
我ながら、回りくどい云い方だ。
やはり、まだ云いたいを上手く伝えられない。
いまいち、舌が回らない。
ああ、交渉を続けていれば、いつの日か、
自分の思ったことを、
相手に伝えることが出来るのだろうか……。
頭の片隅に一粒大の疑念を残しつつ、
ワタシは彼女に尋ねた。
ワタシ
「……この論理、分かりますよね?」
ワタシの言葉を受け、喚き騒ぐ代わりに、
彼女は一言、「ふーん」と語尾を延ばしに延ばした。
そして、近くにあった、誰も座っていないパイプ椅子を
キーキーと耳障りな音を立てながら、
傍らまで引き摺ると、それにドカッと腰掛けた。
彼女は立っているのも疲れた――と云うことか。
足を組み――もちろん、まともに組むことが出来ない。
太ももを太ももにただ乗せている感じだ――、
顎をさすりながら、云った。
A子
「うん……で、だから、何?」
――彼女は徹底的にシラを切るつもりのようだった。
こちらが云いたいことは、十二分に理解しているはずだ。
でも、あくまでも、”だから、何?
アンタには関係ないでしょ?”
と云ったスタンスを気取られる。
”冷静に、論理的に”をモットーにして、
話を進めようとしているのに……。
ワタシが、少々、気色ばんでしまったのも、
無理はないだろう。
ワタシ
「だから、何、じゃなくて。
所有者が何の権原もなく占有している、
そんな状況から退去に関しての話をしましょう、
と云う訳ですよ。
それは分かってるでしょ?
A子さんだって、十分に分かってるでしょ?」
A子
「ふーん」
再度、語尾を異様に延ばした「ふーん」だ。
これまでは何かにつけて、ヒステリックに叫んでいたが、
彼女はワタシに処する作戦の変更でもしたのか。
ワタシ
「いや、ふーん、じゃなくて」
A子
「ふーん」
ワタシ
「いや、だから……」
A子
「ふーん」
「ふーん」「ふーん」「ふーん」……。
って、こればっかりかよっ!
何かの合言葉かよっ!
合言葉は「ふーん」かっ!?
流石に、ここまで、しらばっくれられると、
語尾延ばし「ふーん」ばかり面と向かって云われると、
冷静さなんて、どこへやら、行ってしまう。
少し鼻息が荒くなってしまう――。
ワタシは、強めに色をつけて、云った。
ワタシ
「……そんな態度を取っているのなら、
もう話し合いとかそう云った場を抜きにして、
所有者として、アナタに云います」
――早く、一刻も早く、
アナタ、出てって下さいよ!!
<おまけ日記>
今日のひとこと。
土日は、からからに晴れまくるでもなく、
かと云って、雨にぬれるのでもなく、
中庸な曇りがいいですね。
最近、そんな気分です。
6/17 15時
土日の更新に期待!
毎週ジャンプを楽しみにしている子供の頃の感覚です(笑)
土日は更新できたら、しますねー。
あー、ジャンプって最近、全く読んでないです。
2005.06.18 土曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十三話−
場の雰囲気に不感症な女…の巻。
いいから、もう、出て行ってくれ――。
A子へそのように強弁したワタシ。
怒りがほとばしった故の行為であるが、
だが……と、ワタシは思った。
彼女に対する接し方としては、
冷静に論理的に……と云うよりも、
こう云った形で主義主張することも必要ではないか、と。
グタグタになった脳味噌で考える。
ここでの交渉はもうすでに、
一時間以上経過している。
ワタシだけではないかもしれないが、
大分、疲労の色が濃くなってきた。
最早、時間的猶予も余裕もないのだ。
それに、今までが、お願い形式であり過ぎた。
立ち退き交渉と云っても、
彼女は何もあのマンションを占有するにあたって、
何も権原がない人間である。
しかも、今回の話し合いの場に至っては、
元々の貸し借りの当事者であり、
彼女の最大にして唯一のファンであった
前所有者Yとも揉め、彼に出て行けとも云われている。
そんな状況下において、
彼女は、何故、ここまで強気の立場にいられるのだ?
普通の神経をしていたら、
当初はそんな立場に立っていたとしても、
話し合いの時間が経てば経つ程、
自信の基盤がグラグラと揺れ動くものではないか?
しかし、彼女は、かくも平気な態度で、
常に強気を維持し、
しかも、弱気の部分を見せるそぶりすらしない。
常に「アタシが無条件に退去しないのは当然!」
と云った体で、 交渉の場に挑んでいる。
A子は、場の雰囲気に不感症な女なのだろう。
もっとも、こんな彼女だからこそ――。
交渉の場に自分の姉を替え玉に立てる位、
お手の物だと云うことか――。
妙に納得してしまったワタシであったが……。
彼女は、真っ赤に染まった顔を震わせ、返答した 。
A子
「嫌だ」
ワタシ
「……はい?」
思わず、訊き返した。
A子は、何を云ってるんだろう。
こちらを否定するにしても、もっと言葉があるだろう。
適切な云い回しを選べよ!
彼女は心の中でひとりごちた。
でも、ワタシの心のツッコミも虚しく、
彼女の答えは同じだった。
――「嫌だ」
ワタシ
「嫌だって、云われましても……。
もう、存分にお話は尽きたと思いませんか。
この辺りで、終わりにしませんか?」
A子
「話を終わりにするのはいいけど、
アタシは、出て行かないよ!」
A子から「ふーん」が消え去ったのは、
彼女なりのブームが過ぎ去ったからか。
彼女の中では死語になったのかも知れない。
しかし、 今度はまるで駄々っ子のように、
「退去して下さい」の申し出に対して、
「いやだ」と返答する。
何ともはや、面倒臭い女だ。
ワタシ
「嫌だって、云われても……」
その通りだろう。
「嫌だ、嫌だ」と云われて、「はい、分かりました」
だなんて、云える訳がない。
出て行って貰わなければ……。
ワタシ
「大体にして、元の所有者からタダで借りてて、
そして、今、出て行けと云われてる訳ですよ。
それで、全くアナタの人生と縁もゆかりも、
袖振り合うこともなかったウチの会社が、
ここの新しいオーナーになったってことじゃないですか。
で、それで、退去して下さい、って云っている。
そんな強いことを云ってられるような、
立場じゃあないじゃないですか。
普通の神経だったら、ここで、何かひとつ位、
申し訳ないとか、思いますよ、絶対。
そう云った風に思いませんかね?」
ワタシは 思いつくままに彼女にぶつけた。
語る言葉こそ、無骨であったり、
洗練されてなかったりするが、
しかし、これには、
そこそこの真実の叫びが込められていよう。
だけれども、彼女の答えは……。
A子
「思わない」
ワタシ
「……」
何だか、殴ってやりたくなった……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
昨日、東京で開札が行われました。
2005.06.19 日曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十四話−
思わない、思わない、思わない…の巻。
「ふーん」と云っていたのが、今度は「思わない」と来たものだ。
A子は、一体どんな了見をしているのだろう。
どこをどうひっくり返せば、そんなことを云えるのだろうか。
ワタシ
「思わない、じゃないですよ」
A子
「思わないものは、思わないし」
ワタシ
「思わないものは、思わない、とか、
そんなこと云わないで下さいよ !」
A子
「思わないものは、思わないし、思わないの!!」
思わない、思わない、思わない……。
思わないって、何じゃ、そりゃっ!!
思えよ、思え!
そんなこと、普通に思えよ!!
人間として、人として、常識として、思えよ!!
ああ、頭の中が”思わない”で埋め尽くされている。
物事について思うことで、
頭の中が一杯になる、なんてことは多々あるだろうが、
この時のワタシみたいに、
”思わない”と云う行為自体に対して、
思い思うことをしているなんて。
頭が一杯になっているなんて――。
そんな人間、どこを探したって、
なかなかいないだろう。
……そんなこと、少しの自慢にもならないが。
ワタシ
「そんな云い方。
今時、小学生でも云わないですよ!! 」
本当に――A子の発言や考え方は、
小学生レベルに達していない。
A子
「アタシが云ってるから、いいの!
それでいいの!! 」
やはり、かなりの低レベル廃棄物みたいな答えだ。
そして、更に低レベル廃棄物的な発言に続く。
A子
「大体、アンタ、何でそんなにアタシに突っかかってくるの?
あ、分かった、アンタ―― 」
A子は、更に顔を近付けた。
彼女の不貞不貞しい顔が目を、強烈な悪臭が鼻を襲う。
思わず、ワタシは仰け反った。
A子
「――アタシのこと、好きなんじゃないの?」
……。
あ、はい?
どこをどう理解すれば、
どんなプロセスを経れば、
そんな極論に至ることが出来るのですか?
しかも、この意味不明な発言は、
さっきもあったような……。
ワタシは、頭が痛くなった。
その程度たるや――。
頭が、頭痛で、痛くなる、と云ったところだった……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
毎度のことですが、眠いです。
6/19 0時
エー感じ!エー感じ
早よ次行こ行こ〜!(読者の為に寝んと更新してや!)
眠いときは寝ます。
6/19 0時
いよいよクライマックスですね!
永かったですね〜それともまだまだ引っ張りますか!?
気分次第と云うか、
指が文字をどこまで打ち込むか次第ですね。
2005.06.20 月曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十五話−
ジ・エンド…の巻。
ほら、男の子だったら、こんなことした経験がない?
小学生の頃、気になる女の子のしてる、
三つ編みおさげを引っ張ってみたりとか。
国語の教科書に掲載されている、
夏目漱石とか石川啄木とかそう云った偉人の顔写真の額に、
フェルトペンで”肉”とか書いたりとか。
ま、大抵、教科書の写真ってのは小さいから、ペンで書くと、
額どころか、顔全体に”肉”の字が掛かっちゃうんだけどさ。
あとスカートめくりとかしたりして、ね。
わー、オマエ、いちごのパンツ履いてるんだー!
ぶかぶか、パンツ、パンツ!!
とか、囃(はや)し立ててね。
それで女の子、泣かせちゃうの。
泣く女の子の前で、男の子は云うのよね。
このブス!
泣くなよ、ブス!!
とか云っちゃってさ。
それで、益々泣かせる結果になっちゃうんだけど。
女の子が泣いてる時は、
男の子は内心、絶対、おろおろしてるはずなのよ。
でも、男の子はまだ子供だから、
そんな時の対処法なんて、知る訳がないのよね。
分からなくて、困って困って、
何云っていいのか分からなくて、
顔は引き攣ってるし、
本当は違うこと考えているのに、
本来の自分の気持ちとは間逆のことをやっちゃう。
アイツは、ブスだから、オレは嫌いだから、苛めてるんだ!
なーんて、友達には主張してるんだけど、
実際はどうかしら。
疑問形にするまでもなく、
男の子は女の子のことが好きなのよ、ね。
好きで好きでたまらないのに、
逆方向の行為ばかりしちゃう。
嫌い嫌いも好きの内ってヤツよね。
本当に、男の子って馬鹿よね。
馬鹿で――可愛い。
だから……。
今のアンタもこれと同じ。
アタシのことが好きなのよ。
アンタは、アタシのことが好きなのよ!
……的な発想か???
オマエの今の云い分は、
こんな自分の都合のいい風に拡大解釈した、
思考プロセスから生じているとしか思えないぞ。
この交渉の場で、こう云った話をしていて、
それでいて、どうやったら、
ワタシがA子が好いている、
と云う 結論が導き出されるんだ?
おめでたいにも程が、あるぞ。
あり過ぎるぞ。
キンキンと貫くような痛みを頭に感じた。
彼女は、ワタシのそんな状態など、
お構い無しに、云い退ける。
A子
「でも、ね。
アタシはアンタのこと、好きじゃないのよ」
残念ながら……みたいな無駄に余韻を残した話し方が、
ワタシを更なる憤りと腹立ちの境地に至らせた。
別に好きだと云って貰いたくはないが、
面と向かって、嫌いだと云われるのも、同じく腹立つ。
何で、交渉の場で、
「ボクと付き合って下さい」と頭を下げ、
右手を差し出したところ、
「ちょっと待った!」と横槍が入り、
「ボクの方が好きです」。
伸びる右手がふたつに増えたものの、
女は「ごめんなさい」とどちらの手も取ろうとしない。
A子が上の選ぶ立場で、
こちらが下の選ばれる立場にならなければならないのだ?
ありえない。
ありえないだろ、おい!
ワタシ
「いやいや、別にそんなことあるわけないし。
ありえないですし」
本当にありえない。
全く、全然、これっぽっちも。
「とにかく」と前置きを述べた彼女は、結論付けた。
A子
「だから、アタシは思わないし。
アタシは、アンタのことが嫌いだし。
それに、アタシは――」
――あそこから、出て行かない。
……。
最後の最後は、これだ。
予想通りの展開と云えば、展開であるが、
しかし、こんな形で型にはまってしまって……。
こちらはこれから、どう対応すればいいのだ?
ワタシ
「……はあ、そうですか」
一気に、視界が狭くなった。
グルグルと目が廻る。
怒りや憤りの感覚も、
麻酔薬でも打たれたように、なくなっていた。
まるで酒をしこたま飲んだ後、
100メートルダッシュでもしたかのように、
目のピントがあやふやであり、
右に左にぶれていた。
ワタシは、心ここにあらず、と云った体で呟く。
ワタシ
「そうです、か……」
ワタシは、悟った。
今まで何とか、無理矢理にではあるが、
彼女と話をして来た。
が、 もう、これまで、だ。
彼女に何を云っても通じない。
英語が喋れないのに、
アメリカでヒッチハイク旅行をするみたいな無謀さ。
彼女に交渉を持ち掛けることは、
それと同じことだったのだ。
話が通じない。
そんな相手と話をすることなど、出来ないのだ。
無念さが残るが、最早、これで終わりだ。
ジ・エンド……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
昨日は肉食いました。
やっぱ、塩と胡椒だけの味付けが、
一番シンプルで旨いな、と思った次第です。
6/20 9時
読んでいてこっちまで胃が痛くなっちゃった・・・。
ますます次回が楽しみです!
胃が痛くなりますよね。
世の中には色んな人間がいるものです。
6/20 17時
いますよねェ〜いい年して幼稚園レベルの知能の持主!
そういう方って 「IQ」 が20〜30くらいしかないそうです!
とりあえず、こちらは、
カルシウムが足りなくなっちゃいそうな、
そんな勢いになりますね。
2005.06.21 火曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十六話−
滅びの言葉…の巻。
……ジ・エンドだ。
これで交渉は、決裂か――。
最後の交渉の場だと、鼻息荒く、
これがけじめだとばかりに、
こんな歌舞伎町の地下室にまで臨んだと云うのに……。
わざわざ、前所有者Yを、
埼玉のずっと奥の方から、引っ張り出したと云うのに……。
A子のうんざりする位、
強引で無理矢理な展開の話を嫌々ながらも、
今の今まで聞いて来たと云うのに……。
これまた、うんざりすることだけれども、
彼女の姉やマスウラ――愛人だか、
パパだか、パトロンだか、何だか知らないが――
に対する暴力的な様を、嫌と云う程、
見せ付けられたと云うのに……。
おまけに、地下室の黴(かび)臭さとA子の香水と、
そして、 ここに集う者どもの汗臭さが入り混じり、
ブレンドされた、この強烈な悪臭に耐えたと云うのに……。
ワタシは、ぼんやりとした目で、
これまたピントのずれたA子の輪郭を見た。
ぼやけた彼女は、何か云っている。
何か――こんなことを云っているだろう、か。
やれ、アンタの好きにやれ。
好きなようにやればいいじゃないの。
でも、アタシは出て行かないけどね。
好きなようにやってちょうだい。
ま、アタシはアンタのこと、
全然、 好きじゃないけどね――。
……。
このような態度で交渉に挑まれたら、
その相手方は、どう答え、
どう切り返して行けばよいのだ?
ワタシは、無言だった。
彼女の目の前にいるのに、
声を発することが出来なかった。
彼女は、ここぞとばかりに――ここぞと思ってなくとも、
喋るタイプではあるが――ワタシに向けて、
礫のような言葉をぶつけている。
ワタシには、分からなかった。
分からない以前に、気力が失せていた。
ああ、メーターが、心の中にあるガスメーターの矢印が、
力弱く、下の方向を指している。
オレンジ色のエンプティマークが点灯している。
もう、ガソリンは、ないようだ。
心のガス欠になってしまっている……。
彼女に告げる、言葉が見付からなかった。
最早、見つけようとも思わなかったのかも知れない。
……いや、違う。
それは、違う。
何も、見付からないと云う訳ではない。
ただ、ひとつだけ――。
云える言葉が、ある。
たった、ひとつだけ――。
云える言葉が、ある。
交渉の最中、いつでも口に出来る、言葉。
魔法の言葉……。
ふいに、突如として――。
学生の頃、映画館で観た、
あの映画のワンシーンが、
彩り鮮やかに、想い起こされた。
空飛ぶ城――。
悪人から飛行石を守る為、
少年と少女は、手に手を取り、
この言葉を述べるのだ。
滅びの言葉――バルス。
炎を吐き、瓦礫をバラバラと落として行きながら、
天空の城は、遥か下、大いなる海へと、
その巨体の穂先を向けていた。
――バルス。
滅びの言葉。
まさに、ワタシにとっての滅びの言葉”バルス”は、
たったひとつ、だ。
「もう、交渉は終わりにしましょう」
これだけで、終わりだ。
そして、この場から立ち去ってしまえば、いい。
楽になる。
後は、会社に帰って、社長に報告する。
社長に報告……。
社長に報告……そうだ。
社長に報告する、そのイベントが残っていた。
……。
「話し合いはやらなくていい、
後は法的処置でもすればいいじゃないか」
こう云った社長に対し、
ワタシは「それでも交渉を続けさせて下さい」
と主張した。
そうなのだ、主張したのだ。
――云うなればそれは、ワタシの意地であった。
そう、意地を見せて、臨んだこの交渉――。
決して、失敗することは許されない。
許されないのであるが……。
目前にそびえ立つ、
A子の巨体とも感じるこの圧迫感を、
制覇することが出来なかった。
彼女を説得することが適わなかったのだ……。
ワタシは、右手で右頬を擦った。
ねっとりとした脂汗の感触があった。
余程疲れがたまっているのだろう。
限界点に、達している。
ワタシは、決意した。
もう、云おう。
滅びの言葉を……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
蒸し暑いですね。
会社で今年初めて、エアコンつけました。
涼しかったです。
やっぱ、エアコン最高!
6/20 9時
ジ・エンドって、もう終わりですか?なごり惜しいなぁ。
もう少し、続きます。
そして、どうなることやら……。
2005.06.22 水曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十七話−
無駄な時間を過ごしやがって…の巻。
ワタシは、しばしの間、あらぬ方向に彷徨っていた
視線を彼女の方にはっきりと向け――。
――お互い埒があきませんね。
これでは交渉と呼べるものではないでしょう。
成果も、妥協点も見出せない。
ですから、 話は、もう終わりにしましょう。
これで打ち切りです――。
――まさしく、滅びの言葉だ。
ワタシの目前にいる、
ふてぶてしさがあふれ出している、
A子をはじめとして、
彼女の姉ノゾミや風船男こと前所有者Y、
どこからか湧いてきた自称コンサルティングを名乗る、
マスウラとルリカワ――占有者の退去交渉に登場した、
数々の登場人物たちとの、
ひとつのマンションの占有解除を巡る、
任意での話し合いを終わりにしようとした。
任意が駄目なら、社長に云われた通り、
ここはもう、話し合いではなく、
法的な解決――いわゆる、裁判所を介して、
あのマンションの占有を解除させる、
強制執行へと向かう。
ほれ、みたことか……。
社長の言葉が脳裏に渦巻いた。
今は敢えて考えないようにしようとしていたことだが、
しかし、考えない方向にしよう、しようと思うあまり、
逆に意識し過ぎているのだろう。
もっとも――。
ここで話を打ち切り、会社に戻って報告をした時、
現実でも必ずそのように切り出されるだろう。
間違いなく。
社長の押し殺したような声は続く。
無駄な時間を過ごしやがって……。
その通り、だ。
ここは社長の云う通りにしておけばよかった。
無駄な意気込みや意地など、
持たなければよかった。
……。
だが、考えていても現実は消えてはなくならない。
今ある現実は、目の前に、A子が居て、
彼女はワタシの話に、一向に同意することなく、
反発ばかりしている。
今も、この瞬間も、彼女の細い目から、
毒々しい光を発しながら、 何か云っている。
……現実を、終わらせねばならない。
ワタシは頭の中で、何度も繰り返していた、
滅びの言葉を、彼女の目をしっかり見据えて――。
ワタシ
「もう、ここで……」
A子
「何よ?
アンタ、何が云いたいのっ!? 」
彼女が鋭い言葉をワタシに突き刺した。
まだ、本旨まで至っていないと云うのに、
彼女の攻撃のすばやさは一体何なのだろう。
A子
「だから、アンタは黙ってワタシの云うことを……」
彼女が最後まで云い切る前に、
ワタシを圧倒している彼女の肩を
むんずと掴む手があった。
肩を触れられたA子は、ゆっくりを首を回し、
その手の主を確認した。
……マスウラだった。
A子は、肩にあるマスウラの手を払い除け、
彼を睨み付け、
「アンタ、何するのよ!」と強く云い放った。
ぴしゃりと手を払われ、
彼女から痛罵の一撃を喰らったマスウラは、
その瞬間――。
これまでの彼の行為からは考えられない、
目を疑うような行動を取った。
彼は、両手で彼女の両肩を掴み、
自分の方に向かせると、
右手を大きく振り被り――。
ジメジメした地下室に、
パシーンと平手打ちの乾いた音が鳴り響いた……。
<おまけ日記>
今日のひとこと。
今日の東京は、梅雨らしい梅雨の風景ですね。
今年は、何だか、水不足っぽいです。
6/22 0時
早く言ってやってください!
A子の開いた口がふさがらないくらい
言っちゃってくださいよ〜!!
A子の開いた口がふさがらなくなるのか?
それはどうなのでしょうか。
2005.06.23 木曜日
対決! 追い出し屋G 対 元アイドル 編
−第四百十八話−
親父にも、殴られたことないのに!…の巻。
――静寂。
静まり返った地下室で、ただ空気清浄機の音だけが、
ゴオゴオと音を立てている。
平手打ちされたA子は、
頬に手を当て――目を見開いていた。
叩かれた痛みよりも、
マスウラから叩(はた)かれた行為自体に驚いていた。
A子の見開かれた目は、彼――マスウラを見ている。
その表情たるや、驚きに満ち満ちたものであり、
あの――名台詞が想起される。
茶色い天然パーマのエースパイロットが云った、
あの台詞――。
”親父にも、殴られたことないのに!”
ああ、めぐりあい宇宙――。
人生でも一度か二度経験するかしないかの、
驚き顔を露にしていた。
しばし、そのままだった。
無言のまま、睨み合い――と云うよりも、
傍からみていると、
ただ、ふたりだけの世界を
構築しているようにも見受けられた。
見つめ合っている、ような……。
何だろう。
ふたりの背中から発散されている、
もわもわとしたオーラが、今までのそれとは違う。
何だろう、この違和感は。
A子とマスウラは、愛人関係なのだろう?
主従で云えば、A子が主で、マスウラが従。
彼女がタバコをくわえれば、
彼がさっと火を点ける。
そんな主従関係。
なのに――なのにだ。
何だろう、喉に小骨が刺さったような、
気になって仕方がない、
この気持ちの悪い違和感は……。
先に口を開いたのは、マスウラの方だった。
彼は、やはりダミ声で彼女に云う。
マスウラ
「すまない。
だけれども、 もう、これで、終わりでいいだろう」
マスウラは彼女に謝った。
しかし、その謝罪よりも、次なる意味の方が大きい。
マスウラは、「終わりにしろ」と彼女に云っている。
何を終わりにしろ、なんだろう?
交渉を、か。
それは、ワタシも望むところだ。
もう、止めよう。
交渉は止めよう……。
だが、A子はマスウラのその言をきっかけにして、
夢から醒めたように、驚きの面は消え去った。
また元通りの因縁を付けるが如き、醜悪な目になり、
A子は、マスウラに食って掛かる。
A子
「あ、アンタ、何するんだ!?
アタシに対して、何するんだ!?」
マスウラ
「もう、いい。
もう、いいじゃないか。
これで、終わりにしよう」
ダミ声の男は、
A子の言葉を制するようにして、云う。
心なしか、先程、止めに入ったときよりも、
言葉尻がしっかりしている。
芯が通ったように、迷いがない。
だが、A子がマスウラの云っていることに、
「はい、分かりました」と簡単に納得する訳がなく……。
A子
「アンタ、アタシを叩いて。
それで済むと思ってるの!?
大体、アンタ、一体、何の権利があって、
アタシを叩いたんだ!?」
A子に凄まれたマスウラは、
彼女の目を直視して、云った。